ドル高基調継続か、ただ中国春節の影響注視
〇先週のドル円、週間安値104.61を示現後右肩上がりの展開で週間高値105.76を記録
〇バイデン米大統領がミャンマーへの制裁復活を言及するコメントを発表し世界各国から非難相次ぐ
〇先週末に超えられなかった200日移動平均線をしっかり超えられれば106円台回復も
〇週末から中国の春節が始まり金融市場では流動性が低下、価格の乱高下を懸念
〇21日移動平均線と90日移動平均線が近いうちにゴールデンクロスを達成する見込み
〇今週発表の米1月消費者物価指数やミシガン大消費者信頼感指数速報値など注視
〇今週のドル/円予想レンジ104.30-106.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが一段高。連日のようにドルは上値を更新する展開で、週末には昨年11月高値(105.68円)を超える105.76円まで一時上昇している。
前週末、中国外務省が突然、多くの香港市民が保持資格を持つ「英国海外市民パスポート」を認めない方針を示し、物議を醸す。またコロナワクチン供給をめぐる英欧の対立などゴタゴタは依然として続いているようで、そちらも別途話題に。
そうした状況下、週明けのドル/円相場は104.70円前後で寄り付いたのち、週間安値の104.61円を示現した。しかし、以降はおおむね右肩上がりの展開をたどると、上方向のテクニカルポイントなどを次々突破。週間高値の105.76円を記録している。ただ、前日まで日足ベースでドルは7連騰を記録するなか、発表された米雇用統計がやや冴えなかったことで、終盤にかけては調整の動きがやや優勢に。結局、週末NYは105.40円へと小緩んでの越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「ミャンマー情勢」と「米中関係」について。
前者は、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生し、スー・チー国家顧問兼外相らの拘束が明らかに。そうしたなか、バイデン米大統領が「ミャンマーへの制裁復活」を言及するコメントを発するなど、世界各国から非難が相次ぐ。ただ、そんなミャンマー情勢について非公開で開催された安保理会合において、中露が状況を見極める姿勢をみせたことで、協議されていた英国作成の声明案では合意できず。すなわち、「深い懸念」までは盛り込まれたが、当初は含まれていた「クーデターを非難する」との文言はカットされていた。
対して後者は、中国の外交担当トップである楊共産党政治局員から、「トランプ前政権の対中政策が誤りだった」と指摘されたうえ「米中関係を建設的な軌道に戻そう」とする秋波が送られるなか、バイデン氏が「中国が米国の利益になるとき、われわれは中国と協力する」とそれに応じたような発言をしたことが話題に。米大統領選挙期間中からトランプ前米大統領に「親中」と言われ続けたバイデン氏だが、「ひょっとすると」という疑念を抱く向きもじわりと聞かれ始めている。金融市場的にも、米中対立の緩和は必ずしも悪いことではないものの、「米国の弱腰鮮明化により、中国の対外強硬スタンスがさらに増長する」といった警戒感も市場筋のあいだでは台頭していたようだ。
<< 今週の見通し >>
1月末にかけ、レンジを上抜けてきた感のあったドル/円は、先週さらに続伸。105円の壁も超え、前述したように105.76円まで一時値を上げている。リスクという意味では引き続き上方向にバイアスがかかるも、先週末のNY終値ベースでは超えられなかった移動平均の200日線(105.60円レベル)をめぐる攻防にまずは要注意。しっかり超えれば106円台回復、昨年6月高値109.85円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは半値戻しにあたる106.20-25円が意識されることになるかもしれない。
一方、今週はいくつか注目材料が観測されるなか、週末からはじまる「中国の春節(旧正月)」を注視している向きが少なくないようだ。そのひとつは、当局から「規制自粛」を求める声なども聞かれるが、それでも中国政府の見通しでは「17億人が移動する見通し」だという。引き続きコロナ禍にあるだけに、感染拡大につながりかねないなどとする見方も取り沙汰されていた。また金融市場との絡みでいえば、期間中は参加者が減退し流動性が低下しやすいとの見方から、価格の乱高下も懸念されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は上方向の抵抗を次々と上抜け、週末には昨年11月高値の105.68円も一時超えてきた。また、移動平均では中期の21日線と90日線が近いうちにゴールデンクロスを達成する見込みだ。
先週末のNY終値ベースでは同200日線に上値を阻まれたが、今週中に超えていくと予想する向きが大勢で、その勢いをかい106円台への続伸を見込む向きも珍しくはない。なお、そんなドルの次の上値メドも実は106円台。昨年10月高値の106.11円、あるいは前述したフィボナッチの106.20-25円などがテクニカルポイントとして意識されそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン米大統領による政権運営」などが注視されている。
そうしたなか今週は、1月の消費者物価指数や2月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表される予定だ。また、米財務省による10年債などの入札のほか、米企業に加え欧州企業の決算発表も相次ぐ見込み。株価の動きと絡め、それらも一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、104.30-106.50円。ドル高・円安については、まずは200日線をめぐる攻防が注視されるが、超えれば106円台回復も。106.11円や106.20-25円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期で見た場合、104.80円レベルがかなり強いサポートとして寄与している感がある。また、仮に下抜けても週初は104.30円近くに位置し、上昇傾向をたどる21日線など下方向のサポートは多く、底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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