ドル円見通し 103円台中盤で確り、1月6日以降の上昇基調を維持できるか(21/1/19)

ドル円は、18日は米国市場の休場もあってほぼ横ばいの推移にとどまった。

ドル円見通し 103円台中盤で確り、1月6日以降の上昇基調を維持できるか(21/1/19)

103円台中盤で確り、1月6日以降の上昇基調を維持できるか 

〇ドル円、「抵抗線切り下がり・支持線ほぼフラット」型の三角持ち合いの様相
〇19日のイエレン氏公聴会、為替レートや財政出動に関する発言に注目
〇昨年3月からのドル安基調がいったん落ち着きドル高が試されてもよい状況
〇ドルの戻り短命なら戻り高値切り下がり6日安値試し、さらに底割れへ進む従来パターンの踏襲
〇104円超えからは14日昼高値104.19試し、超えれば11日夜高値104.39試しへ
〇13日昼安値103.52割れからは103円前後への下落を想定

【概況】

ドル円は米長期債利回り急上昇をきっかけとしたドル高を反映して1月6日午前安値102.59円から1月11日夜高値104.39円まで上昇したが、上昇一服から1月13日昼に103.52円まで下げたところから14日昼に104.19円まで戻した後は13日昼安値から14日昼高値までのレンジ内推移が続いている。15日以降はさらにレンジが縮小して103.60円台から103.92円までの範囲となり、18日は米国市場の休場もあってほぼ横ばいの推移にとどまった。
13日昼安値以降、安値ラインはわずかに切り上がっているものの戻り高値は14日昼から18日午前へと切り下がっており、「抵抗線切り下がり・支持線ほぼフラット」型の三角持ち合いの様相となっている。

【イエレン氏財務長官指名公聴会からバイデン大統領就任式へ】

1月19日はイエレン米財務長官候補に対する米議会上院の指名公聴会がある。WSJ紙はイエレン氏がトランプ大統領によるドル高けん制姿勢とは対照的にドル安を求めない姿勢を示す見通しと報じ、ロイター社報道でも「為替レートは市場が決めることでドル安を求めない」という姿勢を示すとされている。またバイデン次期政権による財政出動についてイエレン氏は「米国の債務負担を考慮せずに提案しているわけではなく、金利が過去最低水準にとどまる中で現時点で大きな行動を取ることが最も賢明な策だ」と表明して財政出動拡大姿勢を鮮明にするのではないかとされている。イエレン氏の公聴会発言からドル高へ向かうかドル安へ回帰するのか、一つのきっかけになりえるところとして注目する。

1月20日にはバイデン大統領就任式がある。バイデン政権発足への期待が年末から年明けへの米国株高を推進してきた印象だが、1.9兆ドル規模の経済対策を表明したことにより当面の株高材料を消化したと市場は受け止めてNYダウが1月13日から15日にかけて利食い売り優勢となって3日間続落した印象だ。さらに株高を継続させてゆく推進力、先高感を市場に持たせることができるかどうか、政権発足後の動きと株式市場の反応にも注目される。

【ユーロドルの下落、ドル指数の反騰気配】

昨年3月のコロナショック以降、米国株式市場は足元の感染拡大問題よりも先行きの景気回復期待を優先させて大上昇してきた。株高が為替市場のリスク選好感を高めてユーロ、ポンド、豪ドル等が買われ、ドル円においてもドル安円高基調での推移が続いてきた。しかし米国債の大量発行による債券需給緩和感もあって米長期債利回りが急上昇に入ったことで為替市場はドル買い戻しの動きが強まり、ユーロドルは1月6日に昨年3月以降の最高値を更新したところから下落に転じた。

ユーロドルの1月6日高値からの下落規模は今のところ9月1日高値からの下落時に近い印象だが、当時は52日移動平均を割り込むところまで下げており、今回は18日時点で52日移動平均まで下げたところであり、前回同様に52日移動平均線割れの水準まで安値を切り下げてゆく可能性も考えられる。またドル指数も1月6日安値からの反騰を継続しており、26日移動平均を超えて高値を切り上げている状況は9月1日安値からの反騰時に近い印象がある。これらを踏まえると、昨年3月からのドル安基調がいったん落ち着きドル高が試されてもよい状況といえる。ただし、ドル指数は昨年9月1日からの反騰も、その前の6月10日からの反騰も長続きせずに戻り高値を切り下げて一段安を繰り返しており、今回もその範囲にとどまる

ユーロドル、ドル指数の動きを踏まえてドル円を見れば、ドルの戻りが短命なら、11月6日から11月11日へ戻してから失速したようにドル円の戻りも短命で戻り高値切り下がりにとどまり、103.50円割れから1月6日安値試しへ向かい、さらに底割れへ進む従来パターンの踏襲となるが、ドル高の勢いがやや大きく継続する場合には5月6日から6月5日まで1か月間の戻りで4円近くの上昇となった時のレベルへ発展する可能性もまだ残るところと思われる。下降トレンド内での下落基調の継続性を踏まえつつ、戻りが大きくなる可能性もあるところとして注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日夜の反騰で104円にせまったために14日朝時点では13日昼安値を割り込む場合は新たな下落期入りとするのを妥当とみて13日昼安値を直近のサイクルボトムとした。14日昼に104円を超えたところからの反落で13日昼安値に迫り、その後も横ばい推移のため、14日昼高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクルに入っていると思われる。安値形成期は18日昼から20日昼にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、104円以下での推移中は一段安余地ありとし、104円超えからは強気サイクル入りとして19日昼から21日昼にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い推移に入っているために方向感に乏しいので、104円超えからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、13日昼安値割れからは持ち合い下放れに入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合い推移のため50ポイントを挟んで前後10ポイント程度の範囲で推移している。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、50ポイント以下での推移中はもう一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月13日昼安値103.52を下値支持線、1月14日昼高値104.19円を上値抵抗線とする。
(2)13日昼安値割れ回避のうちは上昇再開余地ありとし、104円超えからは14日昼高値試しとし、さらに超えれば11日夜高値104.39円試しへ向かうとみるが、104.30円以上は反落注意とし、その後に103.80円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)13日昼安値割れからは11日夜高値からの下落が二段下げに入るため、103円前後への下落を想定する。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、103.50円以下での推移が続く場合は20日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/19(火)
米上院財政委員会、イエレン氏の財務長官指名承認公聴会(24:00)
米上院外交委員会、ブリンケン氏の国務長官指名承認公聴会
EU非公式財務相理事会
国際エネルギー機関(IEA)月報

16:00 (独) 12月 消費者物価指数・改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (独) 12月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調済 (10月 266億ユーロ)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調前 (10月 341億ユーロ)
19:00 (独) 1月 ZEW景況感・期待指数 (12月 55.0、予想 60.0)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前月比 (10月 0.5%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前年同月比 (10月 -1.4%)
27:00 (英) ホールデン英中銀理事、講演
30:00 (米) 11月 対米証券投資・短期債除く (10月 519億ドル)
30:00 (米) 11月 対米証券投資・全体 (10月 -104億ドル)

1/20(水)
バイデン氏が米大統領に就任
中国全国人民代表大会(全人代、常務委員会)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合 1日目

08:30 (豪) 1月 ウエストパック消費者信頼感指数 (12月 112.0)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 -0.1%、予想 0.2%)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 0.3%、予想 0.5%)
16:00 (英) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 1.1%、予想 1.3%)
16:00 (英) 12月 生産者物価コア指数 前年同月比 (11月 0.9%)
16:00 (独) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数・改定値 前年同月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 86、予想 85)
26:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、イベント参加

注:ポイント要約は編集部

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