ドル上値トライは仕切り直し、目先レンジか
〇ドル円、一時103.50-55へと値を下げた後持ち直し103.70レベルで推移
〇複数の共和党議員からもトランプ大統領弾劾への支持表明
〇13日から予定されていたクラフト米国連大使の訪台が中止
〇ポンペオ米国務長官の欧州訪問「ルクセンブルク外相などが面談を断り」直前で中止
〇103円半ばの21日移動平均線をしっかり下回ればドルの続落リスク高まる
〇本日は12月の米消費者物価指数や米地区連銀経済報告が公表
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.20-104.10
<< 東京市場の動き >>
13日の東京市場は、ドルが小安い。移動平均の90日線に上値を阻まれ反落すると、今度はサポートである21日線割れをうかがう様相を呈していた。
ドル/円は寄り付いた103.80円レベルを日中高値にじり安推移。一時は同安値である103.50-55円へと小幅に値を下げている。途中、株価の動きなどをにらみつつ、「菅首相が午後7時から記者会見実施」など幾つかのニュースなども取り沙汰されたが、相場に直接的な影響を与える材料は乏しかった。ただ、ドル/円は目先ボトムをつけたのち、小反発に転じると103.70円レベルまで持ち直しの動き。16時現在、ドル/円は103.70円レベルで推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米政治情勢」について。
自身の弾劾訴追について、トランプ大統領から「政治史上最大の魔女狩りが継続」などといった発言が聞かれるなか、事態はさらに悪化の兆し。米共和党の上院トップであるマコネル院内総務など、複数の共和党議員からも弾劾への支持表明が取り沙汰されていたという。なお、ブルームバーグによると、ペンス副大統領はペロシ下院議長に「憲法修正25条が最大の利益でない」などと述べ、罷免には消極的な態度を示した反面、そののち米下院はそのペンス氏に「トランプ大統領の罷免を求める決議案を可決した」ようだ。
一方、そうした情勢が米国の国内外で悪影響を及ぼし始めた。たとえば、13日から予定されていたクラフト米国連大使の訪台が中止になったほか、ポンペオ米国務長官による欧州訪問も直前で中止に。とくに後者については、「ルクセンブルク外相などが面談を断ってきた」ことが中止の理由として報じられていた。完全にレイムダックの様相だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は6日の102.60円を目先ボトムに、1.8円ほどの反発をたどったものの、結局レンジは抜けられず。まだ上抜けを失敗したとまでは言えないが、少なくとも上値トライが仕切り直しとなった感を否めない。過去1ヵ月程度の期間のうち、その大半を占めており居心地の良かった103円台を中心としたレンジに目先はとどまり、次の方向性を探ることになるといった見方も聞かれていた。
そうしたなか、新型コロナとワクチン接種に関するニュースに注意を払いつつ、「米政治情勢」などが市場の波乱要因となりそうだ。トランプ氏の弾劾について、前述したようにペンス副大統領は消極的な見解を示したものの、米下院は「罷免要求決議案を可決」しており、その動静が注視されている。「身内」である米共和党議員のなかからも、弾劾への支持表明が聞かれ始めているだけに、可能性は高くないとされてはいるが、皆無ではなさそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日懸念したとおり、過去半年あまりきちんと超えたことのない移動平均の90日線が位置する104円半ばを超えられず、ドルが再び軟化してきた。この先、再びドル高に振れる可能性ももちろん否定出来ないが、取り敢えずはそんなドル高方向への動きも一旦仕切り直しか。むしろ、目先のサポートとなっている103円半ばの同21日線をめぐる攻防に注目で、しっかりと下回れば、ドルの続落リスクが高まることになりかねない。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「バイデン次期米大統領による政権運営とトランプ政権末期の動静」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、12月の米消費者物価指数や米地区連銀経済報告が公表されるほか、ブレイナードFRB理事らによる講演が実施される見込みだ。また、昨日は米10年債の入札が為替相場に影響を及ぼしていたとの指摘も聞かれるなか、本日も30年債の入札が予定されている。一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.20-104.10円。強い抵抗となると104.40円となるが、ごく目先としては103.80円前後も弱い抵抗として意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京で示現した103円半ばの攻防にまずは注視。スグ近いレベルに21日線も位置するなど底堅いイメージだが、割り込めば103円割れをうかがう様相を呈することも。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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