ドル円見通し 3月26日夜高値を上抜き1月6日以降の高値を更新
〇ドル円、3/29午後小反落したが3/30早朝109.84へ戻し、その後109.88まで高値を切り上げる
〇3/26夜高値109.84を上抜き、1/6安値以降の高値を更新
〇株価堅調、米長期債利回りは再上昇感強まる
〇年初からのドル円上昇、米長期債利回りが一段と上昇してきた流れとほぼ正相関の様相
〇当面は株高債券安・長期債利回り上昇とドル高という流れは継続しやすいか
〇109.60以上での推移中は上昇余地ありとみる。110円到達では売られやすいと要注意
〇109.60割れからは109.50弱への下落を想定するが、そこは押し目買いされやすいとみる
【概況】
ドル円は3月26日夜高値109.84円から29日午後安値109.36円まで小反落したところを買い戻されて30日早朝には109.84円の同値へ戻し、30日朝には109.88円まで高値を切り上げて1月6日安値102.57円以降の最高値を更新した。
3月29日は米国の主要経済指標の発表がなかったものの、バイデン政権によるインフラ投資計画などへの期待感からNYダウが取引時間中の史上最高値を更新し、前日比98.49ドル高で終値ベースでも2日連続で最高値を更新した。株高・債券安の逆相関で米10年債利回りは1.65%前後だったところから1.72%まで戻し、前日比0.03%上昇の1.71%で終了、米30年債利回りも前日比0.03%上昇の2.41%となり、長期債利回りの再上昇感が強まった。一方の為替市場はユーロドルが3月29日深夜に25日深夜安値を割り込んで1月6日以降の安値を更新し、ドル円の反騰や29日夜からのポンド/ドル反落等と共にドル高基調継続感が強まった。
ドル円は利益確定売りにいったん小反落を入れたもののそこは押し目買いされ、株高によるリスク選好的な円安、米長期債利回り再上昇による日米金利差を見てのドル買いの動きにより年初来の上昇基調を維持している。
【米長期債利回り上昇・ドル高基調継続】
ドル円と米長期債利回りの動きは必ずしも正相関するものではないが、年初からのドル円の上昇は米長期債利回りが一段と上昇してきた流れとほぼ正相関している。米30年債利回りは3月18日に2.45%へ上昇して昨年11月の2.43%を超えており、既に昨年3月のコロナショック第一波による急落分を解消した。米10年債利回りは3月18日に1.75%へ上昇して昨年3月の急落開始序盤の水準まで戻し、急落前の昨年11月の1.97%へと徐々に迫ってきている。
米国株高がNYダウを先導役として継続しており、株高債券安により長期債利回り上昇への圧力が高まっていること、バイデン政権による大規模な経済対策、インフラ投資による国債大量発行見通しでの債券需給緩和からの利回り上昇、景気回復に伴うインフレ率上昇を利回りが追いかける事による利回り上昇という側面で押し上げられている。一方でECBや日銀は長期金利上昇がコロナ対策及び景気回復の足を引っ張るものとして抑制姿勢を示しており、日欧と米の中銀スタンスの差がユーロ安と円安の背景となっている。
バイデン大統領は3月31日インフラ投資政策の詳細を発表する。4月後半には育児や医療等の支援政策を打ち出すとされる。一方では富裕層への増税も想定されているが、既に決定している追加経済対策としての1.9兆ドルに加えて総額3兆ドル規模のインフラ・医療支援等の政策実現を目指すという流れだ。インフラ投資についてはバイデン大統領は選挙戦において4年間で総額2兆ドル規模を公約として掲げていた。
欧州の感染拡大第三波の深刻化が続いている一方で米国でも感染増加ペースが上昇気配となっていることは心配の種だが、ワクチン接種の進捗への期待もあり、株式市場は楽観的にバイデン・ラリーを継続している。当面は株高債券安・長期債利回り上昇とドル高という流れは継続しやすく、ドル円にとってもさらに押し上げられやすい状況となっている印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月26日夜高値から29日午後安値へいったん反落してから買い戻されて30日朝には26日夜高値を上抜いているため、3月29日午後安値を押し目底として新たな強気サイクルに入ったと思われる。高値形成期は31日から2日夜にかけての間と想定されるが、2日の米雇用統計反応次第では週明けへ延びる可能性もあるとみる。弱気転換は29日午後安値割れからとする。
60分足の一目均衡表では29日午後安値からの反騰と一段高により遅行スパンは好転、先行スパンを上抜いた状況も継続している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん安値試しへ向かうとみるが、先行スパンを上抜いた状況を維持するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は26日夜高値を上抜いたものの指数のピークは切り下がっているため弱気逆行となる可能性もあるが、いったん50ポイント割れまで低下したところから再上昇しているので、逆行警戒よりも上昇継続で26日夜高値時の80ポイント超を再び目指す流れとみる。50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇継続とし、弱気転換は45ポイント割れからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を下値支持線、110.00円を上値抵抗線とする。
(2)109.60円以上での推移中は上昇余地ありとみる。110円到達では売られやすいと注意するが、110円突破から勢い付く場合は110.50円前後へ目先の上値目途を引き上げる。先行きは昨年3月24日高値111.71円や昨年2月20日高値112.21円を目指す可能性も出ているが、そのためには週末の米雇用統計を強気で通過する必要があるとみる。
(3)109.60円割れからは109.50円弱への下落を想定するが、そこは押し目買いされやすいとみる。ただし3月29日午後安値を割り込む場合はダブルトップ型形成による下落期入りとなる可能性があると注意する。
【当面の主な予定】
3/30(火)
18:00 (欧) 3月 消費者信頼感・確定値 (速報 -10.8)
18:00 (欧) 3月 経済信頼感 (2月 93.4、予想 96.0)
21:00 (独) 3月 消費者物価指数・速報値 前月比 (2月 0.7%、予想 0.5%)
21:00 (独) 3月 消費者物価指数・速報値 前年同月比 (2月 1.3%、予想 1.7%)
22:00 (米) 1月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (12月 1.1%、予想 1.2%)
22:00 (米) 1月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (12月 10.1%、予想 11.0%)
23:00 (米) 3月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (2月 91.3、予想 96.9)
27:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
3/31(水)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前月比 (1月 4.3%、予想 -1.3%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (1月 -5.2%、予想 -2.0%)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -19.4%、予想 5.0%)
10:00 (中) 3月 国家統計局製造業PMI (2月 50.6、予想 51.2)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -3.1%、予想 -4.8%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -7.8%、予想 -7.8%)
15:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7−9月 -157億ポンド、予想 -348億ポンド)
15:00 (英) 3月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (2月 0.7%、予想 0.4%)
16:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 0.90万人、予想 -0.10万人)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (2月 0.9%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (2月 1.1%、予想 1.1%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (2月 11.7万人、予想 55.0万人)
21:30 (加) 1月 月次GDP 前月比 (12月 0.1%、予想 0.5%)
21:30 (加) 1月 月次GDP 前年同月比 (12月 -3.0%、予想 -2.5%)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 59.5、予想 60.0)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前月比 (1月 -2.8%、予想 -2.7%)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 8.2%)
23:30 (米) 週間 EIA石油在庫統計
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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