トルコリラ円見通し 日銀総裁のタカ派発言でドル円と共に下落(24/11/1)

トルコリラ円の10月31日は概ね4.48円から4.42円の取引レンジ、11月1日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.47円から0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 日銀総裁のタカ派発言でドル円と共に下落(24/11/1)

日銀総裁のタカ派発言でドル円と共に下落

〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ4.42台へ下落、いったん戻すも本日早朝4.41台へ安値切り下げる
〇今夜の米雇用統計、11/5米大統領選挙、11/6-7FOMCを受けたドル円の動きに注意
〇ドル/トルコリラ、10/31は概ね34.29から34.06の取引レンジ
〇トルコの観光収入は増加で過去最高に、貿易赤字は継続
〇4.41割れからは4.40、4.39を順次試す下落を想定
〇4.45から4.46台にかけては戻り売り有利とする

【概況】

トルコリラ円の10月31日は概ね4.48円から4.42円の取引レンジ、11月1日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.47円から0.03円の円高リラ安だった。
31日の日銀金融政策決定会合で政策金利は予想通りに据え置かれたが、植田総裁の会見が予想よりもタカ派姿勢で12月会合での追加利上げを検討する可能性を示したため、衆院選での与党大敗により追加利上げ先延ばしで円安基調が続くと見込んでいた市場の楽観に釘が刺され、ドル円は153円台前半から152円割れへ急落し、31日夜にいったん153円到達まで戻してから1日早朝へ一段安した。
トルコリラ円は28日午前と29日夜に4.49円を付けて9月16日の史上最安値4.11円(ベンダーによっては4.05円や4.10円など)以降の最高値を更新し、その後も4.46円割れを買われて確りしていたが、ドル円の急落を追いかけて31日夕刻に4.42円台へ下落し、いったん戻してから1日早朝に4.41円台へ安値を切り下げた。

日銀の植田総裁はG20財務相・中銀総裁会合時に利上げ判断に時間的余裕があると述べていたことについて、31日の会見では「時間的余裕という表現はしない」と述べた。ドル円が153円台まで大幅上昇してきたことで、追加利上げへの慎重姿勢を示せば円安が勢い付く可能性もあったため、円安けん制的な意味でタカ派的な発言を行ったと思われるが、153円台後半で上昇が頭打ちとなっていたところで日銀総裁発言から失速したため、当面の上昇一巡による調整的な円高へと進む可能性も警戒される。
トルコリラ円はドル/トルコリラが史上最安値近辺での持ち合いを続けて動意に欠けているため、ドル円の騰落を追いかけやすい状況にある。今夜の米雇用統計から来週は11月5日の米大統領選挙、6-7日のFOMCと重要イベントが続くため、臨機応変にドル円を追いかけるスタンスで臨みたい。

【ドル/トルコリラは最安値近辺での持ち合い続く】

ドル/トルコリラの10月31日は概ね34.29リラから34.06リラの取引レンジ、11月1日早朝の終値は34.25リラで前日終値の34.20リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
8月28日の取引時間中史上最安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻した後は、この高安レンジ内の持ち合いを続けているが、終値ベースでは10月25日終値34.28リラで史上最安値を更新している。持ち合い放れから取引時間中の史上最安値更新へ進むきっかけを欠いているが、トルコ中銀による直近の月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップに対する市況予想調査)では年末予想レートは1ドル36.6347リラ(9月調査では37.1599リラ)であり、現状の34リラ台からさらにリラ安が進むと見込まれている。

【トルコの観光収入は増加、貿易赤字は継続】

10月31日にトルコ統計局が発表した9月貿易収支確報は51.3億ドルの赤字で、8月の赤字52.6億ドルとほぼ同水準だった。輸出は219.9億ドル(8月は214.8億ドル)、輸入は271.2億ドル(8月は267.4億ドル)。構造的な貿易赤字が続いている。
9月の海外観光客数は前年同月比4.64%増となり8月の2.47%増を上回り、7-9月期観光収入は232.2億ドルで4‐6月期の148.8億ドルを上回った。7-9月期が毎年の最盛期で冬にかけては閑散期に入るが、パンデミックで悪化して以降、2021年から毎年この時期のピークを切り上げており、今年7‐9月期は過去最高となった。観光収入の拡大が貿易赤字を埋めて経常収支改善につながる傾向を示せば、海外投資家にとってトルコ投資への魅力も上がりやすい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月29日夜への上昇で28日午前高値とダブルトップ型を形成したため、29日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日午後から11月1日午後にかけての間への下落を想定した。
31日午後から急落して1日も続落気配のため引き続きボトム形成中とするが、30日夜安値を直近のサイクルボトムとしてボトム形成期が4日夕から6日夜にかけての間へ長引く可能性があるとみる。また乱調な展開が続く可能性もあるので4.45円超えからは強気転換注意として4.47円前後へ反騰する可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では31日午後からの急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続く内は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は31日夕に30ポイントへ低下してから50ポイントまで戻したがその後に30ポイント台へ低下するなど軟調さが続いている。55ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、下げ足が速まる場合は20ポイント台前半への低下を想定する。強気転換は55ポイント超えからとし、その際は60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.41円を下値支持線、4.45円を上値抵抗線とする。
(2)4.45円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.41円割れからは4.40円、4.39円を順次試す下落を想定する。4.40円以下は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は4.38円台へ下値目途を引き下げる。
(3)4.45円から4.46円台にかけては戻り売り有利とするが、米雇用統計からの波乱で急伸する場合は4.47円から4.48円前後を試す可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

11月1日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 44.3)
11月2日
 17:00 10月 貿易省・貿易収支速報 (9月 -51.2億ドル)
11月4日
 16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 2.97%)
 16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 49.38%)
 16:00 10月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (9月 3.6%)
 16:00 10月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (9月 49.1%)
 16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 1.37%)
 16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 33.09%)

注:ポイント要約は編集部

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