21日の中銀金融政策決定会合迫る中、大統領の高金利嫌悪発言が重石に
〇トルコリラ円、13日午前安値13.83を割り込み18日夕刻に13.74まで下落
〇18日夕安値後は13.80台を回復するも13.90には届かない状況
〇エルドアン大統領の高金利批判でトルコ中銀の金融引き締め懸念されリラ売りに
〇21日のトルコ中銀会合、追加利上げへ消極姿勢示すようならリラ安再燃のきっかけに
〇13.90超えからは13.97前後への上昇を想定
〇18日夕安値13.74割れからは13.65前後への下落へ向かうとみる
【概況】
トルコリラ円は1月18日夕刻に13.74円まで下落して1月7日高値14.25円以降の安値を更新した。1月7日高値から1月13日午前安値13.83円まで下げた後、14日深夜に14.10円まで戻したものの戻り高値は切り下がり、15日から18日夕刻への下落で13日午前安値を割り込んだために1月7日高値からの下落は二段下げ型に発展した。
1月7日高値からの下落基調はユーロドル等の下落と同様に全般的なドル高に押されたものであり、15日から18日への下落もユーロやポンド、豪ドルの続落と同調したものだが、エルドアン大統領が15日に現状の高金利状態を批判する発言を行ったことでトルコ中銀の金融引き締め姿勢にも影響が出るのではないかとの懸念もトルコリラへの売り圧力となったようだ。
1月18日夕安値の後はユーロの下げ渋り、ポンドや豪ドルの反発を見ながら13.80円台を回復したが、13.90円には届かない状況にある。
【エルドアン大統領の利上げ批判】
トルコのエルドアン大統領は1月15日にインフレ抑制には高金利は効果がないと最近のトルコ中銀による大幅利上げを批判するような発言を行ったと18日にロイターが報じている。1月15日深夜安値で13.99円まで急落する場面があったが、全般的なドル高と共にこの発言がリラ売り要因となったと分析した。エルドアン大統領は「高金利はどこにも行きつかない。為替相場の安定はインフレ対策で重要な役割を担うが、本当の課題は利下げによりインフレを抑制することだ」「米国や日本の金利はゼロだ」「一方、我々は高金利を誇っているような状態だ」と述べたという。
トルコの政策金利(週間レポレート)は2018年の通貨危機的なトルコリラ暴落時において、2017年12月の8.0%から2018年9月の24.0%へと大幅に引き上げられたが、これをエルドアン大統領は好まず、「政策金利とインフレ率の一桁」を掲げて当時の中銀総裁を更迭、2019年7月から連続利下げに入り2020年3月には9.75%として一桁台を実現、2020年5月には8.25%へさらに引き下げて2020年8月まで据え置きが続いた。しかしその間に消費者物価が大上昇に陥り、2019年10月に前年比8.55%だったところから2020年1月に12.15%へ上昇して政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥り、リラ安が再燃するきっかけとなった。
11月6日に中銀総裁が突然更迭されたことでトルコの金融政策正常化への期待が高まり、新総裁は11月19日に10.25%から15.0%へ利上げ、12月24日には17.0%へと連続利上げを行い、11月時点の消費者物価上昇率14.03%を上回って実質マイナス金利状態から脱却した。
しかし、この利上げがエルドアン大統領には気にくわないようだ。1月21日にトルコ中銀金融政策決定会合があるが、市場は現状維持とみているものの、利下げはないだろうとしても大統領の圧力も踏まえて追加利上げへ消極姿勢を示すようだとリラ安再燃のきっかけになりかねないと注目したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日午前安値から戻しに入ったため14日午前時点では13日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日夕から19日夕にかけての間への上昇を想定した。15日午前時点では14円割れからは弱気転換注意とし、14日夕安値13.91円割れからは弱気サイクル入りとしたが、15日深夜に14日夕安値を割り込んだために14日深夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクルに入った。ボトム形成期は18日夕から20日夕にかけての間と想定されるが、18日夕安値から反発しているので既にサイクルボトムを付けた可能性がある。13.90円を超えないうちは13.80円割れから下げ再開とみるが、13.90円を超える場合はいったん強気サイクル入りとして19日夜から21日深夜にかけての間への上昇を想定する。ただしその場合も戻りは短命の可能性があるので、13.90円を超えた後に13.80円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
60分足の一目均衡表では1月15日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。18日夕安値から戻しているために遅行スパンは好転しやすい位置にあるので、遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、いったん好転した後に再び悪化する場合は下げ再開を疑い安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は15日深夜から18日夕刻へ一段安する際に指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行を見せている。50ポイント以下での推移中は一段安余地が残るが、50ポイント超えからは60ポイント台前半を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月18日夕安値13.74円を下値支持線、13.90円を上値抵抗線とする。
(2)13.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.90円超えからは13.97円前後への上昇を想定する。13.97円以上は反落注意とするが、13.85円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.80円割れからは下げ再開注意とし、18日夕安値割れからは13.65円前後への下落へ向かうとみる。13.65円以下は反発注意とするが、13.80円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
1月20日
23:30 12月中央政府債務 (11月 187.2億リラ)
1月21日
16:00 1月消費者信頼感指数 (12月 80.1)
20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
20:30 週次外貨準備高 1/15時点 (1/8時点 486.8億ドル)
1月25日
16:00 1月製造業景況感 (12月 106.8、予想 100.9)
16:00 1月設備稼働率 (12月 75.6%)
注:ポイント要約は編集部
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