『約3カ月ぶり高値圏で堅調推移。来週はトルコのインフレ指標がメインイベント』
〇今週のトルコ円、週初のドル円上昇に4.49まで上昇
〇買い一巡後はトルコ指標不冴え、ドル円急反落、トルコPMIの改善等に4.41まで反落
〇トルコ円、主要テクニカルポイント上抜け、短時間足での買いシグナルも成立、地合いは「強い」
〇トルコ経済復調期待、トルコへの資金流入期待、トルコ中銀引き締め継続観測もトルコ円を支持
〇引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60
今週のレビュー(10/28−11/1)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.44円で寄り付いた後、(1)対主要通貨での円売り圧力(週末に開催された衆院選で自民党と公明党を合わせた与党全体の議席が過半数の233議席を下回る215議席に留まったことで、日銀による追加利上げが一段と難しくなるとの見方が台頭→ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)が支えとなり、翌10/29にかけて、週間高値4.49円(8/2以来の高値圏)まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)心理的節目4.50円を背にした戻り売り圧力や、(3)トルコ9月貿易収支(結果▲51.3億ドル、予想▲51.0億ドル)の市場予想を下回る結果、(4)トルコ株の冴えない動き、(5)ドル円相場の急反落(日銀金融政策決定会合後の記者会見で植田日銀総裁がこれまで使用してきた「時間的余裕」という表現を使用せず→市場参加者はこれをタカ派的と受け止め円買い再開→ドル円・クロス円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.41円まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)トルコ10月製造業PMI(結果45.8、前回44.3)の良好な結果が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間11/2午前1時45分現在)では、4.45円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(11/4−11/8)
トルコリラの対円相場は一時4.49円(8/2以来の高値圏)まで上昇するなど、約3カ月ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「強い」と判断できます。
このまま行けば、来週後半にかけて、「一目均衡表三役好転」と「21日線と90日線のゴールデンクロス」の同時出現も期待できるため、トルコリラの地合いは今後更に改善するシナリオが想定されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の復調期待や、(2)外国人投資家による資金流入期待、(3)トルコ中銀の金融引き締め継続スタンス(先日発表されたトルコの消費者物価指数が市場予想を上回ったことで、トルコ中銀カラハン総裁は「利下げの主な条件である月次インフレ率の恒常的かつ大幅な低下と予想物価上昇率の中銀予想レンジへの収れんが満たされるまでにある程度の距離が残っている」と発言)、
(4)円キャリートレードの継続期待(トルコリラと日本円の金利差に着目した構造的なリラ買い・円売り)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。来週予定されているトルコ10月消費者物価指数や、トルコ10月生産者物価指数が市場予想を上回る結果となれば、「トルコ中銀のタカ派姿勢継続→年内利下げ観測後退」の経路で、トルコリラに上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(4.60円近辺に位置する200日移動平均線を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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