トルコリラ円見通し 二度目の利上げから14円台を回復したが年末の失速で14円を割り込む(21/1/4)

30日夕刻には14.14円の高値を付けて9月14日以来の高値水準となった。しかし31日夜には13.70円まで失速した。

トルコリラ円見通し 二度目の利上げから14円台を回復したが年末の失速で14円を割り込む(21/1/4)

二度目の利上げから14円台を回復したが年末の失速で14円を割り込む

〇トルコリラ円、12/28深夜14円に到達、12/30夕刻14.14の高値を付けたが、12/31夜13.70まで失速
〇利益確定売りに押された印象だが、まだ先高感は継続か
〇対ドル、12/30夕刻7.30まで上昇、その後7.48まで反落したが買い戻され7.40台序盤で確りとした展開
〇年末は連騰一服での調整と思われ、対ドルでの上昇基調も継続している印象
〇トルコの感染拡大、ひとまず第二波ピーク超えた様子だが、変異種感染確認される
〇貿易赤字拡大、1/4の消費者物価・生産者物価の発表に注目
〇13.90以下での推移中は下落余地あり、13.70を割り込む場合は13.50台への下落を想定
〇14円台回復からは上昇再開感が強まるとみて、14.14を超える場合は14.40を目指す上昇局面入りとみる

【概況】

トルコリラ円は12月24日のトルコ中銀による市場予想を上回る連続利上げにより24日夜に13.70円まで上昇、トルコ中銀によるインフレ対策としての金融引き締め姿勢は継続するとして12月28日深夜に14円に到達して11月19日の前回利上げ時に付けた高値13.82円を超えた。12月29日には英国とトルコのFTA継続が発表されるとさらに高値を伸ばし、30日夕刻には14.14円の高値を付けて9月14日以来の高値水準となった。
しかし31日夜には13.70円まで失速した。その後は13.80円台を回復したものの、11月24日と12月11日の両安値をダブルボトムとした上昇も14円台に到達したことで越年のリスクも意識されて利益確定売りに押された印象だが、突っ込んだところは買い戻されており、まだ先高感は継続している印象だ。

対ドルでのトルコリラは12月30日夕刻に7.30リラまで上昇、その後は利益確定売りに押されて7.48リラまで反落したが、その後は買い戻されて7.40リラ台序盤で確りしている。11月6日に8.57リラまで史上最安値を更新した後はトルコ中銀総裁更迭と財務相交代による金融政策姿勢転換への期待で反騰に入り、11月19日の新総裁による1回目の利上げ後はいったん下げたものの12月11日からの上昇再開により12月28日には11月19日高値を更新して二段上げ型へと発展している。年末は連騰一服での調整と思われ、対ドルでの上昇基調も継続している印象だ。

【トルコの感染拡大第二波収まるも変異種も確認】

トルコのチャブシオール外相は12月29日にロシアが開発した新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の国内生産を目指すと表明した。ただし国民に対する接種を開始する前には一段の情報提供が必要とロシアに要請している。トルコは中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチン「コロナバック」を5000万回分購入することで合意しているが、初回の300万回分のトルコ向けの出荷が遅延している。トルコは米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチン450万回分の供給で合意しているほか、独自の国産ワクチンの開発も進めている。

トルコ政府は英国型の変異種などによる世界的な感染急増により、入国者に対して新型コロナウイルスのPCR検査の陰性証明の提示を義務付けることを発表した。12月28日以降に空路、12月30日以降に陸路での入国が対象。期間は2021年3月1日までを予定している。
コジャ保健相は1月1日、英国から入国した渡航者15人の新型コロナウイルス変異種感染を確認したとし、英国からの航空便を一時的に全面停止すると発表した。12月27日時点では変異種は確認されていなかった。トルコでは昨年12月に連日3万人を超える感染急増となっていたが、年末時点で新規感染者が1万5千人程度へ減少、1月1日は1万2203人、2日時点で1万1180人まで低下しており、ひとまず第二波のピークを超えた印象だ。平日を含む夜間外出禁止令などによる規制が効果をもたらしたと思われるが、今後の世界的感染拡大によってトルコへの観光客が減少傾向から回復できないことへの懸念は強まっている。

【貿易赤字拡大、1月4日夕刻の物価上昇率に注目】

年末のトルコ経済指標では、12月の経済信頼感指数が86.4となり11月の89.5から低下したが市場予想の86.2は上回った。2019年12月は97.2であり、前年同月比では11.1%の低下となっている。感染第一波発生以降、4月に前年比マイナス40.9%へ低下した後は持ち直しつつあったが10月時点でマイナス0.9%であり、感染拡大第二波により12月は悪化した状況だ。第二波は落ち着いているものの依然として感染者は日に1万人を超えて発生しており、1月も悪化が懸念される。

二度目の利上げから14円台を回復したが年末の失速で14円を割り込む

11月の貿易収支は50.3億ドルの赤字となった。慢性的な貿易赤字国ではあるが、10月の23.9億ドルの赤字から拡大している。11月の輸出は前年比変わらずとさえず、輸入は15.9%増となった。
1月4日には消費者物価、生産者物価の発表がある。トルコ中銀が17%へと政策金利を引き上げたばかりだが、物価上昇率がこれを追いかけると実質マイナス金利状態から脱出した状況が再び悪化しかねないと注意したい。特に生産者物価上昇率が高いとそのあとを消費者物価が追いかけるケースも目立つ。トルコリラが11月から反騰したことで通貨高により物価上昇が抑えられるか市場予想を下回る状況になれば中銀利上げ効果への評価も上がってリラ高基調を継続しうるところと思われる。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

トルコリラ円は14円台到達で上昇一服、やや下げているところだ。1月4日の物価上昇率を見定めつつ上昇再開へ向かうか、さらに利上げ催促的に安値を試すのか、明暗も分かれそうだが、今のところは11月6日以降の中勢レベルの上昇基調を維持しつつ、目先の調整を消化しながら次の上昇再開を伺うところと思われる。
(1)当面、12月31日安値13.70円を下値支持線、12月30日高値14.14円を上値抵抗線とみる。
(2)13.90円以下での推移中は下落余地ありとし、31日安値を割り込む場合は13.50円台への下落を想定する。13.55円以下は反騰注意とするが、13.80円以下での推移が続く場合は週後半へ安値試しへ進みやすくなるとみる。
(3)14円台回復からは上昇再開感が強まるとみる。30日高値を超える場合は14.40円を目指す上昇局面入りとみる。14.30円到達及び14.40円到達では売られやすいとみるが、14円台を維持しての推移が続く場合は週後半への高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

1月4日
 16:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%、予想 14.2%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%、予想 0.9%)
 16:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%、予想 23.6)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 4.08%、予想 1.1%)
 16:00 12月イスタンブール製造業PMI (11月 51.4、予想 50.5)
1月7日
 20:30 週次外貨準備高 1/1時点 (12月25日時点 516.1億ドル)
1月11日
 16:00 10月失業率 (9月 12.7%、予想 13.0%)
1月13日
 16:00 11月経常収支 (10月 -2.7億ドル)
 16:00 11月鉱工業生産 前年同月比 (10月 10.2%、予想 8.4%)
 16:00 11月小売売上高 前年同月比 (10月 12.0%、予想 9.5%)
 16:00 11月鉱工業生産 前月比 (10月 4.2%、予想 1.8%)


注:ポイント要約は編集部

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