日足は7日連続陽線で上昇、週足も3週連続陽線で騰勢続く
〇トルコリラ円、5日深夜に14.97まで上昇し15円の大台に迫る
〇NYダウ前日比92.38ドル高、ナスダック78.56ポイント高で終値ベースでの史上最高値更新
〇対ドルでは5日深夜高値で7.02へ上昇、1/6安値以降の最高値更新
〇対ドルでのトルコリラ上昇は2018年トルコ通貨危機時の大上昇に近い動き
〇大底から15週前後が史上最安値更新後の反騰が一巡しやすいところ
〇トルコリラ円は連騰が続いているためいつ調整的な下げが発生しても不思議ないと注意
〇5日深夜高値14.97超えからは15円台への上昇を想定
〇14.80割れから続落に入る場合は調整入りとみて14.60前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円は2月5日深夜に14.97円まで上昇して15円の大台に迫った。2月2日夕高値14.77円で昨年11月6日以降の高値を更新してから上昇一服となり2月3日朝安値で14.47円まで反落したものの14.50円割れは押し目買いされて2月4日夜には14.79円を付けて2日夕高値を上抜いて一段高に入っていた。
2月5日は米雇用統計の発表があったが、内容は予想より悪かったもののかえって米バイデン政権による積極経済政策が進むきっかけになるとしてNYダウが連騰、ナスダック総合指数が終値での史上最高値を2日連続で更新したために為替市場は米長期債利回り上昇によるドル買い圧力よりもリスク選好の投機通貨買いを優先してユーロ、ポンド、豪ドル等が総じて上昇、新興国通貨も南アランド、メキシコペソが上昇したためにトルコリラも全般的なドル安に押し上げられた。ドル円の反落もあって深夜以降はトルコリラ円の上値も若干抑えられたが、日足は7日連続陽線、週足も3週連続陽線での上昇となり確りした上昇トレンドを形成している印象だ。
【対ドルでのトルコリラは堅調】
2月5日に米労働省が発表した1月の雇用統計では失業率が6.3%で12月の6.7%から大幅に改善したものの非農業部門就業者数は4万9000人増で前月のマイナスからプラスに転じたものの低水準で市場予想の5万人増を下回った。12月分が当初の14万人減から22万7000人減へ大幅に下方修正されたこともあり、4月からのコロナ不況による大量失業者の改善が進んでいないことが再認識された。しかしバイデン政権による大規模経済政策を推し進めるきっかけになるとしてNYダウは前日比92.38ドル高で5連騰、ナスダック総合指数も78.56ポイント高で2日連続の終値ベースでの史上最高値を更新した。
米10年債利回りは1.18%へ上昇して1月12日の1.19%へ迫ったが超えずにいったん1.14%まで下げるなど上げ渋りとなり前日比0.03%上昇の1.17%で終了した。為替市場は米長期債利回りの高水準によるドル買い圧力と株高によるリスク選好的投機通貨買い心理が交錯する形だったが、ユーロドルが5日昼安値からの反騰を継続して大幅上昇。ポンドや豪ドルも大きく反騰し、新興国通貨も総じて上昇となるドル全面安だった。
対ドルでのトルコリラは2月5日深夜高値で7.02リラへ上昇、1月6日安値8.57リラ以降の最高値を更新、日足は3日連続陽線、週足も3週連続陽線で揃って赤三兵となっている。
対ドルでのトルコリラ上昇は2018年8月のトルコ通貨危機が叫ばれた時に8月安値7.23リラまで当時の史上最安値を更新したところから2018年11月高値5.13リラへ大上昇した時の規模に近い動きとなっている。11月7日のトルコ中銀前総裁更迭をきっかけとしたトルコ金融政策正常化への期待、アーバル新総裁となってから11月19日、12月24日の二会合連続による利上げ、エルドアン大統領による高金利への批判もこなして1月21日会合では政策金利を据え置いたものの必要なら追加利上げもあるとインフレファイターとしての姿勢を示したことでトルコリラの信認も回復してきている。
【中勢の上昇は15週前後】
トルコリラ円は概ね40週前後の周期での底打ちサイクルで推移しており、昨年1月底から44週目となる11月6日安値で直近の底を付けて戻してきた。1月19日高値を超えて11月6日からの上昇は二段上げ型に発展し、12月11日安値と1月18日安値を押し目として11月24日以降の二段目の上昇は細かく見れば三段上げ構成となっている。
週足で見れば11月6日底からの上昇は先週までで数えて14週を経過したところだが、今回の上昇に近い2018年8月13日底からの反騰は同年11月29日高値までの16週であり、2014年1月27日からの反騰期も最終的には同値12月5日天井まで1年近い上昇となったのだが、当初の上昇は5月14日までの16週目でいったんピークを付けている。2017年4月底からは同年9月15日まで23週の上昇まで伸びたもののその時も14週目の6月29日高値からいったん調整も入っている。2019年5月底から8月高値までの上昇も14週でピークとなった。このため大底から15週前後というのが史上最安値を更新した後の反騰が一巡しやすいところと考えられ、現状もそろそろそういう時期に差し掛かったところにある。
次回のトルコ中銀金融政策決定会合は2月18日にある。
【当面の中勢ポイント】
全般的なドル安感が継続するなら対ドルでのトルコリラは上昇しやすく、ドル円もドル安圧力を受けるものの米長期債利回り上昇によるドル買い心理も働くために大きく崩れ難い印象もある。リスク選好感が強まる展開ならクロス円は総じて上昇しやすいとすればトルコリラ円も高値追及を続けやすいと思われる。しかし、連騰が続いているのでいつ調整的な下げが発生しても不思議ないところと注意したい。
(1)当面、14.80円を下値支持線とし、2月5日深夜高値14.97円超えからは15円台への上昇を想定する。日足チャートにおいては11月6日安値を起点として前後の揺れ返し状況にあり、既に昨年8月12日高値14.79円を超えているため8月4日高値15.26円まで上値目途が切り上がっている印象だ。その上は昨年6月2日の16.23円まで切り上がるが、そのためにはかなり強烈なリラ高ないしドル全面安によるクロス円全般の急騰が必要であり、そうした情勢変化が見られなければ15円台序盤の水準は利益確定売りも進みやすいとみる。
(2)14.80円を割り込んでも早々に切り返すうちは上昇基調は継続してゆきやすいとみるが、14.80円割れから続落に入る場合は連騰に対する調整入りとみて14.60円前後への下落を想定する。14.60円以下は反騰注意とするが、14.80円以下での推移が続く場合は次回中銀金融政策会合前に向けて調整期が長引く可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
2月10日
16:00 11月失業率 (10月 12.7%、予想 13.2%)
2月11日
20:30 週次外貨準備高 2/5時点 (1/29時点 533.7億ドル)
2月12日
16:00 12月経常収支 (11月 -40.6億ドル)
16:00 12月鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.0%)
16:00 12月小売売上高 前年同月比 (11月 11.9%)
16:00 12月小売売上高 前月比 (11月 2.2%)
2月15日
17:00 1月財政収支 (12月 -407億リラ)
2月17日
18:30 1月自動車生産台数 前年比 (12月 10.2%)
2月18日
16:00 2月消費者信頼感指数 (1月 83.3)
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
20:30 週次外貨準備高 2/12時点
注:ポイント要約は編集部
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