トルコ中銀はハト派に転換、12月利下げ観測浮上しリラ軟調か
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、地政学リスクやトルコ中央銀行(トルコ中銀)がハト派な声明だったことなどから、上値の重い展開となった。
19日、エルドアン大統領は、米国がウクライナに長距離地対地ミサイル「ATACMS」によるロシア領内攻撃を容認したことについて「前向きな動きではない」と批判した。エルドアン大統領は、ロシアが核兵器の使用条件を示した核ドクトリンを改定したことに関して「ロシアは自衛措置を取らねばならず、NATOはロシアの措置を検証する必要がある」「我々はロシア、ウクライナ双方と関係を保つ必要がある。当事者に和平を促す措置を講じる立場に変わりはない」と指摘した。この発言を受けて、地政学リスクの高まりなどが嫌気されて、トルコリラは4.41円まで下落。
21日にトルコ中銀は8カ月連続の金利据え置きを発表したが、インフレ改善に言及し近く利下げが妥当になる可能性を示唆するなどハト派な声明となった。50%近いインフレが継続しているなか、トルコ中銀がハト派に転じたことから市場は困惑。トルコリラは4.4円台後半でのもみ合いとなった。
トルコリラ・円(東京時間:11月18日―11月22日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.4826円
高値:4.5360円
安値:4.4141円
終値:4.4751円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
11月21日
20時00分、中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%、結果:50.00%
11月25日
16時00分、11月設備稼働率、前回:74.9%
11月28日
16時00分、10月貿易収支、前回:−51.3億ドル
11月29日
16時00分、第3四半期実質GDP、前回:2.5%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、トランプ次期政権の方向性を横目に見ながら、国内経済の状況を確認する展開となりそうだ。
トルコ中銀声明を受けて、市場では早ければ今年最後の会合である12月26日の会合で利下げを実施するとの見方が浮上している。今後、12月2日の11月製造業PMI、3日の11月消費者物価指数、10日の10月失業率、鉱工業生産指数のデータを確認し、利下げ実施の有無を決断すると思われる。
先週のトルコリラは上値の重い展開となったが、下値もしっかりしている。利下げを実施することで国内経済の回復が早まるといった期待感が材料視されていると考える。早期の利下げ観測が強まったことなどから短期的には積極的な買いが手控えられるかもしれないが、利下げに伴う経済回復が確認されれば、中長期的なトルコリラ買いが入ると想定する。
日足の一目均衡表では、雲上限を上放れている。週末の下落も基準線水準で下げ止まっており、上昇トレンドはまだ維持されていると考えるが、勢いは弱まっている。GDPが前回よりも弱い数字となった際は、12月利下げ観測がさらに強まり、短期的なトルコリラ売りが強まる可能性もあるので注意したい。
トルコリラ円日足
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