2月16日高値の後は上昇一服、トルコ中銀の金融政策発表待ちへ
〇トルコリラ円、17日夕刻に15.00まで下落後15円割れを回避して持ち直す
〇対ドルでも17日夕安値7.05まで下落後6.95リラ近辺まで持ち直す
〇2/18の金融政策決定会合、2会合続けて政策金利は据え置かれると予想
〇中銀の引き締め姿勢が揺らがなければリラ高基調は継続
〇トルコ政府の債務残高は12月時点で181億2000万リラで大幅増加
〇15.20から上昇再開、15.26超えから15.30台を目指す
〇15円割れから下げに入るとみて14.90台への下落を想定
【概況】
トルコリラ円は2月16日夕刻に15.26円まで上昇して昨年11月以降の最高値を更新したが、その後は米長期債利回りが一段と上昇する中でドル高感が強まり、対ドルでトルコリラが下落したために17日夕刻には15.00円まで下落した。しかし15円割れを回避して持ち直し、夜から18日早朝にかけては15.10円台を中心とした狭いレンジでの推移が続いている。
2月17日は全般にドル高となり、トルコリラも対ドルでは16日夜高値6.89リラから17日夕安値7.05リラまで下落する場面があったものの、中勢のリラ高基調は継続とみられて17日夕刻以降は他通貨がさらにドル高へ向かったもののトルコリラは6.95リラ近辺まで持ち直している。
ドル円は17日午前に106.21円まで上昇して1月6日以降の高値を更新した後は高値警戒感で新たな高値更新へ進めずにやや調整気味の動きとなっている。このためトルコリラ円は対ドルでのトルコリラ持ち直しとドル円の上昇一服感で強弱相殺となり揉み合いの様相で推移しているところだ。
【トルコ中銀の金融政策決定会合待ち】
2月18日はトルコ中銀の金融政策決定会合がある。
11月7日にトルコ中銀総裁が突然更迭されて現在のアーバル総裁が就任したが、金融政策正常化への期待から史上最安値を大幅に更新し続けてきたトルコリラは反騰に転じた。
アーバル総裁は就任後最初の金融政策決定会合となった11月19日に政策金利を10.25%から15.0%へ引き上げ、二回目の会合となった12月24日にも17.00%へと連続で大幅利上げを決定してきた。1月21日の前回会合では連続利上げの後のために政策金利は据え置かれたが、今後も必要に応じて追加利上げの可能性があることを示唆し、インフレ抑制へ向けた金融引き締め姿勢を強調した。
1月15日にはエルドアン大統領が高金利を批判したこともあったが、アーバル総裁就任はエルドアン大統領の采配でもあり、今のところは中銀政策への抑制的な介入は控えているようだ。
2月18日の会合では2会合続けて政策金利は据え置かれると予想されている。2月3日に発表された1月の消費者物価上昇率は前年比14.97%上昇と高いが政策金利を下回っており実質マイナス金利状態からは脱却している。中銀の引き締め姿勢が揺らぐような動きがなければ11月6日安値から続いてきたリラ高基調もまだ継続しうると思われる。
【パンデミックが再び深刻化する場合は新興国債務問題も浮上?】
国際金融協会(IIF)による2020年の世界の債務は新型コロナウイルスの影響で24兆ドル増加して過去最大の281兆ドルとなったという。世界のGDPに対する債務の割合は35%上昇して355%となり、伸び率は2008年のリーマンショック時における10%と2009年の15%を大幅に上回ったとされる。債務拡大は先進国から途上国まで幅広く、新興国でもトルコや韓国、南アとインドの伸びが顕著だったようだ。
トルコ政府の債務残高は12月時点で181億2000万リラで2019年の142億リラから大幅に増加している。コロナ対策での財政支出拡大は致し方ないことであり、パンデミックが収束して景気回復へ向かえば問題ないが、現在大幅に感染増加ペースが鈍化している状況から再び悪化してくるようだと不況長期化によりトルコを含めた新興国債務問題がクローズアップされる可能性もあるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月15日朝安値へ小反落してから一段高したために16日朝時点では15日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は17日夜から19日夜にかけての間と想定し、15円以上を維持しての推移中は一段高余地ありとした。
2月16日夕高値から17日夕安値まで0.20円を超える下落となったため、2月16日高値を直近のサイクルトップとし、16日夕高値を超えないうちは18日の日中から22日午前にかけての間への下落余地ありとするが、16日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとして19日午後から23日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では17日夕安値への下落で先行スパンから転落しかけたものの持ち直している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転から高値試し優先とするが、先行スパンからの転落が続く場合はさらに下げやすいとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで揉み合い。60ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先し、40ポイント割れからはさらに下げやすいとみるが、夜の中銀金融政策発表に対する市場反応で上下へ大きくぶれやすいと注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.00円を下値支持線、15.26円を上値抵抗線とする。
(2)15.05円以上での推移中は15.20円から上昇再開とし、15.26円超えから15.30円台を目指すとみる。15.35円以上は反落注意とするが15.20円以上での推移なら高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15円割れからはいったん下げに入るとみて14.90円台への下落を想定する。14.95円以下は反騰注意とするが、15円を割り込んでの推移なら安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月18日
16:00 2月消費者信頼感指数 (1月 83.3、予想 80.2)
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
20:30 週次外貨準備高 2/12時点 (2/5時点 543.7億ドル)
2月22日
16:00 2月製造業景況感 (1月 107.0、予想 95.1)
16:00 2月設備稼働率 (1月 75.4%)
17:00 1月観光客数 前年同月比 (12月 -67.44%)
2月25日
16:00 2月経済信頼感指数 (1月 96.2)
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
注:ポイント要約は編集部
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