トルコリラ円見通し 15.26円まで一段高、ドル高に圧迫されるもドル円上昇に支えられる(21/2/17)

トルコリラ円は2月16日夕刻に15.26円まで上昇して昨年11月以降の最高値を更新した。

トルコリラ円見通し 15.26円まで一段高、ドル高に圧迫されるもドル円上昇に支えられる(21/2/17)

15.26円まで一段高、ドル高に圧迫されるもドル円上昇に支えられる

〇トルコリラ円、16日夕刻に15.26まで上昇し昨年11月以降の最高値を更新
〇トルコ政府はPKKがイラク北部軍事作戦でトルコ軍人捕虜13人の殺害に対する米国の声明などに強く抗議
〇ブリンケン国務長官はPKKの犯行と確認した場合に殺害を非難するとの声明
〇米国はPKKをテロ組織に認定しているがYPGとは共闘しており、今後の続報にも注目
〇15.05以上での推移か割り込んでも回復するうちは15.26超えから15.30台を目指すとみる
〇15円割れから下げに入るとみて14.90台への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は2月16日夕刻に15.26円まで上昇して昨年11月以降の最高値を更新した。15.26円は2020年8月4日以来の高値水準。
2月15日夜に15.16円まで上昇して2月8日高値15.00円を超える一段高に入り、16日も日中は株高からのリスク選好的なドル安基調が継続したためトルコリラは対ドルでの上昇を継続、ドル円も米長期債利回り上昇基調を背景とした日米金利拡大を背景に上昇したため、トルコリラ円は対ドルでのリラ高とドル円の上昇による両面から押し上げられた。
しかし16日夜は米長期債利回りの上昇が加速したことでドル高にブレーキがかかり、深夜にかけてユーロが失速、豪ドルや南アランド等資源通貨が下落したために対ドルでのトルコリラは6.83リラの高値を付けたところから7.01リラまで反落、またドル円も深夜にかけていったん下落したためにトルコリラ円は深夜安値で15.04円まで反落したが、その後は対ドルでのリラ安一服中にドル円が反騰したことで下支えられて15.14円まで回復した。

【米長期債利回り上昇続きドル安基調にブレーキ】

株高によるリスク選好的な投機通貨買いで為替市場はドル安基調での推移が続いてきたが、2月15日の米国市場休場が明けた16日に米10年債利回りは週末の1.21%から1.32%まで急上昇した。バイデン政権による大規模経済対策、主要国の実質ゼロ金利と量的緩和政策の長期継続による米債券需給緩和感が昨年夏からの米10年債利回り上昇基調の背景だが、10年債利回りが1%を下回っていたところでは為替市場もさほど気にしていなかったものの、1%を超えたところからは米10年債利回りが目立って上昇する局面でドル高反応がみられるようになってきた。

2月16日のNYダウは2日連続で取引時間中及び終値ベースの最高値を更新、ナスダックも取引時間中の最高値を更新しており株高基調は継続的と思われ、量的緩和による過剰流動性が投機通貨買いとドル安基調を継続しやすい状況にはあると思われるが、米長期債利回りの上昇もこれ以上へ加速してゆくと長期金利差からのドル高感が沸いてくる可能性もあるところであり、新興国通貨高にもブレーキがかかりやすくなってきていると注意したい。
しかし一方でドル円は2月5日高値を超えて1月6日からの上昇は三段上げに入り、昨年3月24日以降の下降トレンドから脱却し始めて勢いついているため、トルコリラ円としては対ドルでのリラ安進行局面で押されてもドル円の上昇に下支えられ、ドル安再燃からリラ高再開に入れば多少の円高でもリラ高同調で上昇していきやすい環境にはあると思われる。

【米国との関係悪化への懸念】

トルコ政府は2月15日に駐トルコ米国大使を呼び、クルド人武装組織「クルド労働者党(PKK)」がイラク北部の軍事作戦でトルコ軍人などの捕虜13人を殺害したことに対する米国の声明・態度について強く抗議した。ブリンケン米国務長官は15日にこの問題について、「クルド労働者党(PKK)」を非難したものの、PKKの犯行と確認された場合には殺害を非難するとの声明だったためトルコ政府としてはあいまいな態度を批判することとなった。
シリア内戦ではシリアのアサド軍エリアでのロシア軍駐留、クルド人エリアでは親米系と親トルコ系が入り混じっており、米国はPKKをテロ組織に認定しているものの、クルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)とは共闘している。
バイデン政権によるトルコ外交はまだ始まったばかりだが、トランプ政権時代よりも米国は強硬な姿勢をとるのではないかとみられ、今後の続報も注目されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日午後から15日夕にかけての間への上昇を想定してきたが、12日夜高値から15日朝安値へ小反落してから一段高したために16日朝時点では15日朝安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした。また高値形成期は17日夜から19日夜にかけての間と想定し、15円以上を維持しての推移中は一段高余地ありとした。

2月16日夜へ反落したものの15円台を維持して持ち直しているのでまだ上昇余地ありとみる。また16日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りする可能性も検討される。弱気転換は15円割れからとし、その場合は18日朝から22日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では16日夜の反落時に遅行スパンが一時悪化したがその後は持ち直し、先行スパンを上抜いた状況は維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、一時的に悪化してもその後の好転からは上昇再開とする。先行スパン転落からは下げ再開と見て遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月16日夜の下落時に50ポイントをいったん割り込んだが切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、45ポイントを割り込む場合は下げ再開を疑う。また15日から16日にかけての一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるのでいったん調整安に入りやすい状況と注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.00円を下値支持線、15.26円を上値抵抗線とする。
(2)15.05円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは15.26円超えから15.30円台を目指すとみる。15.35円以上は反落注意とするが15.20円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15円割れからはいったん下げに入るとみて14.90円台への下落を想定する。14.95円以下は反騰注意とするが、15円を割り込んでの推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月17日
 18:30 1月自動車生産台数 前年比 (12月 10.2%、予想 7.5%)
2月18日
 16:00 2月消費者信頼感指数 (1月 83.3、予想 80.2)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
 20:30 週次外貨準備高 2/12時点 (2/5時点 543.7億ドル) 
2月22日
 16:00 2月製造業景況感 (1月 107.0、予想 95.1)
 16:00 2月設備稼働率 (1月 75.4%)
 17:00 1月観光客数 前年同月比 (12月 -67.44%)
2月25日
 16:00 2月経済信頼感指数 (1月 96.2)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨


注:ポイント要約は編集部

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