ユーロドルは高値圏でもみあいを継続(週報2月第3週)

先週のユーロは、前週金曜からのユーロ買い戻しの動きが続いたと言えます。

ユーロドルは高値圏でもみあいを継続(週報2月第3週)

ユーロドルは高値圏でもみあいを継続

〇先週のユーロ、前週金曜から緩やかに上昇トレンドを継続し買い戻しの動き
〇先週後半以降は次の材料、方向を探るために各市場の参加者が迷っている状況
〇今週は金曜発表の2月PMI速報値に注目
〇1.21台半ばを超えてのユーロ高になればECB関係者からけん制発言の可能性も
〇ユーロ円127.52レベルの高値をつけ年初来高値を更新、底堅さ継続しやすい
〇今週は1.2150レベルをサポートに1.2175レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、前週金曜からのユーロ買い戻しの動きが続いたと言えます。前週金曜に1.19台半ばで下げから上昇に転じたユーロドルでしたが、その後も緩やかに上昇トレンドを継続し木曜に1.2150レベルの高値をつけ上値トライも一巡した形です。ドル円週報で取り上げた通り、この間の米金利は8日の水準から下げが続き、週後半には改めて金利上昇を見ていますが、週後半の動きと為替市場の動きが徐々に離れてきている可能性は、ドル円以上にユーロドルで気になるところです。

また欧州株の動きがユーロドルの動きに影響を与えるという動きも先週に関してはあまり当てはまらず、例えばDAX(ドイツ株価指数)が週前半は下げていく中で、ユーロドルは上昇となっていました。金利市場、株式市場、為替市場とそれぞれの相関がはっきりしなくなる中で、先週後半以降は次の材料、次の方向を探るために各市場の参加者が迷っているという感じでしょうか、正直なところ私自身もドルの方向性に対してドル買い戻しが既に終わったのかどうか判断しかねています。

今週は毎日経済指標の発表はあるものの、もっとも気になるのは金曜に発表される2月のPMI速報値です。先行指標としてワクチン接種も広がってきている欧州主要国で製造業、サービス業の数字がどのようになっているか特にドイツの製造業の数字に注目です。製造業PMIはコロナショックで34.4まで下がりましたが、その後は着実に回復し12月の数字は58.6まで回復、この数字はコロナ前よりも強く2018年2月以来の高い数字となっていました。

しかし今年1月の数字は回復継続予想とは異なり57.0へと低下、2月の数字は56.5と微妙に低下する予想となっています。予想と同水準、あるいは再び数値が上昇という流れであればユーロ買いの流れが再開する可能性がありますが、今回も予想よりも弱いという数字になるようであれば、ユーロの戻しも1.21台半ばでいったん終了という流れになるかもしれません。

それまで他の材料で動くかもしれませんが、1.21台半ばを超えてのユーロ高となるとまたECB関係者からユーロ高けん制発言が出てくる可能性もあり、積極的に動きにくいという気持ちはよくわかります。

いっぽうそうしたことは気にせずテクニカルな観点から見ると、各ターゲットで止められるきれいな動きを続けています。日足チャートをご覧ください。

ユーロドルは高値圏でもみあいを継続

年初来高値からの逆N波動における下げは、昨年11月安値と年初来高値の半値押し1.1975、逆N波動の78.6%(61.8%の平方根)エクスパンション1.1956と重なった水準で2月5日に下げ止まりました。そして先週の高値は年初来高値と2月安値との半値戻し1.2149とほぼ一致しています。中期上昇に対しての下げも、短期下げに対する目先の上げも値幅観測的にはきれいだということがわかります。

問題は上げ止まったかどうかですが、さすがに先週高値からの距離はまだ近く、動き次第では売りオーダーをこなしてもう少しの上昇があってもおかしくありません。次のターゲットとなる61.8%戻し1.2196は1月22日の戻り高値1.2190と重なることを考えると。1.2150を上抜ける動きが出てくる時は1.2190を目指す動きになります。ただ同水準を上抜けるほどの勢いも出ないと考えると1.2170〜80といった水準でしょう。

また下値については1.20台半ばでは現状買いも出て来ていることから同水準が下値の目途となります。今週は1.2150レベルをサポートに1.2175レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円のチャートを見てみます。

今週のコラム

ユーロ円は株価指数、特に日経平均と歩調を揃えることが多いのですが、今朝の日経平均3万円の大台乗せとともにユーロ円も127.52レベルの高値をつけわずかとはいえ年初来高値を更新しています。

ユーロドル、ドル円といった主要通貨におけるドルの方向感がはっきりしない中で、日経平均が強い間はユーロ円の買いという動きをしている様子が感じられます。日経平均が3万円の大台で達成感も出ているでしょうが、テクニカルには先週のコラムでも書いた通りで32,000円水準をターゲットにしやすい展開です。

一気にそこまで行くとも思えませんし、その間ドル円とユーロドルの水準がどの水準になるのかは別として、ユーロ円の底堅さは継続しやすいとは言えそうな感じがします。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月15日(月)
**:** 香港市場・米国市場休場、中国市場休場(11〜17日)
09:01 英国2月住宅価格
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
**:** ユーロ圏財務相会合

2月16日(火)
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値
19:00 ドイツ2月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏2月ZEW景況感

2月17日(水)
16:00 英国1月CPI・PPI
19:00 ユーロ圏12月建設支出

2月18日(木)
24:00 ユーロ圏2月消費者信頼感速報値

2月19日(金)
09:01 英国2月消費者信頼感
16:00 ドイツ1月小売売上高、PPI
16:45 フランス1月CPI
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏12月経常収支
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月8日(月)
ユーロドルは米金利に追随したドル円の動きを追いかける1日となりました。東京市場ではユーロ売りとなっていたものの動きは鈍く、海外市場に移ってからもユーロ買いの動きに勢いも無く高値は1.2066レベルまで。NY市場ではドル円の動きからユーロ円も126.65レベルまで下げる動きとなりました。

2月9日(火)
ユーロドルはドル売り(ユーロ買い)の一日となりましたが、欧州市場まではドル円でのドル売りに引っ張られてのユーロ買い。欧州市場では欧州株の下げも見られ一時的にユーロ売りの動きとはなったものの、引けにかけては改めて買いが入り1.2122レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。

2月10日(水)
ユーロドルは欧州市場までは動きが見られず、全般的なドル売りの動きの中で1.2144レベルの高値をつけました。しかし1.2150レベルには売りオーダーも並んでいたことから反落。ただ下値も限定的で1.21台前半でのもみあいを続けて引けました。

2月11日(木)
東京市場が休場、中国が11日から17日まで春節(旧正月)で連休となることもあって終日動きが鈍い1日となりました。ユーロドルは一時1.2150レベルと週間高値は更新したもののレンジは36pipsと狭く動意薄のままで終わりました。

2月12日(金)
ユーロドルも東京市場ではユーロの上値が重く欧州市場では前日安値を割り込みました。その後NY市場前場には1.2082レベルの安値を付けましたが、実需のユーロ買いも見られ東京市場の水準に買い戻されての引けとなりました。

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