ユーロドル目先の安値を見て底堅い動きに(週報2月第2週)

先週のユーロは、前週からのユーロ売りの流れが続きましたが、最初は1.20の大台を目前にトライしきれない状況となっていました。

ユーロドル目先の安値を見て底堅い動きに(週報2月第2週)

目先の安値を見て底堅い動きに

〇先週のユーロ、金曜に1.1953レベルの年初来安値をつけた後1.20台半ばを回復する動き
〇米国10年債利回りで、金利上昇とユーロ安(ドル高)が同じような動き
〇1.21台前半は週末からの上げに対していったん止まりやすい水準
〇ポンドドル、年初来高値に近い高値圏で底堅い動き続く
〇今週は1.1980レベルをサポートに1.2130レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、前週からのユーロ売りの流れが続きましたが、最初は1.20の大台を目前にトライしきれない状況となっていました。しかし木曜に1.20の大台を割り込むとストップオーダーも巻き込みながらユーロ売りが加速し、金曜雇用統計直後には1.1953レベルの年初来安値をつけ、週末の引けにかけては1.20台半ばを回復する動きとなりました。

週半ばまでは基本的に1月上旬からのユーロの下げを続けていた動きですが、その背景には欧州におけるロックダウンによる景気減速懸念、イタリアの政局が流動化したこと、さらにはECBがユーロ高牽制と見られる発言を繰り返してきたことがベースにあります。そこに1月FOMCまでは低下していた米金利が反転上昇したことによるドル買いの動きが重なりました。今週はユーロドルチャートの下段に米国10年債利回りを表示してありますので、米金利上昇=ドル高(ユーロ安)となっていたことを確認していただけます。

今週は先週の1.20割れでは底堅かった動きがどうなるかですが、イベントとしてはECB関係者の発言を除くと英国関連のものばかりです。ポンドの動きが影響してということは考えられますが、ユーロが主導してというイメージは沸いてきません。また週末のニュースで気になったものに新型コロナの南ア変異種は現在のワクチンでは効果が薄いことが英国の調査でわかったというものです。

そして、すぐに対応したワクチンは作れるものの接種可能な状態になるのは秋、とワクチンの製造に半年ほどかかることも示されました。既にこの1年間で当初のウイルスから英国変異、南ア変異とでてきていることを考えると、また新たな変異種が出てくる可能性は高いと言わざるをえませんし、そうなると今のワクチン接種で安心とは言い切れず、今後の展開に新たな懸念が出てきたことになります。

チャートを見ていきましょう。

目先の安値を見て底堅い動きに

下段が米国10年債利回りで、金利上昇とユーロ安(ドル高)が同じような動きをしていることが見て取れます。

ユーロに着目するとテクニカルには結構綺麗な動きをしています。1月高値から18日安値までの下げ、その後の22日の戻しを3点とした逆N波動(ピンク)を考えることが出来ますが、フィボナッチ・エクスパンションのうち78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが1.1956となっていて先週の安値とほぼ一致します。

安値から100pipsほど上昇しての週末クローズであったことから短期的には1.19台半ばがユーロの安値となったと考えられ、そうなると次は年初来高値と先週安値のフィボナッチ・リトレースメントを考えることとなります。38.2%戻しが1.2103、半値戻しが1.2149となっていて、1.21台前半は週末からの上げに対していったん止まりやすい水準と見ることが出来るでしょう。

今週は1.20割れではまだ買いも残っているでしょうから、1.1980レベルをサポートに1.2130レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルのチャートを見てみましょう。

欧州通貨の中でもポンドは強い動きを続け、年初来高値に近い高値圏で底堅い動きを続けています。これまで下げていたユーロも短期的に上昇に転じてきたことを考えると、新型コロナウイルス南ア変異種にワクチンの効果が薄いというニュースは気になるものの、いつ年初来高値を上抜けてもおかしくないチャートとなっています。

今週は経済指標等もありどちらに動いてもおかしくはありませんが、テクニカルにはどうなのかを見ておきましょう。

今週のコラム

大きくは11月安値からのサポートラインとの平行上昇チャンネル(ピンク)、直近では12月下旬からのサポートラインとの平行上昇チャンネル(青)の中で上昇トレンドを継続中と見ることが出来そうです。今週は後者の青の平行チャンネルの上下の位置を気にしていると良いでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月8日(月)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
24:30 英中銀総裁講演
25:00 ラガルドECB総裁講演、フランス中銀総裁講演

2月9日(火)
09:01 英国1月小売売上高
16:00 ドイツ12月貿易収支

2月10日(水)
09:01 英国1月住宅価格
16:00 ドイツ1月CPI
16:45 フランス12月鉱工業生産
22:00 パネッタECB理事講演

2月11日(木)
**:** 東京市場休場
16:00 ドイツ1月PPI

2月12日(金)
16:00 英国10〜12月期GDP速報値
16:00 英国12月貿易収支、鉱工業生産
**:** G7

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月1日(月)
ユーロドルは東京市場では動きませんでしたが、欧州市場序盤にドイツの小売売上高がかなり悪い数字となったことをきっかけにユーロ売りの動きとなり、ストップオーダーも巻き込みながらその後も弱い地合いを続けました。NY後場には一時1.2056レベルと前週安値を下回り、ユーロ円も126円台半ばへと下げました。

2月2日(火)
ユーロドルは欧州市場までは方向感がなく、どちらかというと前日の下げに対する調整が目立っていました。しかし欧州時間に入ると一気に前日安値を下回り、その後も上値は重くNY後場には1.2011レベルまで水準を下げ引けにかけてはやや買い戻しも見られました。

2月3日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入るとユーロ売りが出てくるという流れが続きました。欧州勢はユーロ売りで攻めていましたが、1.20の大台では買い戻した様子でNY市場では一時1.2003レベルの安値をつけたものの引けにかけては東京前場の水準へと戻しました。

2月4日(木)
ユーロドルはユーロ売り(ドル買い)の一日となりました。欧州市場序盤に前日下げ止まった1.20の大台を一気に割り込み週間安値を更新。主要通貨はほぼ同じペースでドル買いの動きが続き、NY市場で1.1957レベルの安値をつけて、安値引けとなりました。

2月5日(金)
ユーロドルは欧州市場に入らないと動かない流れが週末まで続きました。上昇するポンドに追随してユーロ買いが先行するとユーロ円、ユーロポンドでもユーロ買いが強まり雇用統計発表直後には1.20の大台乗せ。その後もユーロ買いが続き1.2050レベルまで上昇して高値引けとなりました。

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