ドル円見通し 年明けから市場全般で乱調な展開、102円台中盤へ下落後に103円台回復
〇ドル円、1/4夕刻102.71まで下落、12/17安値102.86を割り込んだがその後103円台序盤まで戻す
〇緊急事態宣言への懸念から日経平均が下落、ドル円もリスク回避的な円高に押され一時103円を割り込む
〇1/4欧米株式市場も大荒れ、英FT100株価指数・NYダウともに上昇から急落の展開
〇ユーロ・ポンド・豪ドル・NZドルも対ドルで高値更新に至らずに反落
〇年末までリスク選好的な展開が続いてきたが、年明けで市場のセンチメントが変わる可能性も
〇103円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは103.31超えから103.50前後への上昇を想定
〇103円割れから続落に入る場合は102.71試しとし、102.71割れからは102円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は1月4日夕刻に102.71円まで下落、12月17日安値102.86円を割り込んだが、その後は103円台序盤まで戻した。本邦の4都県知事が政府に緊急事態宣言を要請、政府もこれに応えるとの見方から日経平均が下落、ドル円もリスク回避的な円高に押されて103円を割り込んだ。緊急事態宣言は、これからの決断として発出は週後半になったことで日経平均は一時400円以上下げたところから前日比185.79円安まで若干持ち直し、ドル円も為替市場全般が日中をドル安で推移していた流れを踏まえて夕刻からは買い戻されて103円台序盤へ戻した。
【2021年は波乱の幕開け】
1月4日は欧米株式市場も大荒れとなり、ハードブレグジットを回避した英FT100株価指数が一時は3%を超える大幅上昇となったものの1.72%高まで上昇幅を削り、NYダウは取引開始早々に史上最高値を更新してから急落に転じて一時は700ドル安を超える下げ幅となりやや持ち直して前日比382.59ドル安に終わった。
為替市場も夜にかけてはドル安、深夜からはダウ急落を見てリスク回避感が高まってドル買いに反転した。
ユーロドルは30日深夜に1.2309ドルまで上昇して3月コロナショック暴落以降の最高値を更新し、31日はポンド買いユーロ売りに押されて下落したが4日朝から持ち直して30日深夜高値に迫ったが高値更新に至らずに反落した。ポンド/ドルも4日夜に1.3702ドルを付けて3月以降の最高値を更新したがダウ急落を見て1.35ドル台中盤へ急落した。豪ドル米ドルは31日夜に3月以降の最高値を更新し、4日夜も高値更新へあと一歩へ迫っていたが深夜に急落、NZドル米ドルも同様の展開だった。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は4日に89.42を付けて昨年3月以降の最安値を更新してからはやや戻した。
年末まではNYダウを先導役として、パンデミックへの不安よりもアフターコロナの復興期待、主要国での実質ゼロ金利と量的緩和拡大の継続による資産インフレ期待、また財政出動による景気対策がモノのインフレも招くとして国際商品市場も上昇となり、為替市場もリスク選好的な展開が続いてきた。4日のダウ急落やドル買い戻しの動きはまだ1日程度なら大きな流れはリスク選好で変わらないと思われるが、年が明ければ市場のセンチメントも変わりやすい。英国型や南ア型の変異種による感染急増も楽観的な株式市場及び為替市場の足元を暗くする。ドル円にとっては再び緊急事態宣言を意識したリスク回避的な円高・クロス円における円の買い戻しから下落しやすい状況に入ってきているのではないかと警戒されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月4日夕刻への一段安とその後の反騰を踏まえて4日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとみる。新たな安値更新を回避するうちは5日の日中から7日深夜にかけての間への上昇余地ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるので103円割れからは下げ再開を警戒して4日夕安値試しとし、安値更新からは新たな下落期入りとみて7日午後から11日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4日夕刻安値からの反騰では先行スパンを上抜けずにいる。このため上昇再開感が強まるのは先行スパン突破からとしその際は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けない場合及び一時的に上抜いても再び転落する場合は遅行スパン悪化からの下げ再開を警戒する。
60分足の相対力指数は4日夕刻の下落で20ポイント台へ低下してから60ポイント台まで戻したが、70ポイントへ到達する勢いにはやや欠ける。45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月4日夕安値102.71円を下値支持線、4日午前高値103.31円を上値抵抗線とする。
(2)103円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは4日午前高値超えから103.50円前後への上昇を想定するが、103.50円以上は反落注意圏とみる。
(3)103円割れから続落に入る場合は下げ再開を警戒して4日夕安値試しとし、4日夕安値割れからは102円前後への下落を想定する。102円前後は反発注意とするが、103円以下での推移が続く場合は6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1/5(火)
ジョージア州で上院選挙、2議席巡る決選投票
16:00 (独) 11月 小売売上高指数 前月比 (10月 2.6%、予想 -2.0%)
16:00 (独) 11月 小売売上高指数 前年同月比 (10月 8.2%、予想 4.0%)
17:55 (独) 12月 失業者数 前月比 (11月 -3.90万人、予想 1.00万人)
17:55 (独) 12月 失業率 (11月 6.1%、予想 6.1%)
24:00 (米) 12月 ISM製造業景況指数 (11月 57.5、予想 56.5)
29:45 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、パネル討論会参加
1/6(水)
米大統領選 上下両院合同会議が選挙人投票を集計し次期大統領が正式に決定
10:45 (中) 12月 財新サービス業PMI (11月 57.8、予想 58.0)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 33.7、予想 32.3)
17:50 (仏) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.2、予想 49.2)
17:55 (独) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 47.7、予想 47.7)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 47.3、予想 47.3)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.9、予想 49.9)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 -2.0%、予想 -2.1%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前月比 (11月 -0.8%、予想 0.6%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (11月 -0.3%、予想 -0.2%)
22:15 (米) 12月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (11月 30.7万人、予想 5.0万人)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 55.3、予想 55.2)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比] (10月 1.0%、予想 0.7%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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