ドル円見通し 上昇一服、106円挟んだ高値圏揉み合い(21/2/18)

ドル円は2月17日午前に106.21円まで上昇して2月5日高値105.76円を上抜き1月6日安値からの上昇は三段上げとなった。

ドル円見通し 上昇一服、106円挟んだ高値圏揉み合い(21/2/18)

上昇一服、106円挟んだ高値圏揉み合い

〇ドル円、106円を挟んだ揉み合いの範囲でもう一段高を伺う位置取り
〇NYダウ前日比90.27ドル高、3日連続終値ベースで史上最高値更新
〇米10年債利回り、小反落を入れつつ水準を切り上げる流れはまだ継続的
〇1月生産者物価指数、食品・エネルギー除くコア指数など米経済指標は総じて強い内容
〇FOMC議事要旨公表、全会一致でゼロ金利政策と量的緩和策の維持を決定
〇106.21超えからは106.50、106.75を段階的に試す流れ
〇105.50割れからは105.35から16日夜安値105.16にかけてのゾーンを試す

【概況】

ドル円は2月17日午前に106.21円まで上昇して2月5日高値105.76円を上抜き1月6日安値からの上昇は三段上げとなった。106円到達による高値警戒感と利益確定売りに押されて17日午後に105.82円まで下落、17日夜に米長期債利回り上昇とドル高を背景に17日午前高値と同値まで上昇したが一段高へは進めずに18日未明には105.77円まで下げ、その後も106円台を回復できずにいる。
上昇一服感も出ているが、106円を挟んだ揉み合いの範囲であり高値圏を維持してもう一段高を伺う位置取りと思われる。

【NYダウ3連騰でドル高やや一服だが米長期債利回りの上昇基調はまだ継続か】

2月17日のNYダウは前日比90.27ドル高で3日連続で終値ベースの史上最高値を更新。取引開始当初は下落したものの米経済指標が総じて強い内容だったことで先高期待を継続した印象だ。ただ一方ではナスダック総合指数が82.00ポイント安と下落したのは米長期債利回り上昇継続への懸念を背景としているとの見方もある。
米10年債利回りは一時1.33%まで上昇してから終盤の失速で1.27%で終了。小反落を入れつつも水準を切り上げてきた流れはまだ継続的と思われる。

米労働省が発表した1月の生産者物価指数は前月比1.3%上昇で12月の0.3%上昇から大幅に伸びが加速して市場予想の0.4%上昇を大幅に上回った。前年比も1.7%上昇となり12月の0.8%及び市場予想の0.9%上昇を大幅に上回った。食品・エネルギー除くコア指数は前月比1.2%上昇で12月の0.1%及び市場予想の0.2%上昇を大幅に上回り、前年比も2.0%で12月の1.2%及び市場予想の1.1%上昇を大幅に上回った。コア指数の前年比が2%に到達したことで、物価上昇率2%を目安としてきた米連銀の金融緩和政策へ変化が出る可能性も多少意識されるところだが、コロナ渦での12月の落ち込みとその反動ともいえる。
米連銀(FRB)は1月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表したが、「景気回復はほど遠い」とし全会一致でゼロ金利政策と量的緩和策の維持を決定したことを示したため、当面は長期的な金融緩和が継続するとの安心感が回復したようだ。 

米商務省が発表した1月の小売売上高は前月比5.3%増となり12月の1.0%減から大幅に回復、市場予想の1.1%増も大幅に上回った。米連銀が発表した1月の鉱工業生産は前月比0.9%上昇となり市場予想の0.5%上昇を上回った。1月の設備稼働率は75.6%で市場予想の74.8%を上回った。小売や物価及び鉱工業生産の上昇は12月の反動ということもある。これらはドル高要因となったが影響はまだ限定的と思われる。ただ感染増加ペースが鈍化してワクチン普及も進展しつつある状況のため、先行きの景気回復感を助長したと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月10日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日夜から15日午前にかけての間への上昇を想定してきたが、2月12日夕刻高値からいったん105円割れまで下げてから一段高したために16日朝時点では16日の日中から17日にかけてはまだ高値形成期の延長入りによる上昇余地ありとした。
2月17日午前高値以降も106円を挟んだ揉み合いで推移しているため。2月17日午前高値を上抜く場合は2月10日夕安値から4日目となる16日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めて高値形成期を19日昼から23日午後にかけての間へ延長する。ただし 105.50円を割り込む場合は17日午前と17日深夜の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして19日夜から23日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月17日深夜からの反落で遅行スパンが悪化したが、先行スパンを上回る状況は維持している。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転から上昇再開とするが、先行スパンから転落の場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月17日午前と17日深夜の高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて50ポイントをいったん割り込んだ。持ち合い型の相場推移のため60ポイント台回復からは上昇再開とするが、40ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント弱への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.50円を下値支持線、106.21円を上値抵抗線とする。
(2)106円台回復からは上昇再開とし、106.21円超えからは106.50円、106.75円を段階的に試す流れとみる。106.75円以上は反落注意とするが106円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.50円割れからはいったん下げに入るとみて105.35円から16日夜安値105.16円にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは押し目買いされやすい水準とみる。

【当面の主な予定】

2/18(木)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 5.00万人、予想 4.00万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 6.6%、予想 6.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.00%、予想 17.00%)
22:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 79.3万件、予想 76.5万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 454.5万人、予想 441.3万人)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 年率換算 (12月 166.9万件、予想 167.8万件)

22:30 (米) 1月 住宅着工件数・前月比 (12月 5.8%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 1月 建設許可件数 年率換算 (12月 170.9万件、予想 167.8万件)
22:30 (米) 1月 建設許可件数・前月比 (12月 4.5%、予想 -1.4%)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.9%、予想 1.0%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 1.1%、予想 1.0%)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 26.5、予想 20.0)
24:00 (欧) 2月 消費者信頼感速報値 (1月 -15.5、予想 -15.0)

2/19(金)
06:45 (NZ) 10-12月期 生産者物価指数 前期比 (7−9月 -0.3%)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数 前年同月比 (12月 -1.2%、予想 -0.7%)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (12月 -1.0%、予想 -0.7%)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (12月 -0.4%、予想 0.0%)
09:01 (英) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -28、予想 -26)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -4.2%、予想 2.0%)

16:00 (独) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.8%、予想 0.9%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 0.4%、予想 -2.1%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 6.4%、予想 2.7%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 0.3%、予想 -2.5%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 2.9%、予想 -0.5%)
17:30 (独) 2月 製造業PMI速報値 (1月 57.1、予想 56.5)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 46.7、予想 46.5)

18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 246億ユーロ)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調前 (11月 268億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI速報値 (1月 54.8、予想 54.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 45.4、予想 45.7)
18:30 (英) 2月 製造業PMI速報値 (1月 54.1、予想 53.1)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 39.5、予想 42.0)

23:45 (米) 2月 製造業PMI速報値 (1月 59.2、予想 58.5)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 58.3、予想 57.9)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (12月 676万件、予想 663万件)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数 前月比 (12月 0.7%、予想 -2.0%)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る