12月30日夕高値から31日夕安値へ下落した後はその高安レンジ内で揉み合い
〇トルコリラ円、1/4午後高値で14.01まで戻したが伸びず、1/5朝に13.84まで下げやや上値が重い印象
〇中銀の金融引き締め姿勢の継続を争点として、リラ高続くか試される
〇トルコの12月消費者物価上昇率・生産者物価上昇率、いずれも市場予想を上回る
〇13.80以上での推移は上昇余地あり、14.01超えからは14.14試しへ向かうとみる
〇13.75割れからは13.70試しとし、底割れからは13.60前後、次いで13.50前後を目指す下落を想定
【概況】
トルコリラ円は12月30日に14.14円まで上昇、12月24日のトルコ中銀による連続利上げを好感した上昇基調を継続していたが、31日は年末の利益確定売りに押されて13.70円まで下げた。その後は戻して13.80円台を回復して年を終えていたが、年明け1月4日は午後高値で14.01円まで戻したものの伸びず、5日朝には13.84円まで下げてやや上値が重い印象だ。
1月4日は日本の感染拡大による4都県知事による政府への緊急事態宣言要請と政府による宣言発出方針からドル円がリスク回避的に下落、夕刻には102.71円まで下げて12月17日安値を割り込み昨年3月24日以降の最安値を更新したが、その間はドル安により対ドルでのトルコリラ高が円高による売り圧力を抑えたためにトルコリラ円は確りしていた。深夜にかけてはドル高となりドル円が戻す一方で対ドルでのトルコリラが下落したことに押されてトルコリラ円もやや下げるといった展開だった。
【中銀新総裁の引き締め姿勢を信頼したリラ高続くか試される1月】
トルコリラ円は11月6日に11.99円まで下落して史上最安値を更新したところから持ち直しに入った。中銀総裁及び財務相の突然の交代から金融政策姿勢が変わるとの警戒感でリラ買い戻しの動きに入り、11月19日に中銀が政策金利を10.25%から15.0%へ引き上げたところで13.82円まで切り返した。いったん材料消化として11月24日に12.92円まで反落し、横ばい推移の後に12月11日に12.96円まで再び下げたものの底割れを回避、12月24日の利上げ期待で上昇、利上げ後もさらに高値を伸ばしてきた。
年末年始は上昇一服状態にあるが、昨年5月から6月への反騰時を超える上昇規模となり、11月19日高値を超えて二段上げ型に発展していることからさらに高値追及への流れをしばらく続けやすい位置取りとなっているが、今後の世界情勢、感染拡大問題、トルコを巡る地政学的リスク、バイデン米政権発足以降の米トルコ関係等を見定めつつ、中銀の金融引き締め姿勢がどこまで続くのかを争点として第1四半期を上昇基調継続とするか戻り一巡により再びリラ安へ向かうのか決まってくるのだろうと思われる。
【トルコの物価上昇率、前月比で鈍化するも前年比は上昇続く】
1月4日に発表されたトルコの12月消費者物価上昇率は前月比で1.25%上昇となり11月の2.3%から低下したが市場予想の0.9%を上回った。前年同月比では14.6%上昇となり11月の14.03%上昇及び市場予想の14.2%を上回った。
生産者物価上昇率は前月比で2.36%上昇となり11月の4.08%上昇からは低下したものの市場予想の1.1%上昇を上回った。前年同月比は25.15%上昇となり11月の23.11%から上昇、市場予想の23.6%を上回った。
トルコ中銀が12月24日に政策金利を従来の15.0%から17.0%へ引き上げたことにより、消費者物価上昇率(前年同月比)との差は2.40%となり、10月まで続いていた政策金利が消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利状態からは11月に続き抜け出している。しかし、政策金利との差はまだ小さく、生産者物価の上昇が顕著な状況の中で消費者物価の上昇が生産者物価の上昇を追いかける展開が続くと中銀もさらに利上げを迫られる可能性もあるところだ。
トルコリラは11月6日まで史上最安値を更新し続けてきたため、自国通貨安によるインフレ増長という状況にあったが、11月9日からのリラ反騰により通貨インフレ感はやや抑えられてきたと思うが、まだ実勢には反映できていない状況といえる。11月から12月への前月比は上昇率が低下しているので1月統計では落ち着く可能性もあるが、現状程度のリラ高水準にとどまる場合は物価上昇を抑えきれない可能性もあるところだ。
イスタンブールの12月製造業PMIは50.80となり11月の51.4から低下、市場予想の50.5は若干上回った。材料的には中立な数字だった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月30日夕高値でサイクルトップを付けて下落に入ったが、31日夕安値で底を付けて戻しに入ったと思われる。31日夕安値割れ回避のうちは5日夕から7日夜にかけての間への上昇余地ありとみるが、13.80円割れからは弱気転換注意として31日夕安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして6日夕から8日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では31日夕安値から戻した後を13.90円を挟んだもみ合いとなっているために方向感に乏しい。先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は31日に20ポイント台へ急落した後は60ポイント台序盤へ戻し、その後は50ポイントを挟んだ横ばいとなっているが、5日午前は50ポイントを下回っている。55ポイント超えからは上昇再開とみるが、40ポイント割れからは下げ再開を警戒する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月31日夕安値13.70円を下値支持線、4日午後高値14.01円を上値抵抗線とする。
(2)13.80円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4日午後高値超えからは30日夕高値14.14円試しへ向かうとみる。14.10円以上は反落注意とするが、13.90円以上での推移なら6日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.75円割れからは31日夕安値13.70円試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして13.60円前後、次いで13.50円前後を目指す下落を想定する。13.60円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、13.80円以下での推移なら6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
1月7日
20:30 週次外貨準備高 1/1時点 (12月25日時点 516.1億ドル)
1月11日
16:00 10月失業率 (9月 12.7%、予想 13.0%)
16:00 11月経常収支 (10月 -2.7億ドル)
1月13日
16:00 11月鉱工業生産 前年同月比 (10月 10.2%、予想 8.4%)
16:00 11月小売売上高 前年同月比 (10月 12.0%、予想 9.5%)
16:00 11月鉱工業生産 前月比 (10月 4.2%、予想 1.8%)
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.11.25
ドル円週間見通し リスク回避的円高とユーロ安等によるドル高で板挟み(24/11/25)
11月15日高値156.74円から11月19日安値153.28円まで失速した後は、153円台へ下げたところを買われつつ155円台後半で売られるやや乱調な騰落を続けている。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.01.06
トルコリラ円見通し 13.90円を挟んだ揉み合い(21/1/6)
5日朝からはトルコリラの独自材料に欠けたため13.90円を中心としてほぼ横這いの揉み合いとなっている。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:山中 康司
2021.01.04
トルコリラ円レポート月曜版(2021年1月4日)
実際のレンジは、安値が13.61レベル、高値が14.13レベルとなり、思った以上に強い地合いでの年末クローズとなりました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。