トルコリラ円レポート月曜版
クーデター前の水準は予想以上に堅調
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですがトルコリラ円は「33.90レベルをサポートに、35.10レベルをレジスタンスとする」流れを予想しました。実際のレンジは安値が34.19レベル、高値が36.88レベルでしたが、皆さんもご存知の通りトルコでは金曜NY市場の引け間際に軍事クーデターのニュースが流れ、その前の水準は36.44レベルでした。
つまり、週初月曜から金曜NY市場後場までのレンジは、安値が34.52レベル、高値が36.88レベルと、週初からのリスクオフの巻き返しによる株高と、それに伴う円安とで大きく買われる展開となっていました。このあたりは週報を併せてご覧いただければと思いますが、英国発のリスクオフ相場再開を考えていたため、全く逆の見通しとなってしまいました。
先進国ではありえない21世紀のクーデター
ただ、ドル円に関しては、週末NY引け間際の水準に戻したことと、先週の円安進行が速かったことから週初の水準からの更なる円安については限定的となるであろうとの見方です。トルコリラについては、軍事クーデターが未遂に終わったものの水準はいまだ売られる前の水準には戻していません。そもそもクーデターが起こり得るということ自体、先進国では考えられませんし、それだけ政治的に不安定要素があるということになります。
今回のクーデター未遂にはイスラム教指導者のギュレン師が関係しているとの見方があり、8月に予定されていた軍幹部の人事を決める評議会では軍部も親大統領派で固められるとの見方があり、それに反発したギュレン師に近い一部が決起したとも言われています。また、少なくともクーデター鎮圧に伴い6000人以上が拘束され、その半数近くに判事や検事といった人が含まれています。
トルコリラは売られやすい地合いへと変化
これまでもトルコではエルドアン大統領が強権を強め、多くの要職につく人物が大統領派に入れ替わってきました。今回の拘束では、反大統領派が一斉に地位を追われたと考えることが出来ます。これにより政治的な安定には繋がるものの、今回クーデターを起こしたような不満分子はまだ国内に残っていると考えられますし、国外に目を向けてもイスラム国やシリアからの難民問題等、内憂外患状態です。
更にこうした事態を受け経済的な停滞のおそれが不安材料のひとつとなりました。今週は19日(火)にトルコ中銀による政策金利発表がありますが、利下げへと動く可能性も否定できません。国内情勢、そして今後のトルコ経済と金融政策ということを考えると、トルコリラは売られやすい地合いに変化したと考えた方がよさそうです。
ドル・トルコリラの日足
クーデターのニュースが入ったのは、15日の現地時間22時台、そして軍が権限掌握とヘッドラインが流れたのが同23:45。NYとは7時間の時差がありますので16:45、まさにNYが閉まる直前のニュースでした。週末のNY引け直前ということもあって、余計に動いたとも言えそうですが、上のピンクの水平線が示す年初来高値(トルコリラ安値)の3.0614レベルにまでは到達しませんでした。
ただ、今後の不安材料を考えるとこの年初来高値をターゲットにすることが、テクニカルには十分に考えられますので、明日の金融政策も含めてトルコリラ安方向への動きには当面注意が必要です。次にトルコリラ円の4時間足チャートをご覧ください。
トルコリラ円4時間足
トルコ円、前週安値はは下回らず
大きくは赤い上下の線で示した英国国民投票開票日のレンジの中で動いていたことがわかりますが、ドル円が円安に振れていたということもあり、発射台が高かったために金曜の急落時にも前週安値を下回ることはありませんでした。現状では、先週の金曜日のレンジの中での動きと考えることが出来、その場合は金曜高値から安値に対する61.8%〜78.6%(61.8%の平方根)の戻しに位置する36円前後がレジスタンスとなってくるでしょう。
いっぽうで先ほどの対ドルチャートからもわかる通り、中長期的には下げやすい地合いにあり、利下げという動きにでもなれば再度金曜の安値圏を伺いに行く展開が予想されます。トータルして今週は先週安値圏34.20レベルをサポートに、36.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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