総選挙結果、そして日銀会合が波乱要因に
〇先週のドル円、週間安値149.09示現後はドル買いが進行、153円台まで続伸
〇週後半、152円台を中心に当局者らからけん制発言相次ぐ
〇今週は日銀金融政策発表、米2QGDP、10月雇用統計等に注目
〇ドル高・円安方向、まず先週高値153.19をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向、200日移動平均線も位置する151円半ばが強いサポートに
〇今週のドル円予想レンジ:150.50-154.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが一段高。一時7月31日以来となる153円台まで値を上げる局面も観測されている。
前週末は、北朝鮮に関するニュースが相次ぎ物議を醸す。また、日本では総選挙の真っ只中、自民党本部に「火炎瓶」が投げ込まれるという事件が発生している。ただ大事には至らず、また男の身柄もそののち確保されたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたのち、週間安値の149.09円を示現。しかし、ドル安傾向はそこまでで以降は逆にドル買いが目に付く展開となった。前週記録した戻り高値150.32円をあっという間に更新したが、まったく止まらずドルはさらに続伸。結局153円台まで値を上げている。そののち、本邦要人による円安けん制発言などもあり、やや値を崩すも底堅く、週末NYは152.30円台と週間を通した高値圏で越週した。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「円安けん制」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、7月31日以来となる週間高値153.19円を示現したのが23日の欧米時間だったためか、本邦勢による円安けん制発言はとくに聞かれなかったが、翌日以降は152円台を中心にけん制発言のオンパレードとなっていた。具体的には、青木官房副長官が「為替の動向を高い緊張感を持って注視」、「為替相場は安定的推移すること重要」とコメント。そのほか加藤財務相は「為替は一方的な動きが見られる」、赤沢再生相「ファンダメンタルズ反映して安定的推移が重要」、三村財務官「円相場にやや一方向の急速な動きがみられる」−−などとなる。また、先の三村氏による「加藤財務相が米財務長官と為替について議論を行った」との発言も市場で思惑を呼んでいたようだ。一方、それとは別に植田日銀総裁は「日本の金融緩和策の一段の正常化の適切な規模とタイミングを考え出すことが最重要の関心事」と述べており、これが追加利上げ観測を呼び起こしていたようだ。
対して後者は、18日に韓国情報機関が「北朝鮮兵士がウクライナ侵攻に参戦し始めた」との分析を発表し思惑を呼ぶなか、ロシアは当初「恐怖をあおる西側のデマ」などと完全否定していた。しかし、北朝鮮兵士参戦を示す写真や動画などが次々に明るみに出たことで、ロシアや北朝鮮も存在を隠しきれなくなり、週末にかけては方針転換を行っている。24日にプーチン氏は会見で「北朝鮮との軍事協力は他国に関係がない」と発言していたほか、北朝鮮も「仮に派兵があったとしても、国際法規範に符合する」などと自身の行動を正当化していた。なお、この週末にウクライナのゼレンスキー大統領から「北朝鮮軍が27日にも戦闘に参加する」と、さらに一歩踏み込んだ発言が聞かれていたもよう。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は先週、およそ3ヵ月ぶりとなる153円台を示現。テクニカルには移動平均の90日線や200日線、一目均衡表の先行帯の雲の上限などを次々と上抜けており、リスクは間違いなくドル高方向にバイアスがかかる。以前に何度かレポートしている高値161.96円を起点とした下げ幅の61.8%戻しにあたる153.40円を超えれば155円あるいは156円というレベルも否定できないだろう。しかし、9月16日安値139.58円を起点とした場合、およそ「1ヵ月で10%のドル高進行」をほぼ達成しており、これは過度の変動にあたる。仮にドル高が進行するとしても、そのスピードは飽くまで「牛歩」か。
市場の関心は依然として日米金融政策に高い。そうしたなか、今週は日銀による金融政策の発表が予定されており、こちらはとくに要注意。また、27日投開票の日本の総選挙も市場の波乱要因で、結果如何ではいつぞやの「高市ショック」のような状況も否定できないだけでなく、自民大敗などにより「石破(総裁=首相)降ろし」の機運が高まれば、次期候補の顔ぶれとともに金融政策に関して様々な思惑を呼ぶ可能性もある。現在の石破氏は候補時の「金利引き上げ」論者から、就任後は「引き上げ慎重派」へと転じたが、市場は再び思惑により右往左往する展開もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週一時153円台を示現するなど、基本的なリスクはドル高方向。しかし上値は依然として重く、勢いよく154円、155円といったレベルへとドル高・円安が進展する公算は低いと考えている。
むしろ、先でも指摘した総選挙結果と絡めた日本の金融政策を考えると、目先はドル安方向にバイアスが掛かるだろう。週間を通して151円前半から半ばに位置する200日線をしっかり下回ると、さらに調整の動きが進む可能性もでてくる。
そうしたなか今週は、7-9月期のGDP統計速報値や10月の雇用統計をはじめとする重要な米経済指標の発表が少なくない。また日銀による金融政策の発表や、引き続き米国もさることながら、欧州についても大手金融を中心とした決算発表が数多く予定されており、そちらも場合によっては波乱要因に。
そんな今週のドル/円予想レンジは、150.50-154.50円。ドル高・円安については、まず先週高値の153.19円をめぐる攻防に注目。抜ければ153.40円、そして154円も視界内に。
対してドル安・円高方向は、移動平均の200日線も位置する151円半ばがなかなか強いサポートに。先週の週の後半にかけても、しっかり割り込んだことがない。ただ下回ると、少し遠いが150円が薄っすら視界内に入ってくる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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