トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「引き続き上値が重たい展開を考え、29.40レベルをサポートに、30.40レベルをレジスタンスとする流れ」としました。実際のレンジは、安値が29.27レベル、高値が30.18レベルと、予想よりもややトルコリラ安での推移となりました。
先週は、週明け東京市場では30円の大台を回復していたものの、海外市場に移りすぐに反落し上値の重たさを感じさせるスタートとなりました。その後は、トルコの経済指標や細かなニュースは出ていたものの相場は静かで金曜の欧州市場までは29.70〜30.05の狭い値幅での取引を継続していました。
様子が変わったのは金曜で、S&Pがトルコの格付けを発表するとのニュースに一部では見通しを引き上げるとの見方もあったものの、最近の米国とのビザ発給問題など悪材料も多かったことから週末前のリスク回避によるトルコリラ売りが強まりました。対ドルでのトルコリラ売りは3.8897のドル高値をつけ、今年1月のトルコリラ最安値3.9420を視野に入れる動きとなりました。
トルコリラ円では、前週安値を下回ったことからトルコリラ売りが加速し、ビザ発給問題が出た10月9日早朝の安値(29.37)を下抜け29.27まで下げたことで、こちらも今年1月の最安値29.07を視野に入れる展開となってきました。対円ではテクニカルな要因が大きいチャートに見えます。
トルコを囲むニュースでは好材料と捉えられる新たなことが出てきました。トルコの首相を含む閣僚団が訪米に出発したことで、両国間のビザ発給停止問題の解決のための訪米の可能性が高そうです。トルコリラは、上記の通り対ドル、対円ともに最安値をいつ更新してもおかしくない状況になっていますが、仮にビザ発給が再開となるとトルコリラの買い戻しに繋がるでしょうし、逆に不発に終わるとトルコリラ安再燃の材料と捉えられでしょう。
このビザ発給問題に関するトルコリラ安ですが、私自身もそうでああろうとの見方からここ数週間コメントを書いていましたが、先週になって気になる記事を見つけました。日本イスラム連盟というNPOがありホームページ(http://www.jisl.org)にトルコ関連のコラムも多いのですが、その中の10月28日付の記事です。
要約すると、トルコリラ急落の要因はビザ発給問題ではなく、ザッラブ氏(イランとトルコの国籍を持つイラン人で)とエルドアン大統領の関係によるものでは、との分析です。これまでにも米国によるトルコ金融機関への制裁金問題などが出てきましたが、米国とトルコの問題は色々と根が深いようで、イランに対しての制裁に対して、トルコがイランに資金を供給、その役回りをザッラブ氏が担っていたことが、同氏がマイアミで拘束され、その裏舞台がアメリカに把握されたと別の日のコラムに書かれています。
要はエルドアン大統領が今後苦境に陥るリスクを考え、為替市場ではトルコリラ売りの動きが起きたということなのでしょうか、きっかけはビザ発給停止ということになりそうです。ただ、元を辿っていくとイラン制裁に辿り着くのであれば、その後の金融機関制裁やビザ発給停止などすべてが繋がってくるようにも思えます。同サイトに書かれていることは、おおむね事実のようですから今後も米国とトルコ間の問題や、エルドアン大統領自身の逮捕といった展開まで考える必要がありそうです。
あまり考えすぎると国際陰謀論のような話をイメージしてしまいますが、クーデター未遂事件からエルドアン大統領の強権政治にいたるまで、真実はこんなところにあるのかもしれないと思った一週間となりました。トルコ閣僚団の訪米も裏があるかもしれませんが、これは現状では知る由もありません。
さて、今週ですがトルコの材料には細かなものはあるものの、表向きビザ発給問題、裏も何かあるかもしれないトルコ閣僚団の訪米で何が出て来るかが最大の材料となりそうです。こればかりは蓋を開けてみないとわかりませんので、今週はテクニカルな観点からのみ分析を加えたいと思います。
4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
トルコリラ円も中段のドルトルコリラもトルコリラ安が進んでいることがよくわかります。トルコリラ円のチャート内に引いた水平線が最安値29.07ですが、かなり近い水準にあり、一度はトライする流れになるものと見ています。
今週は、大台30.00をレジスタンスに、最安値をトライし29.00レベルをサポートとする週を見ておこうと思います。
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