104円までいったん戻すも維持できず、戻り高値は切り下がり
〇ドル円、夕刻に104.08まで高値伸ばすも深夜以降104円割り込む
〇対ドルでユーロやポンドは高値切り上げ、豪ドルやNZドルは深夜に反落とまちまち
〇NYダウ前日比116.26ドル高、ナスダック総合指数198.68ポイント高と上昇
〇19日のイエレン氏公聴会、大型財政出動への積極姿勢が株式市場の楽観を助長
〇米FRBの長期債利回り上昇に対する今後の姿勢に注目
〇19日夕高値104.08超えからは14日昼高値104.19、11日夜高値104.39を順次試す
〇19日未明安値103.63割れからは03.25円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は19日午前から昼にかけての上昇で104円を超え、夕刻には104.08円まで高値を若干伸ばしたがその後は104円を挟んだ小動きにとどまり、19日深夜以降は104円を割り込んだ水準での推移となっている。
1月15日からのドル高が18日夜に一服となり、19日はユーロや豪ドル、ポンド等が総じて上昇したためにドルストレートではドル全面安となる一方、クロス円では円の全面安となったため、ドル円は円安とドル安の圧力が交錯する中で昼にかけては円安優勢となって104円超えへ上昇したが、その後は円安とドル高が拮抗したことで板挟みとなり、19日深夜以降はドル安も一服となったことでやや円高が勝る形で104円を割り込んだ推移に入ったようだ。
【1月11日夜高値と13日昼安値までのレンジ内推移続く】
ドル円は米長期債利回り急上昇をきっかけとしたドル高を反映して1月6日午前安値102.59円から1月11日夜高値104.39円まで上昇した。上昇一服から1月13日昼に103.52円まで反落した後はこの高安レンジ内での推移が続いている。14日昼に104.19円まで戻したところから15日未明に103.56円まで失速、19日夕刻への上昇でも14日昼高値超えには至らず、戻り高値は切り下がり基調のままとなった。安値も13日昼から15日未明、19日未明へと若干切り上げているためややレンジ縮小型の持ち合いの様相となっている。
週末まで3日間続落していたNYダウは4日ぶりに反騰、19日の日中からダウ先物等が上昇したことで株高によるリスク選好感がユーロ等の上昇要因となったが、その一方で米長期債利回りは高止まりとなり、ユーロやポンドが19日深夜へ高値を切り上げたものの豪ドルやNZドルは深夜に反落するなどドルストレートでのドル高感もややまちまちとなっている。ドル円にとってもリスク選好的なクロス円の上昇と米長期債利回りの高止まりがプラス要因ではあるが、ドルストレートでのドル安と感染拡大の深刻化による心理的な圧迫感が上値を抑えて強弱板挟みとなる結果、持ち合いにつかまった状況と思われる。
【イエレン次期財務長官、積極財政方針】
1月19日のNYダウは前日比116.26ドル高と上昇、ナスダック総合指数も198.68ポイント高と上昇した。NYダウは1月14日に史上最高値の3万1223.78ドルを付けたものの、終値ベースでは13日から15日まで3日間の続落となり、連休前の15日には前日比177.26ドル安と下げていた。連休明けに反騰したことで楽観的な株高基調が復調した印象だ。
1月19日深夜にはバイデン次期政権の財務長官に指名されているイエレン前FRB議長に対する上院公聴会が開かれて発言に注目が集まっていたが、事前にWSJ紙やロイター社等が発言主旨を報じていたためにサプライズはなかったものの大型財政出動への積極姿勢が株式市場の楽観を助長した。
イエレン氏は追加の新型コロナウイルス対策で大きく行動するように呼び掛け、債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとして積極的な財政出動に取り組む決意を示した。現在の低金利水準では大規模な国債発行を伴う財政出動による負担は小さいためにより積極的な行動が求められるとの姿勢だ。20日にはバイデン大統領の就任式もあるが、すでにバイデン政権は1.9兆ドルの追加景気対策を表明しており、議会審議の難航もある程度予想されているものの積極的な財政拡大へ向かう見込みだ。ただしそのことが米長期債利回りの急上昇を招いたこともあり、今後の米FRBが長期債利回り上昇をどう判断するのか、あるいは長期債利回りの上昇を抑制する姿勢を示すようになるのか注目される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日昼安値を前回のサイクルボトムとしていたが、14日昼に104円を超えたところからの反落で13日昼安値に迫ったために14日昼高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしているとした。また安値形成期は18日昼から20日昼にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるとし、19日朝時点では104円超えからは強気サイクル入りとした。
19日昼の上昇で104円をいったん超えたため、19日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は19日昼から21日昼にかけての間と想定されるので既に19日夕高値でサイクルトップを付けた可能性もあるので、19日未明安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして21日深夜から26日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では持ち合い推移のため遅行スパン及び先行スパンは実線との交錯が繰り返されて方向感に欠ける。19日夕高値104.08円超えからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、19日未明安値割れからは持ち合い下放れに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は19日昼の上昇で75ポイントまで上昇したがその後は失速して50ポイントを挟んだ揉み合いで推移している。60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月19日未明安値103.63円を下値支持線、1月19日夕高値104.08円を上値抵抗線とする。
(2)19日未明安値割れ回避のうちは上昇再開余地ありとし、104.08円超えからは14日昼高値104.19円、11日夜高値104.39円等を順次試すとみる。11日夜高値超えからは104.50円超えを目指すとみるが、104.30円以上は反落注意とし、その後に103.80円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)19日未明安値割れからは持ち合い下放れへ進むと仮定して103.25円前後への下落を想定する。103.25円以下は反発注意とするが、19日未明安値を割り込んだ後も103.75円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1/20(水)
バイデン氏が米大統領に就任
中国全国人民代表大会(全人代、常務委員会)
日銀・金融政策決定会合 1日目
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 -0.1%、予想 0.2%)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 0.3%、予想 0.5%)
16:00 (英) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 1.1%、予想 1.3%)
16:00 (英) 12月 生産者物価コア指数 前年同月比 (11月 0.9%)
16:00 (独) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数・改定値 前年同月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 86、予想 85)
26:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、イベント参加
1/21(木)
EU首脳会議
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 3.50%、予想 3.50%)
08:50 (日) 12月 通関貿易統計・季調前 (11月 3668億円、予想 9530億円)
08:50 (日) 12月 通関貿易統計・季調済 (11月 5702億円、予想 7554億円)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 (11月 9.00万人、予想 5.00万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 6.8%、予想 6.7%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.00%、予想 17.00%)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 96.5万件、予想 86.8万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 527.1万人)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数・年率換算件数 (11月 154.7万件、予想 156.0万件)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 前月比 (11月 1.2%、予想 0.8%)
22:30 (米) 12月 建設許可件数・年率換算件数 (11月 163.9万件、予想 160.0万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 前月比 (11月 6.2%、予想 -2.1%)
22:30 (米) 1月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (12月 11.1、予想 12.0)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感速報値 (12月 -13.9、予想 -15.0)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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