トルコリラ円見通し 衆院選後の円安動向見定めへ(24/10/28)

トルコリラ円の10月25日は概ね4.44円から4.41円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.43円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 衆院選後の円安動向見定めへ(24/10/28)

衆院選後の円安動向見定めへ

〇トルコ円、衆院選与党大敗からの先行き不安によるドル円上昇に合わせ、4.47へ上昇
〇今週は重要イベント続く、11/5米大統領選も控え金融市場全般が波乱含みとなりやすい時期
〇対ドル、10/25は概ね34.36から34.01の取引レンジ、終値ベースの史上最安値更新
〇今週の製造業PMI、来週のCPIに注目、高インフレ鎮静化傾向見られるか
〇4.44円上回るうちは上昇余地あり、4.48超えからは4.49、4.50順次試す上昇想定、4.49以上は反落警戒
〇4.44割れからは4.42前後への下落想定、4.42前後は買われやすいと注意

【概況】

トルコリラ円の10月25日は概ね4.44円から4.41円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.43円から0.01円の円安リラ高だった。週間では10月18日終値4.35円から0.09円の円安リラ高、25日時点までの月間では9月30日終値4.20円から0.24円の円安リラ高となった。

ドル円が9月16日安値139.57円を起点として上昇期に入り、10月23日夜に153.18円へ高値を伸ばしてきた流れを追い、トルコリラ円は9月16日の史上最安値4.11円(ベンダーによっては4.05円や4.10円など)から上昇期に入り、23日夜に4.47円まで高値を伸ばしてきた。
ドル円は153円到達後の持ち高調整で25日午後安値151.46円まで下げたが、25日夜の米経済指標が予想を上回り米長期債利回りが再上昇したことで152円台前半へ戻し、トルコリラ円も25日午後に4.41円まで下げた後はドル円の持ち直しを見て4.44円へ切り返した。

28日早朝は、衆院選での与党大敗を受けた先行き不安でドル円が一時153円台へ上昇したため、トルコリラ円も4.47円へ上昇したが、日中の株式市場や債券市場の反応を見ながら円安継続か試されるところだ。

今週は日銀金融政策決定会合、米7‐9月期GDP速報、9月PCEデフレーター、米10月雇用統計と重要イベントが続き、11月5日には米大統領選挙、11月6-7日にはFOMCも控えているため、金融市場全般が波乱含みとなりやすい時期に入る。
日銀がハト派姿勢で米経済指標強めで米長期金利上昇が続けば円安継続感が強まり、トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけてゆく展開と思われるが、日銀が予想外にタカ派姿勢で米経済指標がサプライズ的に弱い場合には円高への巻き戻しによりトルコリラ円が失速することも考えられる。
当面は重要イベントに対する反応を見定めながら、臨機応変にドル円を追いかけてゆくスタンスで臨みたい。

【ドル/トルコリラは終値の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月25日は概ね34.36リラから34.01リラの取引レンジ、26日早朝の終値は34.28リラで前日終値の34.22リラから0.06リラのドル高リラ安だった。
8月28日に取引時間中の史上最安値を34.41リラへ更新してから9月16日高値33.58リラへ戻した後は、この高安レンジ内の持ち合いを続けてきたが、25日は8月28日以来の安値となり、10月14日終値34.26リラを抜いて終値34.28リラで終値ベースの史上最安値を更新しており、持ち合い放れから取引時間中の最安値更新を試す可能性も警戒される。
週間では10月18日終値33.99リラから0.29リラのドル高リラ安、25日時点の月間は9月30日終値34.16リラから0.12リラのドル高リラ安となった。
10月26日にイスラエルがイラン軍事施設関連に報復的な攻撃を行ったことに対しては、限定的で両国の全面戦争化は回避されるとの見方が優勢となり、28日早朝の原油相場が下落している。イランの出方次第ではあるが、トルコにとっては中東全域の地政学的リスクが高い状況が続きそうだ。

【今週は製造業PMIとCPIに注目】

10月25日に発表された10月の製造業信頼感指数は100.9となり9月の98.8を上回り2か月連続で改善した。今年4月の106.1から8月の98.5まで4か月連続で悪化した後の反発で、依然として低水準にとどまっているものの、時期的には年末から年明けにかけて改善傾向がみられやすい。10月の設備稼働率は74.9%で9月と変わらず、2023年11月の78%をピークとした低下傾向の範囲にある。
製造業関連統計ではGDPとの同調性がみられるイスタンブール製造業PMIが11月1日に発表されるが、9月の44.3から若干の改善程度ならトルコ製造業と成長率はまだ低迷期に留まるとの印象が強まりやすい。
11月4日には10月のトルコ消費者物価指数等の発表があり、9月統計ではコアCPIが再加速感を示したことでトルコ中銀の年内利下げ開始期待が後退した経緯もあるため、高インフレ鎮静化傾向をしっかり見せられるか注目したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月23日夜へ続伸してから反落したために24日午前時点では23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への下落を想定し、25日午前時点では前回ボトムから4日目に入るため4.45円超えから強気サイクル入りとした。
28日朝に4.47円へ急伸したため、25日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日夜から30日夜にかけての間への上昇を想定するが、ダブルトップに終わる可能性もあるため4.44円割れからは弱気転換注意とし、25日午後安値4.41円割れからは弱気サイクル入りとして30日午後から11月1日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日早朝の急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたため、遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところから弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は25日未明から25日午後にかけての下落時に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイント台へ上昇したため、50ポイントを上回るうちは70ポイント台への上昇余地ありとするが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.44円を下値支持線、4.48円を上値抵抗線とする。
(2)4.44円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.48円超えからは4.49円、4.50円を順次試す上昇を想定する。4.49円以上は反落警戒とするが、4.44円を上回っての推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.44円割れからは4.42円前後への下落を想定する。4.42円前後は買われやすいと注意するが、4.44円を下回っての推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月30日
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 95)
10月31日
 16:00 9月 貿易収支確報 (8月 -49.9億ドル、予想 -37億ドル)
 16:00 7-9月 海外観光客収入 (4‐6月 148.8億ドル)
 17:00 9月 海外観光客数 前年同月比 (8月 2.47%)
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 10月25日時点 (10月18日時点 937.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 10月25日時点 (10月18日時点 606.6億ドル)

11月1日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 44.3)
11月2日
 17:00 10月 貿易省・貿易収支速報 (9月 -51.2億ドル)
11月4日
 16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 2.97%)
 16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 49.38%)
 16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 1.37%)
 16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 33.09%)



注:ポイント要約は編集部

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