トルコリラ円見通し 14.60円を挟んだ高値圏持ち合いを継続(21/2/4)

トルコリラ円は、連騰が続いたことでの高値警戒感から2月3日朝には14.47円まで反落した。

トルコリラ円見通し 14.60円を挟んだ高値圏持ち合いを継続(21/2/4)

インフレ率は予想以上だったが市場は冷静、14.60円を挟んだ高値圏持ち合いを継続

〇トルコリラ円、14.60前後を支持線とした高値圏持ち合いの様相
〇対ドルでは7.15リラを挟んだ高値圏持ち合いで一段高を伺う位置取り
〇3日発表のトルコ1月の消費者物価上昇率、生産者物価上昇率共に上昇
〇次回中銀金融政策決定会合は2/18、物価上昇続けば追加利上へ市場の催促始まる可能性
〇2日夕高値14.77超えからは14.90円前後への上昇を想定
〇14.60割れから続落に入る場合は3日午前安値14.47試し、底割れからは14.40前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は2月2日夕刻に14.77円まで上昇して昨年11月6日以降の高値を更新したが、連騰が続いたことでの高値警戒感から2月3日朝には14.47円まで反落した。14.50円割れは買い戻されて3日夕刻には1月の消費者物価上昇率が市場予想を若干超えたものの政策金利を下回った状況にとどまったことからいったん買われて14.72円まで上昇したが、さらにリラ高を押し上げる内容ではないとしてその後は14.65円を挟んだ揉み合いでの推移に入った。4日朝に14.58円まで下げたところは買いもどされており、14.60円前後を支持線とした高値圏持ち合いの様相だ。
日足は1月28日から5日連続の陽線で上昇、2月2日高値超えには至らずにいるが終値ベースでは11月6日以降の高値を更新した。

対ドルでのトルコリラは2月1日に1月7日高値を上抜いて11月6日からの上昇が三段目に入っている。2月2日に7.08リラまで上昇した後は新たな高値更新へ進めずにいるものの3日午前に7.20リラまで反落したところは買い戻されており、7.15リラを挟んだ高値圏持ち合いで一段高を伺う位置取り。為替市場全般は米長期債利回り上昇によるドル高圧力もかかった状況にあるが、元々長期債利回り水準が相対的に高い新興国通貨の反応はまちまちであり、トルコリラもメジャー通貨におけるドル高局面に逆らって上昇基調を続けてきている。

【トルコの物価上昇続く】

トルコ統計局が3日夕刻に発表した1月の消費者物価上昇率は前月比1.68%上昇となり12月の1.25%上昇を上回り、市場予想の1.4%上昇も上回った。前年同月比は14.97%上昇となり12月の14.60%上昇を上回り市場予想の14.68%上昇も上回った。生産者物価上昇率は前月比2.66%上昇となり12月の2.36%上昇及び市場予想の1.20%を上回った。前年同月比では26.16%上昇となり12月の25.15%を上回り市場予想の24.4%上昇も上回った。

トルコ中銀は昨年10月に政策金利(週間レポレート)を従来の8.25%から10.25%へ引き上げ、11月7日の前総裁更迭後に就任したアーバル新総裁のもとで11月に15.0%へ、12月に17.0%へと引き上げてきた。この結果、10月まで続いていた政策金利が消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利状態から脱却し、利上げを好感してトルコリラも歴史的な暴落が一服して反騰入りとなったため、通貨上昇によるインフレ抑制の期待もあったのだが、消費者物価上昇率は11月以降も上昇が続いており、生産者物価も消費者物価を上回る上昇率が続いている。

インフレ率は予想以上だったが市場は冷静、14.60円を挟んだ高値圏持ち合いを継続

物価上昇率の発表後、予想を上回る上昇率となったものの政策金利を上回ることにはならなかったためにトルコリラは対円及び対ドルでいったん上昇反応となったが、さらにリラ高を進行させるには力不足の内容としてリラ買い一巡後はやや下げ、その後はもみ合いの様相で横ばい推移に入った。
トルコ中銀の金融政策決定会合は次回が2月18日、3月18日に予定されている。消費者物価上昇率が政策金利に迫らないうちは引き締めを維持して必要に応じて追加利上げをする姿勢をアピールしつつリラ安を回避するスタンスと思われるが、さらに物価上昇が続く場合は追加利上への市場の催促も始まる可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月2日夕刻へ大幅続伸してから14.60円割れへ反落したため、3日午前時点では2月2日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また安値形成期は28日午後安値を基準として2日午後から4日午後にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるとし、14.65円超えからは新たな強気サイクル入りとして2月5日午後から9日夕にかけての間への上昇を想定するとした。
2月3日夕刻に14.72円まで上昇したため、3日午前安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったとみて5日午後から9日夕にかけての間への上昇を想定する。弱気転換は3日午前安値割れからとし、その際は6日朝から10日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3日午前安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンの上限を下値支持線とした推移を続けている。2月2日夕高値を超えないうちは遅行スパンも悪化しやすい位置取りとなるが、3日午前安値を割り込まないうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、3日午前安値割れからは両スパン揃っての悪化となるためいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3日夕刻に70ポイント超えへ戻したところから失速して4日午前には50ポイントまで下げているが、50ポイントを一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇再開とみる。ただし45ポイント割れからは下げ再開を警戒して30ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月3日午前安値14.47円を下値支持線、2月2日夕高値14.77円を上値抵抗線とする。
(2)3日午前安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、2日夕高値超えからは14.90円前後への上昇を想定する。14.90円以上は反落注意とするが、14.60円以上での推移なら5日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.60円割れから続落に入る場合は3日午前安値試しとし、底割れからは14.40円前後への下落を想定する。14.40円以下は反騰注意とするが、14.50円以下での推移なら5日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月4日
 20:30 週次外貨準備高 1/29時点 (1/22時点 505億ドル)
2月10日
 16:00 11月失業率 (10月 12.7%、予想 13.2%)
2月11日
 20:30 週次外貨準備高 2/5時点
2月12日
 16:00 12月経常収支 (11月 -40.6憶ドル)
 16:00 12月鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.0%)
 16:00 12月小売売上高 前年同月比 (11月 11.9%)
 16:00 12月小売売上高 前月比 (11月 2.2%)

注:ポイント要約は編集部

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