ドル円 Xマスを過ぎ、再び動意づくか動向注視(週報12月第4週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。週明け月曜日、21日こそやや動意をうかがわせたものの、以降は鳴かず飛ばず。週間を通してクリスマスムードの強い一週間だった。

ドル円 Xマスを過ぎ、再び動意づくか動向注視(週報12月第4週)

Xマスを過ぎ、再び動意づくか動向注視

〇先週のドル円、月曜日に週間安値103.26、週間高値103.89を達成後は動意が限定的に
〇ポンド円は安値スタートからも急速な巻き返しから一段高となり9/7以来の141円台を示現
〇「コロナ変異種」は欧州全域から米国、日本などにも飛び火し今週の金融市場の波乱要因となる可能性
〇トランプ大統領が修正を求めた9000億ドル規模の追加経済対策の行方に注目、新法案採決は28日の方針
〇今週発表の12月ダラス連銀製造業活動指数や同シカゴ購買部協会景況指数など米経済指標に注視
〇今週のドル/円予想レンジ102.50-104.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。週明け月曜日、21日こそやや動意をうかがわせたものの、以降は鳴かず飛ばず。週間を通してクリスマスムードの強い一週間だった。

前週末には、「英国でコロナ変異種が拡大し、ロンドンが3度目の再封鎖された」と発表がなされたうえ、米紙などから「米与野党指導部、9000億ドル規模に上る追加のコロナ経済対策で大筋合意に達した」との報道が観測されている。
そうした状況を踏まえドル/円は103.45-50円で寄り付いたのち、上下に振れるやや荒っぽい展開。週間安値である103.26円を示現したのち、ドルは反発すると同高値の103.89円を達成した。しかし、そんな月曜日を過ぎるとクリスマスモードが一気に強まり、動意は限定的に。103円半ばを中心とした一進一退をたどるなか、週末25日はNYが休場のため、東京夕方17時段階103.55-60円で推移し、事実上取引を終えている。

なお、前述した「英ロンドンの都市封鎖」などを嫌気した動きからポンドは対円で上方向にギャップを空けて寄り付くなど、安値スタート。しかし、そののち急速な巻き返しからギャップを埋めただけでなく一段高となり、逆に9月7日以来となる141円台を示現するなど反騰高の展開をたどっていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「英国情勢」について。
前述した「英国情勢」は大きく2つに大別され、うちひとつは英国発で伝えられた「コロナ変異種の感染拡大」。この問題が自国だけにとどまらず、欧州全域に警戒感が広がると各国とも厳戒態勢に。実際、フランスとドイツが英国からの入国の停止や規制を早々に決めたほか、スイスやスウェーデン、オーストリーなどはクリスマス前という異例のタイミングで外出禁止措置や飲食店閉鎖などの規制強化を発表していた。また、そののち問題は米国や日本など欧州以外にも飛び火。たとえば日本については、厚生労働省が週末25日、「変異種ウイルスが国内で初めて確認された」ことを公表しており、今週の金融市場における波乱要因となりかねないかもしれない。

それに対して、もうひとつは遅々として進まなかった「英EU通商交渉」の行方になる。引き続き楽観と悲観、両サイドの見通しがそれぞれ複数伝えられたなか、週央にロイターが「英ITVのエディターが通商協議は23日に合意の可能性もあるとの見方を示した」と報じたことで、一時期待感が先行する局面も。そして、実際に「自由貿易協定(FTA)締結交渉が大枠で合意した」ことが明らかになると、前述したような対円で141円台を回復するなどポンド一段高の一因になっていたことは間違いない。

<< 今週の見通し >>

予想通りというべきなのか、先週はクリスマス週ということもあり、ドル/円は週間を通したレンジが63ポイント。かなりの小動き、レンジ取引に終わったものの、本邦勢はともかく世界的にはクリスマスも終わり、実質的には今週から新しい一年が始まる感も否めない。心機一転となる投機筋などのポジションメークの動きには要注意だ。

そうしたなか目先の注目材料として、取り沙汰されているモノは大きく2つ。ひとつは、前段で取り上げた「コロナ変異種」で、日本などへの感染拡大が確認されているだけでなく、さらに「第3の変種」などと言われる、さらに感染力の強い種がアフリカで発見されたとの報道も観測されている。続報には是非とも注意を払いたい。一方、それとは別に、トランプ米大統領が修正を求めたことで、「ほぼ合意していた」状況から一転して暗雲が垂れ込めてきた感もある「9000億ドル規模の追加経済対策」の行方も注目だ。米議会民主党のペロシ下院議長によると、新法案は28日に採決する方針とされるが果たして結果は如何に!?

テクニカルに見た場合、「ドル/円のリスクは下方向」と考える向きが多いなか、実際には下げ渋りが続く。先週のレンジは103.26-89円で、一度も103円を割り込む局面が観測されていない。ただ、クリスマスが名実ともに明ける「今週こそは」と期待する声も少なくなく、それが現実のものとなるのか否かに注目だ。
ちなみに、ドルの目先サポートは直近安値の102.88円となり、それを下回ればさらになし崩し的にドル安が進行する可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「就任確実のバイデン新米大統領による政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか、今週は12月のダラス連銀製造業活動指数や同シカゴ購買部協会景況指数といった米経済指標が発表される予定となっているほか、米財務省による2年債や5年債の入札が実施される見込みだ。ただ、年の瀬ということもあってか、総じていえば材料が少なく、やや動きにくそうな雰囲気も考えられる。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.50-104.50円。ドル高・円安については、流れとしては1ヵ月以上もドルの上値を阻み続けてきた移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。週初は103.85円レベルに位置する。超えれば月間高値などが位置する104.70-80円を目指す展開も。
対するドル安・円高方向は、先週一度も下回れなかった103円レベル、ならびに直近安値102.88円が目先のサポートとして意識されている。割り込むようだと、目立ったサポートはしばらくないのだが、さすがに102円前後などは意識されそうだ。

Xマスを過ぎ、再び動意づくか動向注視

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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