トルコリラ円見通し 3月22日暴落時安値を割り込み、日足は2日連続陰線
〇トルコリラ円、3/29安値13.31を付け3/22暴落時安値を割り込む、3/30早朝13.23まで続落
〇対ドル、3/29に8.21リラへ下落、3/22暴落時安値8.17リラを割り込み一段安
〇3/22安値を割り込んだことで、リラ売り攻勢は加速しやすい状況となっている印象
〇イスタンブール100株価指数、3/29は前日比0.75%上昇で下げ一服
〇当面市場はトルコ金融政策正常化を求め、リラ売りの動きを一段と強めるおそれも
〇13.40から13.50までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる
〇13.40以下での推移中は下向きとし、13.00割れからは12.80前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円は続落、3月29日終値は13.34円で26日終値13.46円から下落、安値では13.31円を付けて3月22日のトルコ中銀総裁解任報道による暴落で付けた安値13.33円を割り込んだ。30日午前の取引序盤には13.23円までさらに続落しており、このまま30日の日足が陰線となれば3日連続陰線となる。アーバル前総裁解任に続いて副総裁も解任されたとの報道もあり、22日安値を割り込んだことでリラ売り攻勢は新たな局面に入って加速しやすい状況となっている印象だ。
対ドルでのトルコリラは3月29日に8.21リラへ下落して22日の暴落時に付けた安値8.17リラを割り込んで一段安となった。日足は3月25日から3日連続陰線=三羽烏となり下げ足が早まったが、30日午前序盤には8.28リラへ続落しており、トルコリラ円同様に3日連続陰線の気配となっている。
イスタンブール100株価指数の3月29日は前日比0.75%上昇で下げ一服。先週はリラ暴落の影響で前週比9.60%安と大幅下落したが、下げ一服とリラ安による通貨インフレ効果で下げ渋っている印象だ。しかしリラ暴落が続くようだとトルコ株式市場への不安心理も拡大してゆくことが懸念される。
【エルドアン大統領とカブジュオール新総裁の防戦】
トルコリラ暴落はエルドアン大統領が3月19日付けでトルコ中銀のアーバル総裁を解任したことがきっかけだ。インフレ抑制のためにアーバル総裁下のトルコ中銀が3月18日の金融政策会合で主要政策金利を2.0%引き上げて19.0%としたが、アーバル総裁下での三度目の利上げに対して利上げ反対派で利下げが物価を下げると信じ込むエルドアン大統領が耐えきれなくなってアーバル総裁を解任したものだ。三度の利上げでリラ高を演出して市場の信認を回復してきたアーバル総裁解任により、トルコ金融政策への市場の信用は失墜した。
トルコ中銀のカブジュオール新総裁は3月29日のブルームバーグ社のインタビューで「4月にも利下げを行うというのは偏った見方」として早期の利下げを否定し、「中銀は5%のインフレ目標の達成に向けて引き続き最大限努力する」と述べたが、構造的な問題による物価上昇は中銀の取り組みの対象ではないとも述べたのは、中銀による物価上昇抑制が成功しない場合への逃げ口上とも受け取れる。自身が利下げ論者であることは広くメディアで報道されており、今回の就任も早期の利下げを期待されてのものと市場に見られていることを意識した発言だが、物価上昇が続く状況で引き締め姿勢を示さなければ市場は利上げ催促的なリラ売り攻勢を仕掛けるものだ。
3月29日には一部の報道でエルドアン大統領がアーバル総裁の解任に続いてトルコ中銀の副総裁を解任したとの報道もある。
エルドアン大統領は、国と国民自身のいずれにも有益なこととして保有する外貨と金を金融機関を通じてリラへ交換するよう国民に要請する発言を行った。昨年5月へのリラ暴落からいったん戻した後に再びリラ安が進行し始めた時期に、トルコは通貨取引規制を行ってリラの変動幅を極端に抑えようとして介入を繰り返す一方で、エルドアン大統領は今回と同様にリラ買い推奨発言を行った経緯もあるが効果はなかった。
当面、エルドアン大統領及び新総裁によるリラ防衛姿勢が問われ続け、市場はトルコ金融政策の正常化を求めてリラ売りの動きを一段と強めるのではないかと懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月22日朝の暴落とその後の反発を踏まえて23日午前時点では22日朝安値を直近のサイクルボトムとしたが、3月23日夕刻の戻り高値から揉み合いに入ったため、25日午前時点では23日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は25日朝から29日午前にかけての間と想定した。
3月27日早朝安値から小反発して一段安となっているため、29日夕高値を直近のサイクルトップとしてすでに新たな弱気サイクルに入っていると思われる、新たな安値形成期は4月1日朝から5日午前にかけての間と想定し、強気転換は29日夕高値13.65円超えからとする。
60分足の一目均衡表では3月27日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、強気転換は先行スパン突破からとする。
60分足の相対力指数は22日朝の暴落以降は50ポイント台へ戻しても維持できずに失速するパターンを繰り返しており、30日午前時点では30ポイント近辺での推移となっているので、当面は50ポイント前後までを抵抗としてさらに指数のボトムを切り下げる展開を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.00円を下値支持線、3月26日高値深夜13.50円を上値抵抗線とする。
(2)13.40円から13.50円までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)13.40円以下での推移中は下向きとし、13.00円割れからは12.80円前後への下落を想定する。13.00円前後は買い戻しも入りやすい水準とみるが、13.50円以下での推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月31日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -30.3億ドル、予想 -34.00億ドル)
16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 95.8、予想 98.0)
4月1日
16:00 3月 イスタンブール製造業PMI(2月 51.7、予想 52.3)
16:00 週次 外貨準備高・グロス 3/26時点 (3/19時点 538.9億ドル)
16:00 週次 外貨準備高・ネット 3/26時点 (3/19時点 136.8億ドル)
4月5日
16:00 3月 消費者物価上昇率 前年比 (2月 15.61%)
16:00 3月 消費者物価上昇率 前月比 (2月 0.91%)
16:00 3月 生産者物価上昇率 前年比 (2月 27.09%)
16:00 3月 生産者物価上昇率 前月比 (2月 1.22%)
4月15日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合
注:ポイント要約は編集部
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実際のレンジは安値が13.23レベル、高値が14.07レベルと、思ったよりは安定していましたが、やはり戻りでは売りが出てくるという一週間となりました。
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