ドル円見通し 5連騰、株高債券安・米長期債利回り上昇でドル高感強まる(21/2/3)

2日の日中も安値は104.82円にとどまり2日深夜にかけてのドル全面高局面で105.16円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し 5連騰、株高債券安・米長期債利回り上昇でドル高感強まる(21/2/3)

5連騰、株高債券安・米長期債利回り上昇でドル高感強まる

〇ドル円、2日日中安値は104.82、深夜に105.16まで切り上げ5日連続の日足陽線で5連騰に
〇NYダウ、2日前日比475.57ドルと大幅続伸、米10年債利回りは1.12%まで上昇
〇ユーロ圏10-12月期GDPは前期比0.7%減、7-9月期より大幅悪化によりユーロドルが一段安に
〇104.70以上で推移中は上昇余地あり、105.25超えから105円台後半を目指す上昇を想定
〇104.70割れで弱気転換注意、104.50割れから調整安に入るとみて104.25前後への下落を想定

【概況】

ドル円は2月2日早朝に105.02円まで上昇して105円台に到達していたが、2日の日中も安値は104.82円にとどまり2日深夜にかけてのドル全面高局面で105.16円まで高値を切り上げた。1月27日からは5日連続の日足陽線で5連騰となった。
NYダウは1月21日に史上最高値を付けたところから1月27日まで5日間続落となり、28日にいったん戻したものの1月29日には前日比620.74ドル安で一段安となった。このため先週末にかけては株安債券高で米長期債利回りは1月12日の1.19%から1月28日には0.99%まで低下していたが、株安によるリスク回避感から為替市場はドルの買い戻しでドル高優勢となりドル円も1月21日夜安値103.32円からは上昇基調に入っていた。

週明けの2月1日にNYダウは前週末比229.29ドル高と反騰、2日も前日比475.57ドル高と大幅続伸となり先週の株安不安を払拭してきた。米国の感染拡大基調がやや落ち着きを見せていることと追加経済対策への期待感が背景となった。この株高を見て米債券は売られ、米10年債利回りは2月2日には1.12%まで上昇した。
独10年債利回りはマイナス0.487%、英10年債利回りも0.36%でありいずれも上昇しているが米10年債利回り上昇感に圧倒される状況であり、先週までの株安によるリスク回避的なドル買い戻しでのユーロ安という状況から株高でリスクオンに転じたものの米長期債利回り上昇に圧迫されてドル高ユーロ安は継続という流れになっている。

【欧米の景気回復期待の差とドル高の優勢】

ユーロドルは1月6日に1.2349ドルまで上昇して昨年3月以降の最高値を更新した。年初までは主要国による実質ゼロ金利及び大規模な量的緩和による過剰流動性を背景に株高と同調したリスク選好的投機通貨買いが優勢となってきた。しかし年明けからは上昇基調に一服感がみられ、中勢レベルで調整期に入り始めた印象が徐々に強まっている。
最近では米国での景気回復が欧州に先行するとの思惑でもユーロ売りドル買いの市場心理を助長している印象があるが、2日も深夜にかけてユーロドルが一段安となったきっかけはユーロ圏GDPの悪化だった。2月2日に発表されたユーロ圏の10-12月期GDPは前期比0.7%減となり市場予想の1.0%減には至らなかったものの7−9月期の12.4%増から大きく失速した。前年同期比は5.1%減となり予想の5.4%減を上回ったものの前期の4.3%減からさらに悪化した。2020年通年のGDPは前年比6.8%減で7年ぶりのマイナス成長となった。2021年1−3月期もマイナス成長が続くとの見方が強まっている。

主要通貨ではポンドが1月27日まで昨年3月来の最高値を更新するなど相対的な強さを維持しているが、豪ドルは1月6日に昨年3月来最高値を付けた後はジリ安基調で推移して2月2日もこの間の安値を更新している。メジャー通貨の加重平均であるドル指数も1月6日に89.21ポイントまで下げて昨年3月20日以降の最安値を更新したがその後は持ち直しの動きを続けており2月2日も91.28ポイントまで高値を伸ばしている。
今週末の米雇用統計から流れが変わる可能性もあるが、今のところは年初からのドル高優勢の展開を継続しているところであり、ドル円も1月6日安値を起点とし、1月11日高値を超えて二段上げに入って戻り高値試しを続けているところだ。昨年3月以降の下降トレンドの中でも周期的にリバウンドを入れてきたが、1月6日からのリバウンド規模は今のところ昨年5月6日から6月5日にかけて4円近い戻りを入れた時に近い印象もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1月28日夜から2月1日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、1月29日夕刻へ一段高したところから上げ渋りに入ってから2月1日夜に一段高したため、2月2日朝時点では1月29日夕高値を直近のサイクルトップ、上げ渋り持ち合い中の安値である2月1日午前安値104.60円を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして2月3日夕から5日夜にかけての間への上昇を想定した。2日深夜に高値を切り上げた後も確りしているので引き続きトップ形成中とし、弱気転換は104.50円を割り込む下落発生からとする。

60分足の一目均衡表では27日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破し、その後も両スパン揃っての好転を続けている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。また先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込み始める場合はいったん下げに入るとみて先行スパン下限への下落を想定する。

60分足の相対力指数は1月29日高値から2月2日未明への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられたが、2日深夜への一段高でもさらに指数のピークが切り下がる連続的な弱気逆行となっている。50ポイント前後では下支えが効いて一段高しているので、50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとする。また65ポイントを超えてくる場合は弱い逆行によるピークを結んだ抵抗線を突破することで弱気逆行ブレイクに入って上昇が勢いつく可能性もあるとみる。ただし50ポイント割れから続落に入る場合はいったん調整安入りとみて30ポイント台への低下へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.50円を下値支持線、105.25円を上値抵抗線とする。
(2)104.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、105.25円超えからは105円台後半を目指す上昇を想定する。105.50円超えではいったん売られやすいと注意するが、105円以上での推移なら2月4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.70円割れを弱気転換注意とし、104.50円割れからはいったん調整安に入るとみて104.25円前後への下落を想定する。株安債券高へ流れが変わって米長期債利回りが急低下するような場合は104円試しへ下値目途を引き下げる。また104.70円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/3(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
09:30 (豪) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 2.6%、予想 3.0%)
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
10:45 (中) 1月 財新サービス業PMI (12月 56.3、予想 55.5)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 46.8、予想 46.8)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 45.0、予想 45.0)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 38.8、予想 38.8)

19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.4%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 -1.9%、予想 -1.2%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 -0.3%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (12月 0.2%、予想 0.9%)
22:15 (米) 1月 ADP・非農業部門雇用者数 前月比 (12月 -12.3万人、予想 4.9万人)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 57.5、予想 57.4)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 57.2、予想 56.8)
27:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
28:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

2/4(木)
06:45 (NZ) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 1.2%)
06:30 (豪) 12及び1月AiGサービス業PMI (11月 52.9)
07:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、議会証言
09:00 (NZ) 2月 NBNZ企業信頼感 (1月 9.4)
09:30 (豪) 豪中銀、四半期金融政策報告
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 50.22億豪ドル、予想 90.00億豪ドル)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -6.1%、予想 2.0%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -2.9%、予想 0.4%)

21:00 (英) 英中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:00 (英) 英中銀資産買取規模 (現行 8950億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (7−9月 4.6%、予想 -3.1%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (7−9月 -8.9%、予想 3.7%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 84.7万件、予想 83.5万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 477.1万人)
22:30 (英) ベイリー英中銀総裁、デギンドスECB副総裁、討論会参加
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 1.0%、予想 0.7%)


注:ポイント要約は編集部

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