もみあいも上値が重たい流れは続く(週報6月第1週)

107円は割らず、108円も超えずと週間レンジは89銭に留まる比較的静かな一週間となりました

もみあいも上値が重たい流れは続く(週報6月第1週)

もみあいも上値が重たい流れは続く


〇ドル円先週は107円台の静かな動き
〇108円が重く3月日銀短観における本年度の想定為替レート107.98が意識されている可能性
〇香港の国家安全法6月には施行か、施行後も長期的な緊張要因ともなりかねず要警戒
〇米国発生している警官の黒人殺害抗議の暴動の広がりもドル売り要因
〇今週の米雇用関連指標にも注意、失業率予想は20%
〇108円近辺のレジスタンス強く、107.00サポート108.10レジスタンスの上値の重たい週を予想

今週の週間見通し

先週のドル円は、木曜までは107円台後半の狭いレンジでもみあいを続け、金曜に上下とも更新したことで金曜のレンジが週間レンジということになりましたが、それでも107円は割らず、108円も超えずと週間レンジは89銭に留まる比較的静かな一週間となりました。

金曜は月末実需のドル売りとドル買いとが出たことで上下に動きましたが、よく言われる4月発表の3月日銀短観における本年度の想定為替レート107.98が実際に強く意識されているのではないかという印象です。先週は週初から107.90を超えてくるとドル売りが出てきて反落という動きを繰り返していましたし、先週までも108円台での上値の重さは繰り返し見てきたことです。

そうした中で、ユーロドルではユーロ高の動きとなっているもののユーロ円での買いも根強くドル円は動きが出にくい流れというのが現状です。しかし、先週開催された中国全人代では香港の治安強化を目的とした国家安全法が採択され、採択に先立ちポンペオ米国務長官は香港の自治は失われたと発言し、トランプ大統領も思ったよりも軽い制裁でしたが、香港の優遇措置を撤回することを発表しました。

おそらく6月中には国家安全法が施行される流れですが、それまで常にリスクオフ材料とされるでしょうし、施行後に中国本土と同様の規制へと強化されていくようであれば、長期的な緊張要因ともなってくるだけに引き続き注視しておきたいところです。実際に香港ハンセン指数は主要国の株価指数とは逆に5月に入ってから下げていますし、年初来安値までもそれほど距離があるわけではなく、金融市場は先行して懸念の動きになっていると言えるでしょう。中国は金曜のトランプ大統領の発言を受け、今週にも何らかの声明を出す可能性はありますし、今後の米中対立激化につながるリスクは高いと言えます。

また米国ではミネアポリスで黒人市民が警官に暴行を受け死亡したことから暴動が発生していて、このことも米国発のリスクオフ材料となっています。こちらは週末には全米50都市にデモ行動が拡大し、早期に収拾する流れが見えていません。コロナウイルス感染が収まりつつある中で、これまで移動制限で溜まっていたストレスが、今回の事件に向かっているという印象ですが、ホワイトハウス周辺でもデモ参加者が暴徒化し、トランプ大統領は軍の投入も辞さないと発言しているため、こちらも収まらなければドル売り材料とされやすいでしょう。

そして今週は雇用関連の経済指標が続きます。毎週発表される新規失業保険申請件数は一時期よりは減っているものの、累計で考えるとかなりの数に上ります。また水曜発表予定のADP全国雇用者数も金曜発表予定のNFPも前回に比べれば半減といった予想が出ていますが、失業率そのものは20%!という予想が出ています。

これは5人に一人が失業状態という過去にも例が無い数字ですが、少なくとも前回(14.7%)よりは悪化することは確実ですし、仮に今回の数字が最悪となることもほぼ間違いないところなのですが、失業率が10%を割り込むにはまだまだ時間がかかると言われます。このような状況で金融政策と景気刺激策で金融市場は落ち着いた状況とはなっているのですが、果たして今のなんら先行きに懸念を感じないような動きが続くのかとなると、過去に例が無いことゆえにわからないというのが正確なのでしょうが、個人的には2月同様に理由なき楽観が広がっているように思えてなりません。

テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

4月中旬以降は、ほぼ106〜108円のもみあいとなっていますし、ここ半月はその中で107〜108円のもみあいです。しかし、これまで書いてきた通りで材料的にはリスクオフに繋がりやすいものが多いですし、実体経済は雇用に限らず低迷状態を続けています。コロナ後の回復期待だけでいまの安定した状況がずっと続くのかとなると甚だ疑問です。

多くの市場参加者に逆らうことにはなりそうですが、テクニカルにも108円レベルをいまだ強いレジスタンスとなり得ると見ていますし、4月高値と5月安値の61.8%戻しが108.09(青のターゲット)となっていることも積極的にドル買いを見込みにくい流れとしています。今週も大きな動きは期待できそうもありませんが、107.00レベルをサポートに、108.10レベルをレジスタンスとするもみあいながらも上値の重たい週を見ておきます。

もみあいも上値が重たい流れは続く

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月1日(月)
**:** NZ、ドイツ、フランス市場休場
10:45 中国5月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ5月製造業PMI
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
22:45 米国5月製造業PMI
23:00 米国5月ISM製造業景況指数
23:00 米国4月建設支出

6月2日(火)
07:45 NZ4月住宅建設許可件数
10:30 豪州1〜3月期経常収支
13:30 豪中銀政策金利発表
15:00 英国5月住宅価格指数

6月3日(水)
10:30 豪州1〜3月期GDP
10:45 中国5月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ5月サービス業PMI
16:00 トルコ5月CPI・PPI
16:55 ドイツ5月失業率
17:30 英国5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月失業率
18:00 ユーロ圏4月PPI
21:15 米国5月ADP全国雇用者数
22:45 米国5月サービス業PMI
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:00 米国5月ISM非製造業景況指数
23:00 米国4月製造業新規受注
23:30 週間原油在庫統計

6月4日(木)
10:30 豪州4月貿易収支
10:30 豪州4月小売売上高
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
20:30 米国5月チャレンジャー人員削減件数
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国4月貿易収支

6月5日(金)
15:00 ドイツ4月製造業新規受注
15:00 南ア5月外貨準備
21:30 米国5月雇用統計

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月25日(月)
シンガポール、ロンドン、ニューヨークと主要市場が休場となっていることもあってドル円は小動き、国内の非常事態宣言全面解除にも株式市場は買いで反応したものの為替市場は目立った動きは出ませんでした。終日のレンジも23銭に留まり静かな一日となりました。

5月26日(火)
ドル円はユーロドル高に引っ張られてのドル安・円高が目立つ一日となりました。朝方は高く始まった株式市場と仲値に向けての実需のドル買いも重なって一時107.92レベルの高値をつけましたが、東京市場では底堅いものの108円は試せず上値の重さを再認識させる結果となりました。欧州市場に入りユーロ一段高の動きをきっかけに反落、107.40の安値を見た後NY市場では買い戻しが入ったものの、再び売られる流れでの引けとなりました。

5月27日(水)
ドル円は東京市場では107円台半ばで小動きとなっていましたが、欧州市場に入りユーロが対円でも大幅上昇する動きに引っ張られてドル円も上昇、NY市場朝方には107.95レベルの高値をつけました。しかし108円台では相変わらずドル売りオーダーが並んでいることもあり、引けにかけてはやや押す動きとなりました。

5月28日(木)
ドル円は東京市場では107円台後半の高値圏でのもみあいとなっていましたが、前日高値をトライできずに欧州市場入り。欧州市場では中国全人代で香港国家安全法が採択されたこと、またユーロドルが上昇する動きに沿ってドル円もじり安の展開を辿りました。NY市場前場には107.46レベルの安値をつけ、107円台半ばで上値の重たい地合いでの引けとなりました。

5月29日(金)
ドル円は東京前場に円高が進む動きとなりました。仲値で実需のドル売りが出たこと、その際に前日安値を下回ったことでストップオーダーも散見されました。東京後場には、トランプ大統領の会見を控えていることに加え、ミネアアポリスの暴動を嫌気したドル売りが広がり、107.08レベルと週間安値を更新しました。その後NY市場までは安値圏でのもみあいが続きましたが、大統領会見を前に日計り組の買い戻しとロンドンフィキシングで実需のドル買いが出て日中高値を更新。大統領の会見は香港に対する優遇撤回程度で比較的軽い内容であったことから、引けにかけては107.90レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。

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