上下とも試しきれず、上値が重いもみあい継続
〇先週のドル円、週初11日に104.40レベルの戻り高値後13日に103.53の週間安値に
〇年初来安値の102.58レベルから2円近い買い戻しで短期筋のドル売りは解消
〇先週半ば以降のユーロ売りの材料が対円でも下げ、円買いの動きに繋がる
〇21日のECB理事会、引き続きユーロの動向がドルの動きに影響を与える可能性
〇米金利低下の動きが出てくればドル円はドル安方向に動きやすくなる
〇今週は103.20レベルをサポートに104.20レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円は、週前半は前週6日につけたドル安値102.58レベルからの買い戻しが続き、週初11日には104.40レベルの戻り高値をつけました。その後火曜NY市場前場まではドル高値圏でのもみあいを続けていましたが、一時的とはいうもののユーロドルでのユーロ買い戻しによるドル売りが、翌日にはドル円を103.53レベルと週間安値を見ることとなりました。結局週前半に上も下も見てドル円はもみあいのまま一週間を終えています。
しかし、ドル円に関しては年初来安値となった102.58レベルから2円近い買い戻しが入ったことで短期筋のドル売りは解消されたと見られますし、株価も木曜を高値に下げてきていることを考えると、ドル円の上値は重くなりがちです。また先週半ば以降のユーロ売りの材料が対ドルだけでなく対円でも下げたことも円買いの動きに繋がったと考えられます。
今週は材料的にはドルの動きに大きく影響を与えるものは少ないのですが、21日にECB理事会があり引き続きユーロの動向がドルの動きに影響を与えそうなこと、また現状維持で無風通過とはなりそうですが、同日に日銀会合の結果発表と黒田日銀総裁の会見もありますので、念のために注意しておきましょう。個人的には先週木曜のパウエルFRB議長の発言で利上げは当面ないという点は気にしておくべきかと思います。
米国10年債利回りは12日には1.187%まで上昇していましたが、その後下げに転じ翌日には1.073%まで0.1%以上の調整が入った後でのパウエルFRB議長の発言です。おそらくFRBとしては最近の長期金利上昇も気にしているでしょうから来週のFOMCで現状の米金利について何らかの言及がありそうですし、金利低下の動きが出てくればドル円はドル安方向に動きやすくなると言えるでしょう。
また、今週20日(日本時間21日午前2時)にはバイデン大統領の就任式がありますが、こちらは祭典的な要素が強く、既に財政支出の増大については出ていることを考えると、市場への影響は事件でも無い限り少ないでしょう。ただ議会への侵入事件以降は警備も厳しくなっているため、事件は起きないと思われます。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
チャートは年初来のドル安値以降は米金利上昇を主な要因としたドル高相場となりましたが、短期的にはいったん上昇が止まり来週のFOMCに向けてもみあいになってくることを考えると積極的にドルを買う材料は無さそうです。テクニカルにもザラバのチャートでは高値を切り下げる動きが続いています。
日足ベースでは依然として7月高値からのレジスタンスライン(ピンクの太線)が強力で現時点では104円台半ばを下降中で、先週の高値が目先の高値となった可能性が強まっています。いっぽうで下のラインは平行チャンネルよりも内側、11月安値と1月安値を結んだライン(ピンクの細線)がサポート圏になっていると見てよいのですが、かなり距離があり、1月安値と高値との61.8%押しとなる103.27(青のターゲット)が現在のサポートになると見ています。
今週はもみあいを継続しやすい動きの中で若干上値が重たい流れを考え、103.20レベルをサポートに104.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月18日(月)
**:** 米国市場休場
11:00 中国10〜12月期GDP
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
22:30 英中銀総裁講演
**:** ユーロ圏財務相会合
1月19日(火)
09:01 英国1月住宅価格
16:00 ドイツ12月CPI
18:00 ユーロ圏11月経常収支
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏11月建設支出
**:** EU財務相会合
**:** イエレン次期財務長官公聴会
1月20日(水)
08:30 豪州1月消費者信頼感
**:** 日銀会合(〜21日)
16:00 英国12月CPI・PPI
17:00 南ア12月CPI
19:00 ユーロ圏12月CPI
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:00 米国1月NAHB住宅市場指数
26:00 米国大統領就任式
1月21日(木)
08:50 本邦12月貿易収支(通関統計)
09:30 豪州12月失業率
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:45 フランス1月企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国1月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国12月住宅着工・建築許可件数
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
30:45 NZ10〜12月期CPI
1月22日(金)
08:30 本邦12月CPI
09:01 英国1月消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値
23:45 米国1月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国12月中古住宅販売
25:00 週間原油在庫統計
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月11日(月)
東京市場が休場となった月曜はユーロ安がリードしてのドル高が続きました。アジア市場が始まってすぐ金曜高値を上抜け、NY市場までは104円台前半でのもみあいとなりました。NY市場前場には再びドル買いの動きが強まり一時104.40レベルと1か月ぶりの高値をつけ、その後は欧州市場もみあいの水準に押して引けました。
1月12日(火)
ドル円はNY市場後場まで104円台前半の狭いレンジの中で、底堅いものの月曜高値は試せずの状態が続きました。NY前場に104.34レベルの高値をつけましたがそれ以降は上値が重くなり、NY後場以降は欧州通貨高によるドル売りに足並みを揃えて103.72レベルまで押して安値圏での引けとなりました。
1月13日(水)
ドル円は前日NY市場の下げを受けて東京市場ではドル売りが先行したものの103.52レベルを安値に下げきれず、103.50以下でのドル買いオーダーが見られました。欧州市場以降はユーロドルの下げに引っ張られてのドル買い戻しとなりましたが、こちらも高値が104.00レベルと104円台でのドル売りオーダーがあり、上下ともオーダーに阻まれて動きが出にくい地合いとなりました。
1月14日(木)
東京市場ドル円は株高を材料に円安が進みましたが104.20レベルを高値に、その後はNY前場まで高値圏でのもみあいが続きました。NY市場に入り発表された新規失業保険申請の数字が悪かったこと、パウエルFRB議長が利上げは当面無いと発言したこともドル売りにつながり103.57レベルまで売られた後にやや戻して引けました。
1月15日(金)
ドル円は上値が重たい展開とはなっていたものの、NY市場までは103円台後半の狭いレンジの中で方向感がはっきりしない値動きを続けました。NY市場に入りユーロが週間安値を更新する動きに引っ張られてドルが買いとなったものの103.91高値までで動きは乏しいままでした。
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