ドル円 注目材料多いなか、レンジ下限割れに注目(週報1月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが小幅安。一時12月17日以来となる103円割れを示現する局面も観測されていた。

ドル円 注目材料多いなか、レンジ下限割れに注目(週報1月第1週)

注目材料多いなか、レンジ下限割れに注目

〇ドル円、当初ドル買い先行で週間高値103.89まで値を上げるも1円近く下落し103.30前後で越週・越年
〇新型コロナ感染者数が8000万人を越え、感染拡大いまだに止まらず
〇米下院による給付金2000ドルへ引き上げ法案が可決、追加経済対策についてもトランプ大統領が署名
〇EUと英国は自由貿易協定に署名、英国はEUから完全離脱へ
〇今週は米12月ISM製造業景況指数や同雇用統計などが発表、米地区連銀総裁らの講演なども要注意
〇今週のドル/円予想レンジ102.20-104.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小幅安。一時12月17日以来となる103円割れを示現する局面も観測されていた。

クリスマスを含む週末に、暗号資産ビットコインは大荒れ。一時28000ドル台まで急騰したものの、そののち2000ドル超の下落が確認されるなど「薄商い=荒れ模様」を地で行く展開に。また、米ジョンズ・ホプキンス大学による集計で、新型コロナの世界感染者がついに8000万人を超えたことが明らかとなった。

そうした状況を踏まえたドル/円は103円半ばで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。週間高値である103.89円まで値を上げている。しかし、高値を示現後は緩やかな右肩下がりとなり、1円近く下落した。103円をわずかに下回ると、週間安値の102.97円へ。そののちは年末年始相場で動意が乏しくなるなか、103円台前半での揉みあいをたどるなか月末31日は103.30円前後で取引を終え、越週・越年している。
なお、先週ドルは対円以外でさらに弱く、実際ユーロ/ドルやポンド/ドル、豪ドル/ドルなどは史上最高値(ドルは同安値)を更新する動きだった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「幾つかの懸案事項解決」について。
前者は、前述したように「新型コロナの世界感染者がついに8000万人超」となったことが明らかになるなど、感染拡大が止まらないなか、より感染力が高いとされ英国や南アフリカで発見されたそれぞれ別の「変異種」も世界へと拡散していることが新たな問題に浮上した。反面、新型ワクチンの開発や接種については明るい材料が目についたものの、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長から「ワクチン接種率で米国はおくれを取っている」と悲観的なコメントが聞かれたほか、別途「ファイザー製ワクチンを接種した米国の看護師がコロナに感染した」といった報道も観測されていた。いずれにしても、コロナ狂騒曲はまだしばらく続きそうだ。

対して後者は、マーケットでくすぶり続けていた幾つかの懸案事項が年末ギリギリのタイミングで、駆け込み的な解決となり、市場で思惑を呼ぶ。そのひとつは、トランプ米大統領が署名を拒んでいた「米追加経済対策」だったが、紆余曲折の末になんとか無事署名。また「米下院による給付金2000ドルへの引き上げ法案も可決」となった。一方、EU大統領と欧州委員長は英国とのあいだで合意した自由貿易協定(FTA)など将来関係についての文書に署名。それを受け、英国が加盟国と同等に扱われる期間が12月31日に終わり、「完全離脱」手続きが完了したことが改めて確認された格好になる。

<< 今週の見通し >>

クリスマスが明けたとはいえ、今度は年末・年始をにらみマーケット参加者は依然として少ない状況のなか、米株のNYダウや暗号資産(仮想通貨)ビットコインが史上最高値を更新するなど、先週の金融市場は全般に活況だった。為替市場も、前述したようにユーロ/ドルやポンド/ドルなどが年初来高値を更新。一部の通貨ペアは気を吐いており、そうした流れが今週も継続するのか注目だ。出遅れ気味のドル/円が、一連のドル安基調に続く動きとなるのかにも注意を払いたい。

そうしたなか目先の注目材料として、取り沙汰されているモノは大きく2つ。ひとつは、発表される米経済指標で、週末8日には「12月の米雇用統計」が発表される予定となっている。発表前後の金融市場は一時的にせよ乱高下する展開も。また、もうひとつの要因は5日に予定されている「米ジョージア州での上院選挙」。現与党の共和党が2議席とも死守するのか、それとも民主党が奪還するのか、それによって今年以降当面の米政治情勢が決定付けられると言っても過言ではない。要注意だ。

テクニカルに見た場合、102.90-103.90円という1円レンジが早2週間以上も続いており、明確な方向性はいまだ乏しい。ただ、先週その下限に面合わせする局面もあるなど、リスクという意味では下方向にバイアスか。今週再び103円、ならびにレンジ下限割れを試す可能性もある。レンジ下限を割り込むと、明確な下値メドは101.19円まで見当たらないだけに、なし崩し的なドル安が進行する展開などにも警戒を払いたい。

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「就任確実のバイデン新米大統領による政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか、今週は12月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった注目度の高い米経済指標が発表される予定となっているほか、米地区連銀総裁らによる講演なども連日のように実施される見込みだ。週間を通して材料目白押しだが、逆に材料が多過ぎて、焦点がボケてしまうことを懸念する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.20-104.50円。ドル高・円安については、今週初め段階で103.70円前後に位置する移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。21日線は、およそ1ヵ月以上もドルの抵抗として寄与し続けている。超えれば104円半ばから後半がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週もトライして割り込めなかった102.90円レベル、レンジの下限をめぐる攻防が注視されている。下回ると、明確な下値メドがしばらくなく、たとえば一時的にせよ下げが加速する危険性もなくはない。

注目材料多いなか、レンジ下限割れに注目

ドル円日足

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