過去2週間のレンジ底割れ、ドル続落か
〇ドル円、日中は103.65-70と小幅に値を上げるもその後103.30-35まで下落
〇バイデン新米大統領は就任後すぐにWHO脱退の取り下げを命じるなど精力的な動き
〇本日発表の米1月フィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などに注意
〇ECBによる政策金利発表とラガルド総裁の会見にも注視
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.00-103.90
<< 東京市場の動き >>
21日の東京市場は、ドルが冴えない。レンジは狭いが103.30円台まで下落し、7日以来の安値を一時示現している。
ドル/円は103円半ばで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。日中高値である103.65-70円へと小幅に値を上げた。しかし買いは続かず、その後は逆にじり安推移に。途中、日銀から決定会合の結果として「金融政策の現状維持」などが伝えられるなか、連日の直近安値を下回る展開になると、一時103.30-35円まで軟落している。16時現在でもドルの上値は重く、安値圏の103.40円挟みで推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「バイデン新米大統領就任」と「米中関係」について。
前者は、2万5000人もの州兵を導入したこともあり、新米大統領の就任式は大きな混乱もなく実施され、民主党のバイデン氏が「第46代米大統領に正式就任」した。そして、事前に報じられていたように、就任後スグに「WHOの脱退取り下げを命じた」(補佐官)とされるなど、精力的な動きにより前任者である「トランプ路線からの転換」も一部で観測されていたようだ。なお、日本の菅首相はバイデン氏への祝意を改めて示したうえで、「日米同盟のさらなる強化とともに電話会談の実現」にも意欲を示していた。
対して後者は、前日のバイデン米政権における複数の新閣僚が臨んだ承認指名公聴会で、中国に対して厳しいコメントが幾つか発せられたが、昨日は中国サイドからの「反撃」が数多く目につく。たとえば、中国のチャイナモバイルなどが「NY証券取引所に対し、上場廃止決定の見直し」を要請したほか、中国外務省は「中国の内政に干渉した」と批判したうえで、「ポンペオ前国務長官を含む28人の米国人に制裁措置を導入」したと発表している。また、中国外務省は同時に、退任直前のポンペオ氏が発した「ウイグル人大量虐殺」話を「中国国内で過去に一度も起きたことはない。言語道断のウソ」などと完全否定したという。
<< 欧米市場の見通し >>
19日にレンジの上抜けが失敗に終わったドル/円相場は、昨日一転して下値をうかがう動き。そして本日東京時間にもドルは小幅に続落すると、前述したように7日以来の安値、一時103.30円台を示現した。ちなみに、ここまでの年初来安値である102.60円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは、61.8%押しが103.25-30円で、76.4%押しは103.00-05円となる。それらを下回ると、いよいよ102円台突入も。
そうしたなか、足もとは引き続き「新型コロナとワクチン接種」に関するニュースに注意を払いつつ、新大統領に就任としたバイデン氏の行動を中心とした新政権の政策が注視されている。先で取り上げように、早速「WHOの脱退取り下げを命じた」ことに続き、本日中に「コロナ対応に関して会見を行う」見込みとされるなど、なかなか精力的だ。それ以外、経済や金融、対中政策などについての関心も市場では高い。
テクニカルに見た場合、ドル/円は過去2週間程度形成していたレンジをわずかながら下抜けてきた感がある。と言うことは、移動平均においても下値を支えてきた21日線(103円半ば)を割り込んできたことになるわけだ。ただ、ここ数年来の相場はダマシが多いことが特徴であるため、足もとの下値トライは「本物」か否か、もう少しのあいだ情勢をしっかりと見極めたい。
なお、そんなドルの次のサポートはフィボナッチの観点からすると103.25-30円、103.00-05円などとなる。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン次期米大統領による政権運営と国内対外政策について」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、1月のフィラデルフィア連銀景況指数や、週間ベースの新規失業保険申請件数といった米経済指標が発表されるほか、IBMなどによる決算発表も実施される見込みだ。そのほか、ECBによる政策金利発表とラガルド総裁の会見をはじめとする幾つかの欧州ファクターにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.00-103.90円。足もと割り込んできている移動平均の21日線が位置する103円半ばが最初の抵抗。超えれば、直近高値104.08円がターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチで見たテクニカルポイントにも近い本日東京安値103.30-35円の攻防にまずは注目。割り込めば、ザックリ103円ちょうどを目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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