トルコリラ円見通し 14.77円へ一段高するも高値警戒感から調整が入る(21/2/3)

2月2日夕刻に14.77円まで上昇、2日深夜にかけてのドル全面高による対ドルでの下落を背景に利益確定売りが急がれて14.60円割れへ失速した。

トルコリラ円見通し 14.77円へ一段高するも高値警戒感から調整が入る(21/2/3)

14.77円へ一段高するも高値警戒感から調整が入る

〇トルコリラ円2日夕刻に14.77まで上昇し深夜にかけ14.60割れと失速、4日連続の陽線も2日は塔婆型に
〇2日深夜にかけてのドル全面高がトルコリラの上昇にもブレーキをかけたか
〇本日発表のトルコ1月消費者物価指数、生産者物価指数の内容に注視
〇14.65以下で推移中は一段安余地あり、14.47割れから14.40前後への下落を想定
〇14.65超えから上昇再開とみて2日夕高値14.77超えを目指す流れ

【概況】

トルコリラ円は2月2日夕刻に14.77円まで上昇、昨年11月6日の史上最安値11.99円以降の高値を更新したが、連騰による大幅高への高値警戒感と2日深夜にかけてのドル全面高による対ドルでの下落を背景に利益確定売りが急がれて14.60円割れへ失速した。3日朝の取引再開時には14.47円まで安値を切り下げたがやや過剰な下落としてそこは押し目買いされて14.50円台半ばへ戻している。
日足は1月28日から2月1日へ3日連続陽線で上昇、1月7日の戻り高値14.25円を1月29日に上抜いてからも続伸したが、2月2日は4日連続の陽線ながらもローソク足の実体部分が薄くほとんどを上髭とする「塔婆」型となった。すでに昨年8月以来の水準まで売れ返しの上昇を続け、米長期債利回り上昇によるドル高感が強まる中でも対ドルでの上昇を続けてきたが、2日深夜にかけてのドル全面高がトルコリラの上昇にもブレーキを掛けた印象だ。

【2月3日夕刻のインフレ率に注目】

トルコリラ円は11月6日に11.99円の史上最安値まで暴落したところから、11月7日の中銀総裁更迭をきっかけに金融政策正常化期待から反騰入りし、11月19日にアーバル新総裁が政策金利を10.25%から15.0%へ引き上げたところで13.82円まで上昇、11月24日に12.92円までいったん反落したものの、12月24日に中銀が政策金利を17.0%へ連続利上げしたことから騰勢を強めて1月7日には14.25円まで高値を切り上げた。上昇一服で1月18日に13.74円まで下げたものの、1月21日の中銀金融政策決定会合で政策金利を現状維持としつつもインフレ抑制のために追加利上げの可能性を示唆したことで14円台を回復、その後も製造業を中心とした経済指標の持ち直しもあって1月7日高値を超えて一段高に入ってきた。

1月6日からユーロドルや豪ドルが下落基調に転じる等、ドル高感が徐々に強まってきたがそれでもトルコリラは史上最安値への暴落から脱却してきたとして海外の投資マネーも戻ってリラ高が続いてきた。しかしさすがに連騰による高値警戒感も強まったとして2月2日夕高値からの下落規模は1月21日以降では最大となっている。

2月3日にはトルコの1月消費者物価指数、生産者物価指数の発表がある。12月の消費者物価上昇率は前年比で14.6%であり、1月もほぼ同水準と予想されており、政策金利が17.0%へ引き上げられたことにより実質マイナス金利状態を脱出した状況は維持されるのだろうと思われる。しかし生産者物価指数は12月時点で前年比25.15%であり、1月は多少低下すると見込まれているものの相当に高い水準にある。

11月まではリラ暴落による通貨インフレの影響もあったと思われるが、リラが反騰してきたことでのインフレ抑制効果がまだ鈍い状況にあり、国内経済は持ち直しに入っているものの外貨準備高不足と観光収入の減少等の問題も抱えており、物価上昇が収まらないと中銀も追加の利上げを余儀なくされる可能性も浮上する。その際には、1月15日にエルドアン大統領が高金利状態を批判したことを市場も再認識し、中銀が政府の圧力に屈して利上げできないということになる可能性が取り沙汰されれば、利上げ催促的なリラ売りが発生する可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日夕安値を起点とした上昇期入りとして1月28日夜から2月1日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、2月2日午前時点では上昇の起点を1月28日午後安値と改めて高値形成期を2月3日夜までの間へ延長した。
2月2日夕刻へ大幅続伸してから14.60円割れへ反落したため、2月2日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。安値形成期は28日午後安値を基準として2日午後から4日午後にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるため、14.65円を超えないうちは一段安余地ありとし、14.65円超えからは新たな強気サイクル入りとして2月5日午後から9日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2日夕高値からの反落で遅行スパンが悪化した。先行スパンへいったん潜り込んでから上抜き返しているが、先行スパン上限に張り付いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンへ潜り込むところからは先行スパン転落を試すとみる。上昇再開は遅行スパン好転からとする。

60分足の相対力指数は29日夜高値から2月2日未明高値への一段高に際して指数のピークがほぼフラットとなり、2日夕刻の一段高に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行となって下落に転じている。50ポイント以下での推移か一時的に50ポイントを超えても維持できないうちは一段安余地ありとするが、55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入るところからは上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月3日朝安値14.47円を下値支持線、14.65円を上値抵抗線とする。
(2)14.65円以下での推移中は一段安余地ありとし、3日朝安値割れからは14.40円前後への下落を想定する。14.40円以下は反騰注意とするが、14.52円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.65円超えからは上昇再開とみて2日夕高値14.77円超えを目指す流れとみる。14.70円以上は反落注意圏とするが14.65円を超えた後も14.60円以上での推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月3日
 16:00 1月消費者物価 前年同月比 (12月 14.6%、予想 13.8%)
 16:00 1月消費者物価 前月比 (12月 1.25%、予想 0.6%)
 16:00 1月生産者物価 前年同月比 (12月 25.15%、予想 24.4%)
2月4日
 20:30 週次外貨準備高 1/29時点 (1/22時点 505億ドル)
2月10日
 16:00 11月失業率 (10月 12.7%、予想 13.2%)
2月11日
 20:30 週次外貨準備高 2/5時点
2月12日
 16:00 12月経常収支 (11月 -406憶ドル)
 16:00 12月鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.0%)
 16:00 12月小売売上高 前年同月比 (11月 11.9%)
 16:00 12月小売売上高 前月比 (11月 2.2%)


注:ポイント要約は編集部

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