トルコリラ円見通し ドル安背景に戻すも14円に届かず失速、戻り高値は切り下がり(21/1/20)

トルコリラ円は19日夕刻に13.99円まで上昇したが、その後はドル安一服感から戻り一巡となり失速、20日朝には13.83円まで下げた。

トルコリラ円見通し ドル安背景に戻すも14円に届かず失速、戻り高値は切り下がり(21/1/20)

ドル安背景に戻すも14円に届かず失速、戻り高値は切り下がり

〇トルコリラ円、19日夕刻に13.99まで上昇後失速、20日朝に13.83まで下げる
〇現状は1/7高値を起点とした下降チャンネルの範囲内
〇21日の中銀金融政策、大統領の発言踏まえた金融引き締め姿勢のトーンダウン懸念
〇19日夕高値13.99超えからは14.0円台後半試しを想定
〇13.80割れからは18日夕安値13.74試し、底割れからは13.65前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は1月15日から18日にかけてのドル高局面でドル高リラ安となり1月18日夕安値で13.74円まで下落して1月7日高値14.25円以降の安値を更新したが、その後はドル高一服で下げ渋り、19日はドル安へ流れが変わってユーロ等のメジャー通貨が上昇したことに加えてメキシコペソや南アランドも上昇して新興国通貨高となった局面で対ドルでリラが上昇となり19日夕刻には13.99円まで上昇した。しかし14円には一歩届かず、その後はドル安一服感から戻り一巡となり13.90円割れへ失速、20日朝には13.83円まで下げた。

【1月7日からは下降チャンネル】

11月7日のトルコ中銀総裁と財務相更迭からトルコ金融政策の正常化期待となり、11月6日まで史上最安値を更新していたところからリラ高へと基調転換に入り、11月19日と12月24日の連続利上げによりトルコリラ円及び対ドルでのトルコリラは高値を切り上げてきた。世界的な株高の継続による為替市場のリスク選好的なドル安もトルコリラ高を助長してきた。しかし年始にユーロやポンド、豪ドルなどが昨年来の最高値を更新する中でトルコリラ円も1月7日に14.25円まで上昇したものの、その後は自身の高値警戒感とドル高のぶり返しにより下落に転じた。
1月13日午前安値13.83円まで下げたところから14日深夜高値14.10円まで戻したものの戻り高値は切り下がりにとどまり、1月18日夕刻安値で13.74円まで下げて13日午前安値を割り込んだ。19日夕刻への上昇でも1月14日深夜高値からは切り下がりにとどまり、1月7日高値と14日深夜高値を結ぶ右肩下がりの抵抗線突破には至らなかったため、現状はまだ1月7日高値を起点とした下降チャンネルの範囲内にある。

【21日の中銀金融政策、予想は現状維持だが、大統領による高金利批判への忖度はあるか?】

トルコ中銀は11月19日に10.25%から15.0%へ、12月24日にはさらに17.0%へ政策金利を引き上げた。いずれの利上げも市場予想を上回る水準となり、リラ反騰を助長した。11月7日から就任したアーバル総裁は12月24日の中銀声明で「できる限り早期にインフレ見通しリスクを排除し、インフレ期待を抑えディスインフレプロセスを回復させるために強力な金融引き締めを導入した」とし、その後も「インフレが目標に従う形での永続的な下落と物価の安定性が指標によって強く示されるまで金融引き締め姿勢を断固として維持する」と述べてきた。

新総裁による連続利上げやこれらの発言を受けて、高金利を嫌って「政策金利とインフレ率を一桁にする」としてきたエルドアン大統領の姿勢も変化したのではないかとの憶測を呼んでいたのだが、エルドアン大統領は1月15日に「高金利はどこにも行きつかない。為替相場の安定はインフレ対策で重要な役割を担うが、本当の課題は利下げによりインフレを抑制することだ」「米国や日本の金利はゼロだ」「一方、我々は高金利を誇っているような状態だ」等と述べて現行の高金利状態への不満を述べた。
1月21日の中銀金融政策では二度の大幅利上げの後だけに現状維持と当初から市場も予想してきたが、大統領の圧力的な発言を踏まえて中銀の金融引き締め姿勢がトーンダウンすることも懸念される。いとも簡単に中銀総裁の首のすげ替えをする剛腕大統領だけに、21日の中銀金融政策声明の内容次第ではリラ安への波乱もあり得るところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日午前安値から3日目となる18日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰に入ったと思われる。高値形成期は14日深夜高値を基準として19日夜から21日深夜にかけての間と想定されるが、既に19日夕高値でサイクルトップを付けて下落期に入っている可能性もある。13.80円を上回るうちは上昇余地も残るが、13.80円割れからは18日夕安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして21日午後から25日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では19日夕刻への上昇で先行スパンを上抜いたものの再び潜り込んでいる。遅行スパンも悪化しやすい位置にある。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日夕刻に60ポイント台後半へ上昇したがその後の反落で50ポイントを割り込んでいる。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント以下を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月18日夕安値13.74円を下値支持線、19日夕高値13.99円を上値抵抗線とする。
(2)13.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.99円超えからは14.0円台後半試しを想定する。14.05円以上は反落注意とするが、13.90円以上での推移なら21日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.80円割れからは下げ再開と仮定して18日夕安値試しとし、底割れからは13.65円前後への下落を想定する。13.65円以下は反発注意とするが、13.80円を割り込んだ後も13.85円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月20日
 23:30 12月中央政府債務 (11月 187.2億リラ)
1月21日
 16:00 1月消費者信頼感指数 (12月 80.1)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
 20:30 週次外貨準備高 1/15時点 (1/8時点 486.8億ドル)
1月25日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 106.8、予想 100.9)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 75.6%)

トルコ中銀金融政策決定会合予定 2021年は、1月21日、2月18日、3月18日、以降は未定。

注:ポイント要約は編集部

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