ドル安トレンドは短期的には終了(週報2月第1週)

先週のドル円は、水曜NY市場までは103円台後半の狭い値幅で動きが出ない展開が続いていましたが、ユーロドルの下げをきっかけに全般的なドル買いとなりました。

ドル安トレンドは短期的には終了(週報2月第1週)

ドル安トレンドは短期的には終了

〇先週のドル円、水曜NY市場までは103円台後半で動きが出ない展開、その後全般的なドル買いに
〇ECB関係者によるユーロ高けん制発言がドル高の流れを作る
〇今週は主要国からの経済指標が連日目白押し、米国雇用統計の発表は数字次第では神経質な動きを示すか
〇最大の材料は米国株が続落するのか、その動きが為替相場にどのような影響を与えるのか
〇株安は対ユーロではドル買いに反応、ドル円は株安からの日経平均の下げがドル売りとなる相関が多い
〇今週は株式相場が続落すれば円高の動き、下げ止まる場合はドル円はもみあいという流れに
〇今週は104.20レベルをサポートに105.10レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円は、水曜NY市場までは103円台後半の狭い値幅で動きが出ない展開が続いていましたが、ユーロドルの下げをきっかけに全般的なドル買いとなりました。その後一日挟んで金曜には月末実需と思われるドル買いとストップオーダーにより105円近い水準までドル高が進み、1月上旬以降続いていた緩やかなドル安が終わった流れです。

先週は円の材料ではありませんでしたが、最近目立っていたECB関係者によるユーロ高けん制発言が最終的にドル高の流れを作ったこととなります。そして、週報でもずっと見てきた昨年7月からのレジスタンスラインが先週時点では104.35レベルから下げてきていましたが、木曜に同ラインを上抜け金曜の週末終値で明確に上抜けたことで、半年に渡って続いていた下降トレンドが終わったということになります。

問題はここからですが、これまでのチャンネルを上抜けたものの依然としてドル安の流れが続くかどうかです。材料的には米国の超緩和で大きく水準が上がっている株式相場が変調を来していること、財政支出により新型コロナ対策の追加支援がバイデン大統領案でまとまらないにしても、金額が縮小すれば共和党も同意し、最終的には財政赤字拡大の懸念が続くことから大きなドル安の流れそのものには変化は起きにくいと見ています。

また今週は月初で主要国からの経済指標が連日目白押しですし、米国雇用統計の発表もあり、数字次第では神経質な動きを示しやすいと言えますが、最大の材料は米国株が続落するのか、あるいは下げ止まるのか、そしてその動きが為替相場にどのような影響を与えるのかが最も大きな材料となります。NYダウを例にあげると、これまでの高値圏もみあいから下げに転じて日が浅い上に、1月は月間安値を更新しての引けとなりましたので、短期的にはこの流れを継続しやすいと考えられます。

その場合、株安の動きが欧州株に波及、欧州株安がユーロ安・ドル高という展開はこれまでも見られましたが、果たしてドル円でもドル高となるのかについてはやや疑問です。これまでもドル円はドルの動きをすることもユーロ円で円の動きをすることもあり、明確に株式市場のリスクオフがドル円ではこうだという明確な動きは見られません。コロナショック以降、株安によりリスクオフはドル買いだという見方は多いものの、ことドル円に関しては株安による日経平均の下げが円高となる相関のほうがこれまでは多かった印象です。

今週は株式相場が続落すれば上述の円高の動きとなりそうですが、逆に株式市場が下げ止まる場合にはドル円はもみあいという流れになるのではないかと見ています。

もっとも重要なテクニカルも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ピンクの太線で示した昨年7月高値からの下降チャンネルを上抜けました。これでこれまでの下降チャンネルは終わり、現在は1月安値とその後の押しを結んだサポートラインとそれに平行なラインとで構成される上昇チャンネルの中での動きに転じました。これまでのチャンネルは長期チャンネルでしたが、現時点の新しい上昇チャンネルは短期的なもので今後どうなるかはまだ確定できません。

テクニカルには1月安値を起点とした上昇N波動を考え、上値のターゲットをフィボナッチ・エクスパンションで計算すると100%エクスパンションが105.11となり、今週中一度は105円台乗せを見ると考えられます。ただ、105円の大台でドル売りオーダーもそれなりに出てくると考えられ、このターゲットを大きく抜けることは出来ないと言えるでしょう。

いっぽうで下値は抜けたレジスタンスがサポート、今週末には104.15レベルへと水準を切り下げていきます。純粋にテクニカルな観点から今週は104.20レベルをサポートに105.10レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月1日(月)
10:45 中国1月MarkIt製造業PMI
16:00 ドイツ12月小売売上高
16:00 トルコ1月製造業PMI
17:50 フランス1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月製造業PMI
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏12月失業率
23:45 米国1月製造業PMI
24:00 米国1月ISM製造業景況指数
24:00 米国12月建設支出
26:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
28:00 アトランタ連銀総裁講演、(ボストン連銀総裁講演)

2月2日(火)
12:30 豪中銀政策金利発表
16:00 英国1月住宅価格
16:45 フランス1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
28:00 (クリーブランド連銀総裁講演)
30:45 NZ10〜12月期失業率

2月3日(水)
09:30 豪州12月住宅建設許可件数
10:30 豪中銀総裁講演
10:30 中国1月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ1月CPI
17:50 フランス1月サービス業PMI
17:55 ドイツ1月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI
18:30 英国1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏12月PPI
22:15 米国1月ADP全国雇用者数
23:45 米国1月サービス業PMI
24:00 米国1月ISM非製造業景況指数
24:30 週間原油在庫統計
27:00 (セントルイス連銀総裁講演)
30:45 NZ12月住宅建設許可件数

2月4日(木)
07:00 シカゴ連銀総裁講演、(クリーブランド連銀総裁講演)
09:00 NZ12月企業信頼感
09:30 豪州12月貿易収支
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
21:00 英中銀MPC結果発表
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国10〜12月期単位労働コスト速報値
24:00 米国12月製造業新規受注
28:00 サンフランシスコ連銀総裁講演

2月5日(金)
09:30 豪中銀四半期金融政策報告
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
16:45 フランス12月貿易収支
22:30 米国1月雇用統計
22:30 米国12月貿易収支
22:30 英中銀総裁講演、デギンドスECB副総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月25日(月)
ドル円は動きが鈍い一日でした。NY市場でユーロドルの下げに引っ張られて一時103.94レベルの高値をつけましたが、それでもレンジは27銭に留まり、狭い値幅で方向感が無いままに終わりました。

1月26日(火)
ドル円は前日に続き動きが鈍い一日でしたが、ユーロドルが前日とは逆にユーロ買いに動いたことから、ドル円もドル売りとなり103円台半ばへと押して引けました。

1月27日(水)
ドル円はユーロ売りの動きに追随してのドル高相場となりました。東京市場ではドルが底堅い程度の動きに留まっていましたが、欧州市場に入りユーロ売りが強まる流れの中でドル円も上昇。NY市場に入り週間高値を更新し104円台に乗せる動きとなりましたが、104円台前半ではドル売りオーダーも見られ高値圏でもみあいのまま引けました。

1月28日(木)
ドル円は東京朝方にNY高値を上抜けると水準をやや切り上げ、その後は104.30を中心に狭い値幅でのもみあいとなっていました。NY市場でユーロ円が上昇時に104.46レベルの高値をつけましたが、積極的買い仕掛ける動きまでは見られませんでした。

1月29日(金)
ドル円は東京朝方から実需のドル買いが目立つ中で前日高値を上抜け、ストップオーダーも巻き込みながら104.57レベルまで上昇しました。昨年7月以降の長期レジスタンスを上抜ける動きとなり、週末終値も同レジスタンスを上抜ける可能性が出てきたことから底堅い動きを続け、欧州市場では対ユーロでも円安が進行し欧州市場朝方には104.94レベルの高値をつけました。その後は105円の大台を試せなかったこと、月末ということもあって104円台半ばから後半でもみあいのまま引けました。

ディスクレーマー

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