南アフリカランドWeekly 外部環境などでもみ合い、短期的には8.3円台を意識か(24/11/25)

先週のランドは、南アフリカ準備銀行が想定通りの利下げを実施した一方、米トランプ次期政権の方向性などを見極めたいとするムードも強く、ほぼ横ばい推移となった。

南アフリカランドWeekly 外部環境などでもみ合い、短期的には8.3円台を意識か(24/11/25)

外部環境などでもみ合い、短期的には8.3円台を意識か

【先週の南アフリカ・ランド】

先週のランドは、南アフリカ準備銀行(南ア中銀)が想定通りの利下げを実施した一方、米トランプ次期政権の方向性などを見極めたいとするムードも強く、ほぼ横ばい推移となった。

南ア中銀は、21日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利(レポ金利)を25bp引き下げて7.75%とする決定を行った。南ア中銀は会合後に公表した声明文では、世界経済について「厳しさが増している」との認識を示す一方、南ア経済について「インフレ鈍化や年金制度改革などを追い風に回復が見込まれる」との見方を示した上で、「2027年には経済成長率が+2%程度まで底入れが進む」との見通しを示している。また、物価動向については「足下では下振れしているが、先行きは電力料金引き上げの影響で上振れが見込まれるも、インフレ率は目標域の中央値近傍での推移が見込まれる」とした。

会合後の記者会見にて、ハニャホ総裁は「全会一致であった」とした上で、「利下げ実施はインフレ目標実現と整合的であることで合意したものの、リスクの見通しを踏まえると慎重なアプローチが必要との見解で一致している」として小幅利下げを志向する姿勢を示した上で、「世界的な金利上昇リスクがくすぶるなか、足下のランド安は国際金融市場の変化の影響を示唆している」と外部環境を注視する考えを示している。

ほぼ想定線の結果となったことから、利下げ実施によってランドは一段安の展開は回避されたが、米トランプ次期政権の方向性やロシア・ウクライナ情勢などが意識されて、ほぼ横ばい推移となった。


ランド・円(東京時間:11月18日―11月22日)
※Investing.comの日足を参照

始値:8.4830円
高値:8.6314円
安値:8.4422円
終値:8.5341円 

【先週と今週の重要指標】

※時間は東京時間

11月20日
17時00分、10月消費者物価指数(前年比)、前回:3.8%、結果:2.8%
11月21日
中銀政策金利、前回:8.00%、市場予想:7.75%、結果:7.75%
11月28日
18時30分、10月生産者物価指数(前月比)、前回:−0.3%
18時30分、10月生産者物価指数(前年比)、前回:1.0%
11月29日
15時00分、10月マネーサプライ、前回:7.25%
21時00分、10月貿易収支、前回:128億ランド

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のランドは、国内経済指標や米トランプ次期政権の方向性、ロシア・ウクライナの地政学リスクなど見極め材料が多いことから横ばい推移となりそうだ。

先週発表された10月消費者物価指数(CPI)は前月よりも鈍化しており、ディスインフレの流れは確認できている。今週の10月生産者物価指数(PPI)も落ち着いた数字となれば、南ア中銀による段階的な利下げ実施観測は強まるだろう。利下げは短期的にはランド売り要因となるかもしれないが、利下げによって経済回復への期待感が強まる可能性はあることから、中長期的にはランド買いの要因になると考える。

一方、米トランプ次期政権の閣僚候補者はほぼ出そろったが、想定通りの強硬派の顔ぶれとなっている。各国との関税引き上げに伴う貿易摩擦への懸念が世界経済の重しとなっていることでランドも含めて新興国通貨の上値は重くなりそうだ。

日足の一目均衡表では、転換線が下を向いているほか、遅行スパンが実線に隠れるなどトレンドは弱い。雲上限や100日移動平均線が位置する8.37円水準まで調整する可能性はある。この水準が下値支持線として意識されて下げ止まるか注目したい。

外部環境などでもみ合い、短期的には8.3円台を意識か

南アフリカランド円日足

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