ドル円見通し 5連騰で2月5日高値を超えて1月6日底から三段上げに発展(21/2/17)

ドル円は2月17日早朝に106円台へ到達した。

ドル円見通し 5連騰で2月5日高値を超えて1月6日底から三段上げに発展(21/2/17)

5連騰で2月5日高値を超えて1月6日底から三段上げに発展

〇ドル円、16日昼過ぎに105.63、その後105.16まで反落するも17日早朝に106円台へ到達
〇NYダウ前日比64.35ドル高、ナスダック47.97ポイント、取引時間中の史上最高値を更新
〇米長期債利回りは10年債前週末比0.11%高の1.32%、30年債は0.08%高の2.09%へ大幅上昇
〇2月NY連銀製造業景況指数は12.1、1月から大幅上昇し市場予想を上回る
〇106円以上の推移か割り込んでも回復するうちは106.50超えから107円を目指す流れ
〇105.75割れから反動安入り警戒、105.50前後試しへ

【概況】

ドル円は2月17日早朝に106円台へ到達した。
2月5日高値で105.76円を付けたところから2月10日夕安値104.40円まで下げた後は全般的なドル高基調の中でもクロス円の全面高による円安圧力と米長期債利回り上昇による日米金利差拡大でのドル高円安圧力からジリ高基調に入り、2月16日昼過ぎに105.63円まで高値を切り上げたところからいったん105.16円まで反落したものの深夜の切り替えしで16日昼過ぎ高値を上抜くと勢いついて2月5日夜高値を上抜く一段高に入った。

【米長期債利回り大幅上昇】

2月15日の米国市場休場明けとなった2月16日はNYダウとナスダックがともに取引開始序盤に取引時間中の史上最高値を更新、NYダウは前日比64.35ドル高、ナスダックは47.97ポイント安と強弱が分かれたものの米バイデン政権による大規模経済対策への期待、新規感染者数の減少傾向とワクチン普及への期待、NY連銀景況指数が予想以上の上昇となったことなどから株高基調は継続している。

一方で株高によるリスク選好感の高まりが安全資産とされる債券売りとなり米長期債利回りは2月16日に大幅上昇した。米10年債利回りは前週末比0.11%高の1.32%へ急上昇、30年債利回りも0.08%高の2.09%へ上昇した。大規模な経済対策=財政出動による国債大量発行が続けば債券需給の緩みで長期債利回りも上昇するが、原油高によるインフレ進行感も利回り上昇要因となっている。この日は米セントルイス連銀のブラード総裁が米CNBCテレビのインタビューにおいて「今年はインフレ率が上昇する公算が大きい」と述べたことも材料視された。また2月のNY連銀製造業景況指数が5か月振りの高水準になったことが債券売りを助長した。2月のNY連銀製造業景況指数は12.1となり1月の3.5から大幅上昇、市場予想の6.0を大幅に上回った。

【80週サイクルレベルの反騰期、2018年12月高値以降の抵抗線を試す流れ】

2月5日高値105.76円を超えて1月6日底102.57円からの上昇は1月11日高値までを一段目、2月5日高値までを二段目とし、2月10日を起点として三段目の上昇%に発展した。すでに1月6日底から1か月を超える上昇であり、昨年3月24日の戻り天井以降では5月6日から6月5日まで1か月戻した時を超える上昇期となった。また3月24日以降続いてきた戻り高値切り下がりによる下降チャンネルからも脱却し、戻り高値切り上げ型となってきた。
日足は2月10日から2月16日まで5連騰だが、三段上げ型への発展や3月以降の下降トレンドからの脱却を踏まえると、概ね80週前後の周期による底打ちサイクルにおいて2016年6月24日底、2018年3月26日底、2019年8月26日底に続いて1月6日安値で底打ちした印象が強まった。

2016年12月の戻り天井以降は、2018年10月4日高値、2020年2月20日高値がほぼ1直線で長期の下降トレンドの上値抵抗線を形成しているが、この抵抗線は110円前後に来ているため、今回の上昇で110円を目指す可能性もある流れと考えておきたい。目先は連騰に対する反動安にも注意がいるが、1月6日安値から1月21日安値及び2月10日安値へと底上げしてきた流れを維持すれば突っ込んだところは押し目買いされて次の上昇へつながると思われる。また1月21日安値は26日移動平均を割り込んだところから切り返し、2月10日安値は26日移動平均手前からの切り返しとなっているため、中勢としては26日移動平均(現在104.52円)前後を下値支持線とした上昇トレンドと考えたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月10日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日夜から15日午前にかけての間への上昇を想定してきたが、2月12日夕刻高値からいったん105円割れまで下げてから一段高したために16日朝時点では16日の日中から17日にかけてはまだ高値形成期の延長入りによる上昇余地ありとした。

2月16日夜にいったん反落してから一段高に入ったため、2月10日夕安値から4日目となる2月16日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしている可能性がある。このため当面は2月16日夜安値を割り込まないうちは高値試しを続けやすいとみて、高値形成期が来週序盤へ延びる可能性があるとみる。

60分足の一目均衡表では2月12日への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化する(実線を割り込む)ところからは弱気転換注意として安値試し優先とするが、その際は先行スパンが下値支持帯となってくるのではないかと思われる。

60分足の相対力指数は2月16日夜の反落時に50ポイントを割り込んだところから反騰して70ポイントを超えてきているのでまだ上昇余地ありとみるが、次に50ポイントを割り込む場合はいったん下げに入るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.75円を下値支持線、106.50円を上値抵抗線とする。
(2)106円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは106.50円超えから107円を目指す流れとみる。106.50円前後ではいったん売りも出やすいとみるが、106円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.75円割れからは反動安入りを警戒して105.50円前後試しとみるが、そこは押し目買いされやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/17(水)
休場、中国(旧正月)
10:00 (豪) ケント豪中銀総裁補、セミナー参加
16:00 (英) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.3%、予想 -0.4%)
16:00 (英) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 0.6%、予想 0.6%)
16:00 (英) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 1.4%、予想 1.3%)
19:00 (欧) 12月 建設支出 前月比 (11月 1.4%)
19:00 (欧) 12月 建設支出 前年同月比 (11月 -1.3%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 0.8%、予想 0.9%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前月比 (12月 0.1%、予想 0.2%)

22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前年同月比 (12月 1.2%、予想 1.1%)
22:30 (米) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -0.7%、予想 1.0%)
22:30 (米) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -1.4%、予想 1.0%)
23:15 (米) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.6%、予想 0.5%)
23:15 (米) 1月 設備稼働率 (12月 74.5%、予想 74.8%)
23:15 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、パネルディスカッション参加
24:00 (米) 12月 企業在庫 前月比 (11月 0.5%、予想 0.5%)
24:00 (米) 2月 NAHB住宅市場指数 (1月 83、予想 83)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

2/18(木)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 5.00万人、予想 3.00万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 6.6%、予想 6.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.00%、予想 17.00%)
22:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 79.3万件、予想 76.5万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 454.5万人)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 前月比 (12月 166.9万件、予想 165.8万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数・年率換算件数 (12月 5.8%、予想 -0.7%)

22:30 (米) 1月 建設許可件数 前月比 (12月 170.9万件、予想 167.0万件)
22:30 (米) 1月 建設許可件数・年率換算件数 (12月 4.5%、予想 -2.0%)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.9%、予想 1.0%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 1.1%、予想 0.9%)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 26.5、予想 20.0)
24:00 (欧) 2月 消費者信頼感速報値 (1月 -15.5、予想 -15.0)


注:ポイント要約は編集部

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