ドル円見通し 日銀総裁の追加利上げへタカ派姿勢で152円を割り込む(24/11/1)

ドル円は、23時過ぎに153.04円を付けたものの、1日早朝に151.83円へ失速し、1日午前序盤もさらに安値を切り下げている。

ドル円見通し 日銀総裁の追加利上げへタカ派姿勢で152円を割り込む(24/11/1)

日銀総裁の追加利上げへタカ派姿勢で152円を割り込む

〇昨日のドル円、植田総裁のタカ派発言をきっかけに下げ足速め、夕刻151.92へ下落
〇いったん買い戻され153.04をつけるも本日早朝151.83まで下落、その後も安値切り下げる
〇今夜の米雇用統計をきっかけに反騰入りするか、大きめの調整安期に入るか試される局面
〇米経済指標はまちまち、インフレ率は着実に鈍化
〇米長期債利回りは概ね低下、米国主要株価指数は下落
〇10/25安値151.46割れからは150.0円台後半試しとする
〇152.60超えからは153円手前を試す上昇を想定

【概況】

日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利の短期金利誘導目標を0.25%程度で予想通りに据え置いたが、植田総裁は会見で追加利上げに関して「見極めに必要な時間やタイミングに予断を持っていない」、「毎回の決定会合で経済・物価の現状を評価し、政策判断していく」と述べて12月会合での利上げ可能性に含みを持たせた。またG20財務相・中銀総裁会合時に利上げ判断には「時間的な余裕がある」と述べたことに対し、「米経済の霧は晴れつつある」、「金融市場も少しずつ安定を取り戻している」ため「時間的な余裕はあるという表現は使わない」とした。

ドル円は日銀声明発表から円高に傾斜していたが、植田総裁会見をきっかけに下げ足を速めて夕刻に151.92円へ下落し、いったん買い戻されて23時過ぎに153.04円を付けたものの、1日早朝に151.83円へ失速し、1日午前序盤もさらに安値を切り下げている。
衆院選での与党大敗により年内の追加利上げはないとの見方が優勢だったところで植田総裁が市場の楽観に対して釘を刺した格好となった。10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をダブルトップ型の上値抵抗線として60分足レベルでは底上げ型の三角持ち合いを形成していたが、31日午後の急落で持ち合いから下放れている。今夜の米雇用統計をきっかけとして151円台を押し目水準として反騰入りできるか、9月16日安値139.57円からの上昇一巡により大きめの調整安期に入るのか試される局面だ。

【米経済指標はまちまち、インフレ率は着実に鈍化】

米商務省が31日に発表した9月米個人消費支出(PCE)デフレーター上昇率は全体の前年同月比が2.1%となり8月の2.3%を下回り2か月連続で鈍化して2021年2月以来の低水準となった。コアPCEデフレーターは前年同月比2.7%で8月と変わらず、前月比は0.3%で8月の0.2%を上回った。
9月の個人消費支出は前月比0.5%増で8月の0.3%から拡大しており、インフレが落ち着く中で消費の底堅さが示された。

米労働省による新規失業保険申請件数は10月26日までの週間で前週比1万2000件減少の21万6000件となり3週連続で改善し、失業保険受給者総数は10月19日までの週間で186万2000人となり前週から2万6000人減少した。
MNIインディケーターズによる10月のシカゴ購買協会景況指数は41.6となり9月の46.6から低下して市場予想の47.0を下回った。
第3四半期の米雇用コスト指数(ECI)は前期比0.8%上昇して2021年第2四半期以来凡そ3年ぶりの低い伸びとなった。

【米長期債利回りは概ね低下、米国主要株価指数は下落】

31日の米長期債利回りは、新規失業保険申請件数が3週連続で改善したことで一時上昇したものの、1日の米雇用統計と来週の米大統領選挙を控えて低下に転じた。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.34%をつけて29日に付けた9月17日以降の最高に並んだもののその後の失速で前日比0.01%低下の4.29%となった。30年債利回りは29日に4.58%へ上昇して9月17日以降の最高としてから30日に一時4.44%へ低下したが、31日は30日のレンジ内推移にとどまり前日比0.02%低下の4.48%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは一時4.21%へ上昇して9月25日につけた3.51%以降の最高を更新したもののその後の失速で0.01%低下の4.17%となった。

一方で米国主要株価指数は雇用統計や米大統領選を控えて手仕舞い売り優勢となり、NYダウは前日比378.08ドル安となり30日の91.51ドル安から続落し、ナスダック総合指数は前日比512.78ポイント安と大幅下落して30日の104.82ポイント安から続落、S&P500指数も108.22ポイント安と下落して30日の19.25ポイント安から続落した。
米長期債利回りと米国主要株価指数は米大統領選の結果から大きく動くとみられ、今夜の雇用統計についてはサプライズ感がなければ反応が鈍いのではないかとの声も聞かれる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をフラットな抵抗線とし、28日夜安値152.40円から30日夜安値152.77円へ底上げ気味の下値支持線として三角持ち合い型を形成していたが、31日の下落で持ち合いから下放れた。
1日午前序盤も続落しているため、2日早朝へ続落する場合は三角持ち合い終点となる30日夜安値を基準として4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定する。乱調な展開のため152.60円超えからは153円手前を試す可能性があるとみるが、153円台回復へ反騰できないうちは下落基調が続きやすいとみる。

60分足の一目均衡表では31日の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は31日夕に30ポイントを割り込み、いったん50ポイント台へ戻してから再び30ポイント台へ低下しているためまだ20ポイント前後への下落余地ありとし、強気転換は次に50ポイントを超えるところからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月25日安値151.46円を下値支持線、152.60円を上値抵抗線とする。
(2)152.60円以下での推移中は一段安余地ありとし、25日安値151.46円割れからは150.0円台後半試しとする。151円以下は買い戻されやすいとみるが、152.60円以下での推移か、直前安値から1円を大きく超える反騰がみられない場合は週明けも続落しやすいとみる。
(3)152.40円から152.60円手前は売られやすいとみるが、152.60円超えからは153円手前を試す上昇を想定し、152.60円を上回っての推移なら週明けも戻りを試す可能性があるとみる。

【当面の予定】

11/1(金)
10:45 (中) 10月 財新製造業PMI (9月 49.3、予想 49.7)
18:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 50.3、予想 50.3)
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 25.4万人、予想 11.3万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 4.1%、予想 4.1%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 4.0%、予想 4.0%)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 47.8)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 47.2、予想 47.6)
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.0%)


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