米政治情勢注視、ドル円はレンジ脱却に期待
〇先週のドル円、週央以降は104円挟み103.50-104.50円での一進一退に終始
〇米下院での弾劾訴追を求める決議案採決などトランプ氏の孤立感強まる
〇米疾病対策センター「変異種が3月までに米国内で感染の主流になる」との見方
〇19日の「イエレン新米財務長官の指名承認公聴会」や20日の「バイデン氏新大統領就任」に注目
〇今週は1月のフィラデルフィア連銀景況指数や同製造業PMI速報値が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジ102.80-105.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、おおむねレンジ取引。週間を通して104円±50銭といったなかでの往来取引をたどっている。
前週末には、「新型コロナの世界感染者が9000万人を超えた」ことが明らかになるなか、暗号資産(仮想通貨)ビットコインはさらに続伸し、史上最高値を更新。一時42000ドルに迫るなど引き続き荒っぽい変動が観測されている。
そうした状況を踏まえ、ドル/円は103.80円レベルで寄り付いたのち、週間高値である104.40円まで一時値を上げた。それまで形成していたレンジを上抜けたものの、値は走らず、結果として新たなレンジを形成する動きに。とくに週央以降は104円挟み、かつてのレンジを上方修正した103.50-104.50円といったなかでの一進一退に終始。週末NYも103.90円近くで取引を終え、越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米政治情勢」と「新型コロナ」について。
前者は、現地時間6日に発生した「トランプ氏支持者の米議会侵入」について、トランプ米大統領がSNSで扇動したなどとし、民主党を中心としたトランプ氏弾劾の動きが加速。実際、13日には米下院での弾劾訴追を求める決議案が採決され、上院での審議待ちの状態だ。今週も引き続き動静には要注意。ただ、ペンス副大統領は「憲法修正25条が最大の利益でない」などとし、罷免には消極的な態度を示している。なお、そうした状況下、別途米ツイッター社がトランプ大統領のアカウントを永久停止すると発表したり、ウルフ国土安全保障長官代行が辞任を表明したりと、トランプ氏の孤立感がひしひしと強まりつつある感は否めない。
対して後者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で全世界の感染者数が先週末に9200万人超え、死者数も200万人を突破したことが明らかになるなか、先日日本で発見された「第4の変異種」に続き、今度は米国でも米オハイオ州立大研究者チームが「新たな変異種2つが見つかった」と発表し話題に。製薬大手ファイザーなどは「ワクチンは変異種にも効果がある」としているものの、従来のものより「感染力が強い」とされる変異種が相次ぎ誕生していることに警戒感を抱く向きも少なくない。ちなみに、この週末には米疾病対策センター(CDC)が、「変異種が3月までに米国内で感染の主流になる」との見方を示し、思惑を呼んでいたようだ。
<< 今週の見通し >>
先週は、前述した以外でも「バイデン氏が演説で1兆9000億ドル規模の経済対策を議会に提案すると発表」、「パウエルFRB議長がセミナーで低金利政策の継続を示唆」−−などといったニュースが伝えられていたものの、ドル/円の変動は週間を通して1円にとどかなかった。つまり、それらの影響は結果としてきわめて軽微だったことになる。再三再四報じているように、ここ数年の1月相場はかなり激しい変動をたどることが少なくないのだが、先週のような展開をみると、そういったある種の経験則にも疑問を抱かずにはいられない。
今週も週間を通して注目材料が少なくないなか、とくにとなると、やはり「米政治情勢」。なかでも、19日に予定されている「イエレン新米財務長官の指名承認公聴会」や、20日の「バイデン氏の新大統領就任」といったところが関心を集めることになりそうだ。また、現地メディアによると、「バイデン次期大統領の就任式が議会で行われる20日やその直前17-19日に再びトランプ支持者による実力行使が決行される」可能性も取り沙汰されているという。「就任式控え首都ワシントンは州兵2万5000人を投入、厳戒に入った」−−とも言われる状況下、取り敢えずは無事に終わることを祈る。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は週間を通して移動平均の21日線と90日線に挟まれた動き。上方向を90日線がガッチリ抑制した反面、下方向は21日線にしっかりと支えられていた。そんな90日線は今週、104円半ばに位置するものの、緩やかな右肩下がりをたどる一方、21日線は103円半ばでほぼ横ばいに推移する見込みだ。つまり、それからすると、先週の104円±50銭はなかなか居心地の良いレベルかもしれない。いずれにしても、まずは前述したレンジからの脱却の方向が注視されている。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン次期米大統領による政権運営とトランプ政権末期の動静」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、1月のフィラデルフィア連銀景況指数や同製造業PMI速報値といった米経済指標が発表される予定となっているほか、週初には10-12月期のGDPなど中国の経済指標も発表される見込みだ。後者ももちろん要注意。また、日本の通常国会召集や日銀やECBによる政策金利発表など、それ以外にも注目材料は少なくない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、102.80-105.00円。ドル高・円安については、今週もまずは104円半ばに位置する移動平均の90日線をめぐる攻防にまずは注目。超えれば105円台回復が視界内に。
対するドル安・円高方向は、先週ドルの下値をサポートし続けた21日線が今週もサポートとなるかを注視したい。それを下回るとフィボナッチの観点から103.30円レベル、103円前後などがターゲットとなる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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