米FOMC注目、ドル/円は110円台トライもあるか(週報3月第3週)

先週のドル/円相場は、ドルが小幅に続伸。昨年6月以来の109円台を回復、週末NYも辛うじて109円台を維持し越週している。

米FOMC注目、ドル/円は110円台トライもあるか(週報3月第3週)

米FOMC注目、ドル/円は110円台トライもあるか

〇ドル円、一時109.23まで値を上げるも買いは続かず、一週間で1円程度の変動に
〇円は対ドル以外でもさえずほぼ全面安の様相
〇今週は中国をめぐる国際情勢、17日に行われるFOMC、パウエルFRB議長の記者会見要注視
〇3月NY連銀製造業景況指数や3月フィラデルフィア連銀景況指数にも注意
〇今週のドル/円予想レンジ107.70-110.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小幅に続伸。昨年6月以来の109円台を回復、週末NYも辛うじて109円台を維持し越週している。

前週末、全人代開催にともなう中国サイドからの発言やニュースが相次ぐなか、米上院が現地時間6日、バイデン大統領の提示した1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案を民主党議員の賛成のみで可決している。
そうした状況下、週明けのドル/円は108.35円レベルで寄り付いたのち、週間安値の108.28円を示現。しかし、その後は週間を通してドルが底堅い値動きをたどっている。109円を超え、一時109.23円まで値を上げる局面も観測されたが、頭も重く買いは続かず。結局、値幅という点では1週間でおよそ1円程度の変動に。なお、週末NYは109.00-05円レベルで取引を終え、辛うじて109円台を維持している。
また、円は対ドル以外でも冴えず、ほぼ全面安の様相。実際、ユーロ/円やポンド/円、カナダ/円などは先週、今年の最高値を更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「日米を中心とした対中包囲網」について。
前者は、国会にあたる全人代が5日から11日にかけて開催され、そのなかで「今年のGDP成長率目標を6%超に設定」したことなどが話題に。さらに、当初の予定通り「香港選挙制度の全面改革議案」が正式に可決された。そうした動きについて、英外相が「中国は自らの約束に反し、香港での民主的な討論の空洞化をまた一歩進めた」と批判。米国務長官も「香港の自由と民主的手続きへの直接的な攻撃だ」と非難したものの、中国サイドは「見直しは香港を乱す者を追い払うため」だと正当化するコメントを発表、変更には応じない強固な姿勢をうかがわせている。

対して後者は、菅首相がインドのモディ首相と電話会談を行い、日米豪印4ヵ国の協力を着実に進めていくことで一致したと発表。また間髪入れずに、CNNが「日米豪印、12日に初の首脳会談開催へ」などと報じ、それがのちに現実のものとなった。こちらはコロナワクチンに関しての話し合いが中心だったようだが、それでも中国を念頭においた協力強化の方針も示されている。また、それとは別に日米両政府が、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を16日に東京で開催することを明らかにしたほか、「バイデン氏が菅首相を招待、4月訪米で調整」などといった報道も観測されていた。

<< 今週の見通し >>

今年2月、月間を通して2.3円ほどしか動かなかったドル/円が、3月に入り10日足らずでそれを大きく上回る3円近い変動を記録。また、NYダウを中心とした米株や暗号資産ビットコインなどほかの金融市場が荒れ模様をたどっていることもあり為替市場、ドル/円も大相場入りが期待されたものの、先週末にかけて動意はやや尻すぼみとなった。今週、その動意が再び復権、ドルは目先の戻り高値を更新し110円に迫る展開をたどることができるのか否かに注目だ。

一方、材料的にはいくつか注目されるものがあり、うちひとつは前述した「日米2プラス2(16日)」や、18日に行われる「米中外交トップの対面式会談」。中国を背景にした国際情勢などに注意を払いたい。また、それとは別に17日のFOMCおよび、パウエルFRB議長の記者会見にも要注意。政策金利などは現状維持が見込まれているが、米長期金利が大きく上昇している環境下、当局のスタンスや発言に変化があるのか注視している向きが少なくないようだ。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は109円台を回復するなど堅調推移ではあったが、週間を通して1円しか動かず、やや上げ渋りの感も。リスクという意味では上方向だが頭も重く、110円到達は簡単でないのかもしれない。いずれにしても、まずは昨年6月高値109.85円をめぐる攻防に注目だ。また起点を年初と考えても、大きな調整らしい調整がないまま、2ヵ月半もドル高が進行していることで、そろそろ調整を警戒する声も聞かれていた。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、3月のNY連銀製造業景況指数や3月のフィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表される見込み。今月に入って発表される米経済指標が総じて良好なだけに、続くような内容となるのか注目だ。また、そんな米景気回復傾向を受けたFOMCおよび、パウエル議長の会見も波乱含みと警戒されている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.70-110.20円。ドル高・円安については、先週高値109.23円、そして109.85円が抵抗として意識されている。超えれば110円台回復も否定できない。
対するドル安・円高方向は、先週一週間を通してドルの下値を強く支えた108.20-30円はなかなか強いサポート。また、これを割り込んでも108円前後などにテクニカルポイントが存在している。いずれにしてもドルは底堅そう。

米FOMC注目、ドル/円は110円台トライもあるか

ドル円日足


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