ドルが底堅い地合いもいったん調整入り(週報2月第2週)

先週のドル円は、前週にドル円が昨年7月からのレジスタンスラインを上抜けたことをきっかけとしたドル買いの動きがその後も続いています。

ドルが底堅い地合いもいったん調整入り(週報2月第2週)

ドルが底堅い地合いもいったん調整入り

〇先週のドル円、地合いに変化なく前週からのドル買いの動き続く
〇現行水準では株価が上昇しても円安には追随しにくくなってきている様子
〇英アストラゼネカ、南アフリカ変異種に対応したワクチンは秋に出荷
〇バイデン政権1.9兆ドル規模の追加支援策、可決は早くても2月最終週頃までずれこむとみる
〇105円台半ばから後半で上値抑えられ下げに転じるが下げきれない、という流れを予想
〇今週は104.80レベルをサポートに105.80レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週にドル円が昨年7月からのレジスタンスラインを上抜けたことをきっかけとしたドル買いの動きがその後も続いています。直接的な原因はECB関係者によるユーロ高けん制発言が対ユーロでドル高の流れとなり、その動きがドル円に波及しましたが、先週も地合い自体には大きな変化は見られませんでした。

ドル円は105円台前半では売買が交錯していたものの木曜にはストップを巻き込んでのドル一段高、金曜も米国雇用統計直後までは105.77レベルまでドル買いの動きが続いたものの、ユーロドルの買い戻しが強まったことからドル円も反落することとなりました。またドル円の要因としては先週も日経平均株価が連日強く押し目では買いが出る動きとなったことも円安の材料となっていました。

週明けは日経平均株価は一段高となってはいるもののドル円は105円台半ばより上では利食いを中心にドル売りオーダーが残っていて、現行水準では株価が上昇しても素直に円安には追随しにくくなってきている様子です。また今週は経済指標では大きく影響するようなものも見当たらず、引き続きテクニカルな材料が中心となってくると考えられます。

週末のニュースでやや気になったのはワクチン接種が先行している英国において英アストラゼネカのワクチンが南アフリカ変異種には効果が薄く、変異種に対応したワクチンは秋に出荷ということです。早い対応が出来ていても出荷には半年程度の時間がかかるということは、その間に変異種が増えてくるとこれからワクチン接種を実施する国においての効果にも疑問符が付かざるを得ません。日本は感染拡大といってもグローバルには抑えられているほうですが、欧州を中心にどうなっていくのかはやや不透明になってきました。

そして米国では先週は予算の大枠を決定する予算決議案が可決されましたが、バイデン政権による1.9兆ドル規模の追加支援策に関してはまだ不透明です。民主党単独で可決するにはフィリバスターを阻止できる60議席は無いため、単純過半数で採決できる財政調整法を先に可決する必要があります。しかし、年明け以降景気回復の動きが散見されることから大規模な支援に対して反対する議員も出て来ているようで、すんなりと決まるようにも思えません。はやくても2月最終週頃までずれこむと見られることから、それまでは相場材料となるニュースに気を付けたいところです。

テクニカルが最も重要なことは今週も同様です。いつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

昨年7月からのレジスタンスラインを上抜けて以降の上昇スピードがやや速く、年初来安値からは既に3円以上上昇していますし、1月21日の押しからも2円以上の上昇です。年初来安値から11日までの上げ、その後の21日の押しを3点と考えて上昇N波動を考えると、フィボナッチ・エクスパンションで既に127.2%(161.8%の平方根)の105.61は先週金曜に達成しています。

次のターゲットは161.8%エクスパンションの106.23となりますが、今週中に同水準まで続伸するというのはスピードが速過ぎ、値幅的に急角度過ぎると思います。いったん105円台半ばから後半で上値を抑えられ下げに転じるものの下げきれない動きという流れがもっとも考えられそうです。今週は104.80レベルをサポートに105.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月8日(月)
**:** NZ市場休場
08:50 本邦12月貿易収支(国際収支)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
24:30 英中銀総裁講演
25:00 ラガルドECB総裁講演、フランス中銀総裁講演
26:00 (クリーブランド連銀総裁講演)

2月9日(火)
09:01 英国1月小売売上高
09:30 豪州1月企業景況感
16:00 ドイツ12月貿易収支

2月10日(水)
08:30 豪州2月消費者信頼感
09:01 英国1月住宅価格
10:30 中国1月CPI・PPI
16:00 ドイツ1月CPI
16:00 トルコ11月失業率
16:45 フランス12月鉱工業生産
22:00 パネッタECB理事講演
22:30 米国1月CPI
24:00 米国12月卸売売上高・在庫
24:30 週間原油在庫統計
28:00 パウエルFRB議長講演

2月11日(木)
**:** 東京市場休場、中国市場休場
16:00 ドイツ1月PPI
22:30 米国新規失業保険申請数

2月12日(金)
16:00 英国10〜12月期GDP速報値
16:00 英国12月貿易収支、鉱工業生産
16:00 トルコ12月経常収支、鉱工業生産
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感速報値
**:** G7

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月1日(月)
ドル円は東京市場では全く動かず104円台後半の狭いレンジでこう着状態が続きました。欧州市場に入りユーロドルの下げがきっかけとなりドル円は前日高値圏に上昇、105円台の大台を前に底堅いものの上がりきらない状況が続きましたが、ユーロドルの売りが続く中でNY後場には一時105.03レベルの高値をつけた後に、若干押しての引けとなりました。

2月2日(火)
ドル円はユーロドルのユーロ安の動きの影響もありドルが底堅い動きを続け、NY前場には一時105.17レベルの高値をつけました。しかし105円台では売りたい向きも多い様子で105円台を割り込んでの引けとなりました。

2月3日(水)
ドル円は105円を挟んで終日のレンジがわずか19銭とまったく動意の無い1日でした。ドル買い意欲は依然として強いものの105円台前半では利食い売りや実需の売りも見られこう着状態となっていました。

2月4日(木)
ドル高の一日となりました。ドル円は底堅い地合いで始まり東京後場には105円台前半のドル売りオーダーをこなしながら週間高値を更新、テクニカルなドル買いがストップを巻き込みながら終日ドル買いの動きにつながり、引けにかけては105.57レベルをつけ高値圏での引けとなりました。

2月5日(金)
ドル円は東京市場では全く動かず、欧州市場に入りユーロドルに買いが入ると当初はドルの動きとしてドル売りが先行したものの、ユーロが対ドルだけでなく対円でも買われる動きとなったことから反転上昇。その後はストップオーダーも巻き込みながら昨年11月高値を上抜け、雇用統計前には105.77レベルの高値をつけました。しかし10月高値は抜けられず、指標も予想通りとなったことから週末前のポジション調整が入り105.32レベルと安値引けとなりました。

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