テロや中東情勢が重しとなるも、堅調な戻り継続でトレンド強まる可能性
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、円が主要通貨に対して売られる展開となったことや、強い経済指標を背景に上昇したが、軍需企業に対するテロ発生などが影響して週末にかけては買い一服となった。
23日に発表されたトルコ10月消費者信頼感指数は80.6と前回の78.2を上回る良好な結果となった。また、日米金利差拡大などを背景に円キャリートレードも再開したとの観測で、円が主要通貨に対して売られる展開となったことなどから、トルコリラは8月2日以来の4.47円まで上昇した。
ただ、23日、トルコの首都アンカラ近郊で大手軍需企業「トルコ航空宇宙産業」の本社が襲撃を受け、5人が死亡、22人が負傷する事件が発生。トルコ政府はクルド労働者党(PKK)による「テロ攻撃」と断定し、実行犯の男女計2人を殺害したことを明らかにした。このニュースが伝わったタイミングでトルコリラの上値は重くなり、週末にかけて4.44円水準まで押し戻された。
トルコリラ・円(東京時間:10月21日―10月25日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.3719円
高値:4.4783円
安値:4.3302円
終値:4.4412円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
10月23日
16時00分、10月消費者信頼感指数、前回:78.20、結果:80.60
10月25日
16時00分、10月設備稼働率、前回:74.9%、結果:74.9%
10月31日
16時00分、9月貿易収支、前回:−49.9億ドル
11月1日
16時00分、10月製造業PMI、前回:44.3
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、11月4日の10月消費者物価指数(CPI)まで目立った経済指標の発表が予定されていないことから、4.4円台でのもみ合いとなりそうだ。アンカラでのテロの影響は一時的で売りを誘う材料とはならないだろう。
トルコ経済への期待感や財政改善などが引き続きトルコリラ押し上げ材料となりそうだ。一方、週末、イスラエルがイランの軍事施設に報復攻撃を行ったことで中東情勢の緊迫感は一段と高まった。エルドアン大統領がイスラエルに対して厳しい発言を行っていることで、中東情勢はトルコリラの重しとなる。
一方、テクニカルは引き続き良好だ。日足の一目均衡表では、4.45円水準まで雲上限が切り下がることから、100日移動平均線と雲上限を同時に上回る可能性がある。戻り基調が強まっていることから転換線をサポートとした上昇に期待。遅行スパンも雲への突入を試していることから、トレンドが強まる可能性もあろう。
なお、27日に行われる日本の衆議院選挙の投開票の結果次第で、週明け28日は円を中心に為替が乱高下する可能性はある。ただ、仮に政権与党が過半数割れとなっても、事前に伝わっている想定線の範囲内である。また、日本の政治が混乱すると日銀による段階的な利上げ実施の不透明感が増すため、円は主要通貨に対して売られやすくなる可能性もある。
トルコリラ円日足
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