ドル円、上値の重い展開が継続。心理的節目103円トライも視野に
〇ドル円一時、2週間ぶり安値圏103.33まで下落、米新政権の経済対策への期待感などで上値重く
○ユーロドル欧米株上昇によるドル売り圧力等で、一時約1週間ぶり高値となる1.2173まで上昇
○ECBは金融政策の据え置きを決定、ラガルド総裁会見の影響も強弱まちまち
○ドル円一目均衡表三役逆転が点灯するなど強い売りシグナルが示唆
○ファンダメンタルズも新型コロナ感染拡大によるリスク回避の円買いなど、ドル下落材料増加
○本日の予想レンジ:103.00ー103.80
海外時間のレビュー
21日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@バイデン新政権の経済対策への期待感や、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力(米株上昇→ドル売り)、B日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことに伴う失望感(日銀は現行の金融政策の維持を決定。黒田総裁会見にもサプライズは見られず)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値103.33まで下落しました(1/7以来、2週間ぶり安値圏)。しかし、その後発表された、C米12月住宅着工件数(結果166.9万件、予想156.0万件)や、D米12月建設許可件数(結果170.9万件、予想160.4万件)、E米1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果26.5、予想11.5)、F米新規失業保険申請件数(結果90.0万件、予想91.0万件)が軒並み予想比良好な結果を示すと、ドル買いが優勢となり、米国時間午後にかけて、一時103.66まで反発する場面も見られました。もっとも、売り一巡後は上値を重くし、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、103.53近辺で推移しております。
21日(木)のユーロドル相場は上昇後に伸び悩む展開。@欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力や、Aイタリアの解散総選挙が回避されたことに伴う政局不透明感の後退、B短期筋のショートカバー(ショート勢のロスカット)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、約1週間ぶり高値となる1.2173まで上昇しました。しかし、1/14に記録した直近高値1.2179をバックに伸び悩むと、Cユーロ圏1月消費者信頼感指数(結果▲15.5、予想▲15.0)の冴えない結果も重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.2165近辺で推移しております。尚、昨日発表されたECB理事会では、予想通り現行の金融政策の据え置きが決定されました(主要政策金利の据え置き、パンデミック緊急購入プログラムの規模据え置き、フォワードガイダンスの維持)。ラガルド総裁会見では、「経済見通しの下方リスクは深刻さ緩和した」との見解が示された一方、「ユーロ高がインフレを抑制している」との発言もあった為、ユーロドル相場への影響は限定的(強弱まちまち)となりました。
本日の見通し
ドル円は1/11に記録した高値104.40をトップに反落に転じると、昨日は一時103.33まで下落しました。この間、日足ベースで一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、240分足では、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が点灯するなど、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。一目均衡表の雲が急ピッチで垂れ下がってきていることから、103円台後半では戻り売り圧力が強まると考えられます(上値余地は限定的。目先は心理的節目103.00や、1/7安値102.95、1/6安値102.58がターゲット)。
ファンダメンタルズ的に見ても、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にリスク回避の円買い(株式市場のバブル崩壊リスク→リスク回避のドル買い・円買い→クロス円下落→ドル円連れ安)が警戒されていることや、米金融緩和長期化観測を背景にドル売り圧力の再開(早期テーパリング観測の後退)も意識されるなど、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦の12月消費者物価指数の他、欧州各国のPMI速報値、米国のPMI速報値や米12月中古住宅販売件数に注目が集まります。
本日の予想レンジ:103.00ー103.80
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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