トルコリラ円見通し 14円を挟んだ高値圏持ち合い、21日の中銀金融政策発表に注目(21/1/18)

14日深夜高値14.10円から失速して15日深夜には13.81円まで下落して13日昼安値を割り込んだ。

トルコリラ円見通し 14円を挟んだ高値圏持ち合い、21日の中銀金融政策発表に注目(21/1/18)

14円を挟んだ高値圏持ち合い、21日の中銀金融政策発表に注目

〇トルコリラ円、14日深夜高値14.10から失速、15日深夜に13.81まで下落し13日昼安値を割り込む
〇トルコリラ円の週足は12月第3週から4週連続の陽線で上昇も先週は陰線に
〇60分足及び120分足で見ると1/7夕高値を頭、12/30夕高値と1/14深夜高値を両肩に三尊天井型を形成か
〇対ドルでも三尊型に近づく、11日深夜安値を割り込み続落するなら三尊形成からの下落期入りに
〇13.81を割り込む場合13.70試しを想定、13.70前後まで下げた後14円台へ戻れば1/7高値超えの可能性
〇13.70を割り込む下落発生の場合、11/6安値からの上昇一巡による下落期入りを警戒

【概況】

トルコリラ円は1月7日夕刻に14.25円を付けて11月6日以降の高値を更新したが、その後は伸びず、1月13日昼安値13.83円へ下げたところから戻したものの14日深夜高値14.10円から失速して15日深夜には13.81円まで下落して13日昼安値を割り込んだ。
11月6日に11.99円の史上最安値を付けた後、トルコ中銀総裁と財務相の更迭をきっかけに金融政策正常化への期待から反騰に転じ、11月19日にトルコ中銀新総裁により政策金利が従来の10.25%から15.0%へ大幅に引き上げられたことで当日高値13.82円まで上昇し、いったん材料消化で11月24日に12.92円まで下げたものの13円割れは買い戻されて確りし、12月24日に中銀が17%へとさらに利上げを続けたことで12月28日には14円台を回復、1月7日まで高値を切り上げてきた。

トルコ中銀新総裁によるインフレ抑制のための金融引き締め姿勢が評価されてのものであり、従来までは低インフレと低金利を求めてきたエルドアン大統領も当面は政策金利上昇をやむなしと姿勢を変えたと市場は受け止めた。またトルコリラが独歩安で史上最安値を更新する中でも為替市場全般は昨年3月のコロナショックから立ち直って株高と同調したドル安で推移してきたため、トルコリラも遅ればせながら11月以降はその流れに乗ったともいえる。
だが、1月21日の新総裁としては3度目の金融政策会合においては2会合連続で利上げをしてきた後だけに現状維持にとどまるだろうとの市場の見方が優勢であり、2度の利上げによるリラ反騰もいったんは材料消化で調整安を入れてもよいところとなった。そこに1月15日にかけてのNYダウ3日続落により為替市場全般がドル高へ傾斜したことでトルコリラも対ドルで下落、トルコリラ円も円安による下支え効果に乏しかったために13日昼安値を割り込むところまで下げたという印象だ。

【60分足の三尊型、週足は4週連続陽線で途切れる】

【60分足の三尊型、週足は4週連続陽線で途切れる】

トルコリラ円の週足は12月第3週から4週連続の陽線で上昇してきたが、先週は5週ぶりに陰線となって上昇にブレーキがかかった。今のところは上昇一服による調整というレベルだが、60分足及び120分足で見ると、1月7日夕高値を頭、12月30日夕高値と1月14日深夜高値を両肩とする三尊天井型を形成しつつある印象だ。既に12月31日夜安値と1月13日昼安値を結んだ三尊のネックライン=支持線を割り込み始めているが、13.80円割れを回避して下げ渋っている状況にあるので、現状はまだ三尊天井完成による下落入りとまでは言えず、14円を挟んで13.80円前後を下値支持線とした高値圏のボックス型持ち合いの範囲にとどまっているともいえる。しかし13.80円割れから12月31日夕安値13.70円割れへと崩れるようだと三尊天井感が強まることになり下げ足も早まる可能性がある。

現状で踏み止まって高値圏持ち合いの足場を固められるのかどう、1月21日のトルコ中銀金融政策が重要になってくると思われる。市場は現状維持とみているが、インフレファイターとしてさらに先行きの利上げへ向けた積極姿勢を示せば市場も次回会合以降の利上げ可能性を警戒して確りできると思われるが、ある程度現状に満足している姿勢にとどまると追加利上げ最速でリラ売りへ進みやすくなるかもしれない。とにかくトルコリラは高金利通貨としての立ち位置を回復しつつあるところであり、物価上昇率を踏まえた実質金利はマイナス状態から脱却したばかりにあり、まだ不安定な状況だ。

【ドル反騰の勢い続くか】

昨年3月のコロナショック当初、ドル資金需給ひっ迫によりドルが急伸したが、主要国の利下げと量的緩和拡大による過剰流動性供給が始まるとドル安に転じ、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は3月30日高値を天井として長期の下落基調に入った。このドル安に乗じてユーロ、ポンド、豪ドル、トルコリラを除く新興国通貨は株高と共に投機買いされて大上昇してきたのだが、ドル指数は1月8日安値から反騰し、為替市場でドル安を先導してきたユーロドルも1月6日に3月以降の最高値を更新したところから下落に転じており、1月15日は総じてドル高となった。

対ドルでのトルコリラも1月7日に7.23リラを付けるところまで上昇してきたが、1月11日深夜には7.51リラへ反落、1月15日朝に7.33リラまで戻してたものの15日深夜には7.50リラまで反落して1月11日安値割れへの余裕が乏しくなっている。トルコリラ円が2時間足で診れば三尊天井型を形成しつつあるのと同様、対ドルでのトルコリラも三尊型に近づいており、11日深夜安値を割り込んで続落に入る場合は三尊形成からの下落期入りという印象も強まりかねないところだ。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

トルコリラ円は1月7日夕高値から14日深夜高値へ戻り高値を切り下げ、13日昼安値を15日深夜に割り込んだため、1月7日からの下落は2段下げ型に入っている。その一方で14円を挟んだ高値圏持ち合いの範囲にもある。

(1)当初、1月15日深夜安値13.81円を下値支持線、14.00円を上値抵抗線とみておく。
(2)13.81円を割り込む場合、12月31日安値13.70円試しを想定する。13.70円前後まで下げてもその後に14円台回復まで戻せば高値圏持ち合いの継続として1月7日高値超えへ向かう可能性が出てくると思う。特に14日深夜高値14.10円を超えるところからは戻り高値切り下がり型の弱気パターンから脱却するために上昇再開感が強まり、21日の中銀金融政策発表を強気で通過できれば14.30円以上への一段高期待も高まるとみる。
(3)13.70円を割り込む下落発生の場合、11月6日安値からの上昇一巡による下落期入りが警戒される。13.70円割れまで下げてから下げ一服で戻しても13.90円手前が抵抗となって上値が重ければ、戻り一巡後の下げ再開で安値更新へ向かい、13.50円前後へと下値目途を切り下げる可能性もあるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月18日
 17:00 12月自動車生産 前年比 (11月 5.4%)
1月20日
 23:30 12月中央政府債務 (11月 187.2億リラ)
1月21日
 16:00 1月消費者信頼感指数 (12月 80.1)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
 20:30 週次外貨準備高 1/15時点 (1/8時点 486.8億ドル)
1月25日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 106.8、予想 100.9)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 75.6%)

トルコ中銀金融政策決定会合予定 2021年は、1月21日、2月18日、3月18日、以降は未定。


注:ポイント要約は編集部

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