ドル円見通し 三尊の右肩止まりか、3分の2戻しを超えて年末へ続伸か、重要局面

ドル円は26日早朝に152円台を回復しているため10月4日以降の上昇トレンドを継続している。

ドル円見通し 三尊の右肩止まりか、3分の2戻しを超えて年末へ続伸か、重要局面

三尊の右肩止まりか、3分の2戻しを超えて年末へ続伸か、重要局面

〇先週のドル円、25日午後に151.46まで下落するも週末にかけ152円台前半を回復
〇米長期金利の低下後の上昇に沿う形でドル円も上下
〇31日の日銀会合がハト派で、米経済指標堅調なら円安継続か
〇10/25安値151.46を割り込まないうちは153.18を試し、勢い付く場合は154円台を目指す上昇期
〇151.46割れからは151円、150円と下値目途引き下げ、更に割り込んだ場合は149円以下に続落しやすい

【概況】

ドル円は10月23日夜に153.18円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新したが、153円台到達に対する高値警戒感による持ち高調整で売られ、24日は米10年債利回りが4日ぶりに低下したことで152円を割り込み、25日午後には151.46円まで安値を切り下げた。しかし、25日午後から米10年債利回りが上昇に転じ、25日夜の米耐久財受注やミシガン大消費者信頼感指数が予想を上回ったことによるドル高反応で26日早朝に152.37円へ切り返し、152.30円で週を終えた。
9月の米耐久財受注額は前月比0.8%減と冴えなかったものの市場予想の1.0%減を上回り、設備投資の先行指標である非国防資本財受注は0.5%増で予想の0.1%増を上回った。米ミシガン大の10月消費者信頼感指数確報値は70.5で速報の68.9から上方修正されて9月確報値70.1を上回った。これらは米景気の堅調さを示してFRBの利下げペースが緩やかになるとの見通しに寄与したため米長期債利回りが上昇し、大幅下落一服で夜にかけて戻していたユーロ、ポンド、豪ドル等が下落してドル高優勢となり、ドル円を152円台前半へ押し上げた。

【日銀ハト派で米経済指標堅調なら円安継続】

ドル円は米10年債利回りの上昇に合わせて9月16日以降の上昇トレンドを継続してきた。23日夜からの反落とその後の上昇も米10年債利回りに合わせた動きであり、今後もこの流れは継続してゆくと思われるが、今週は週明けに衆院選結果、30日に米7‐9月期GDP速報、31日に日銀金融政策決定会合と9月PCEデフレーター、週末には米労働省雇用統計の発表と重要イベント及び指標発表が相次ぎ、来週11月5日には米大統領選投開票もある。
日銀は24日のG20財務相、中銀総裁会合での植田総裁会見を見る限り、米国景気や金融市場全般の不安定な動きを警戒しながら追加利上げの判断にはまだ十分に時間があるとの姿勢のため、31日の金融政策決定会合では現状維持と利上げへ向けた積極姿勢は示さないのではないかと思われる。衆院選結果次第では当分動きづらくなるだろう。

米GDPや雇用統計で景気と労働市場の底固さが示されれば年内2回のFOMCにおける0.25%連続利下げではなく1回は利下げ見送りがあるのではないかとの見方が強まり米長期債利回りを押し上げる可能性も考えられる。ただし米雇用統計がサプライズ的に弱い場合は連続利下げの可能性が高まり、0.50%利上げ期待が再浮上することもあり得るかもしれない。次回FOMCは大統領選挙後の11月6-7日に開催される。

【米10年債利回り反騰、2年債利回りは9月以降の最高を更新、米主要株価指数はまちまち】

10月25日の米長期債利回りは堅調な米経済指標により総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは23日に付けた4.26%からの低下継続で4.17%まで下げていたが、午後からの反騰で一時4.25%をつけ、前日比0.03%上昇の4.24%で週を終えた。週間では18日の4.08%から0.16%上昇した。
30年債利回りは前日比0.02%上昇の4.50%となり、週間では18日の4.38%から0.12%上昇した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.11%となり、週間では18日の3.95%から0.16%上昇して9月25日につけた3.51%以降の最高とした。
米GDPや雇用統計次第で波乱もあり得るが、堅調な数字が続けば米大統領選挙結果を見るまでは上昇を継続しやすいと思われる。

一方で米国主要株価指数はまちまちの動きだった。
NYダウは10月18日に取引時間中の史上最高値を更新してから上昇が頭打ちとなり10月21日から24日にかけて4営業日続落していたが、25日も前日比259.96ドル安に終わり5営業日続落した。ナスダック総合指数は前日比103.12ポイント高と上昇して2連騰とし、一時18690.01へ上昇して取引時間中の史上最高値を更新したが、S&P500指数は前日比1.74ポイント安と小幅下落に終わった。
米長期債利回り上昇による圧迫感、米大統領選挙後の経済政策の影響に対する思惑でダウは下落しているが、ナスダックはITやAI等の成長は続くとして楽観的な強気を優先し、S&P500指数は模様眺め中という印象だ。
ドル円としては株高・米長期債利回り上昇なら年末へ円安継続、株安・米長期債利回り低下なら円高への揺れ返しという流れへ進みやすくなる。

【三尊の右肩に終わるか、年末への円安継続か試される】

【三尊の右肩に終わるか、年末への円安継続か試される】

ドル円は10月23日夜高値153.18円から25日午後安値151.46円まで下げ幅1.72円としたが、10月4日の米9月雇用統計が堅調だったことによる急伸で付けた7日朝高値149.13円から8日午後安値147.34円への下げ幅1.79円に近い規模であり、26日早朝に152円台を回復しているため10月4日以降の上昇トレンドを継続している。
日銀がハト派姿勢で米経済指標も強く米長期債利回りの上昇がまだ継続する場合には23日夜高値153.18円を超えて154円超えを試して行く可能性が高まる。その場合は7月3日高値161.94円から9月16日安値139.57円までの下げ幅22.37円に対する3分の2戻し154.48円、7月31日の日銀追加利上げで急落した前日の7月30日日中高値155.21円等が当面の目標となり、市場介入への警戒感を持ちながらも年末にかけて円安が続くとの声が高まると思われる。

しかし、10月25日午後安値151.46円を割り込む場合は23日夜高値からの下落が二段目に入るため、10月4日以降の上昇トレンドがいったん途切れる可能性がある。日銀が予想外にタカ派姿勢の場合や、米経済指標で弱さが目立ち、9月後半から上昇してきた米長期債利回りが低下に転じる場合はこのケースとして150円台を維持できるか試す流れへ進みやすくなると思われる。
現状から154円台ないし155円台へ上昇してもその後に150円を割り込んでから続落する展開に陥れば、7月3日高値を頭、昨年11月13日高値を左肩とした三尊の右肩形成に終わり、昨年11月13日高値151.90円から12月28日安値140.24円まで下げ幅11.66円とした時のような展開も考えられる。
いずれへ向かうのか、重要局面として臨機応変に臨みたい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月25日安値151.46円を下値支持線、23日夜高値153.18円を上値抵抗線とする。
(2)151.46円を割り込まないうちは上昇余地ありとして153.18円試しとする。153円前後でのダブルトップ形成に終わる可能性もあると注意するが、日銀総裁会見や米経済指標で上昇が勢い付く場合は154円台を目指す上昇期に入るとみる。
(3)151.46円割れからは151円前後で踏みとどまれるか試すとみる。151円前後からの反騰で152円を超える場合は10月4日以降の上昇トレンド継続とみて152円台後半、153円台を順次試して行くとみる。ただし、151円割れから続落の場合は上昇トレンドからの転落とみて150.0円前後へ下値目途を引き下げ、その後の反発でも23日夜以降の戻り高値切り下がり基調に留まる場合は次の下落期に149円割れを目指す流れへ進みやすくなると考える。

【当面の予定】

10/28(月)
休場 ニュージーランド
23:30 (米) 10月 ダラス連銀製造業活動指数 (9月 -9)

10/29(火)
休場 トルコ
08:30 (日) 9月 失業率 (8月 2.5%、予想 2.5%)
16:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 -21.2、予想 -20.5)
21:30 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.2%)
22:00 (米) 8月 FHFA住宅価格指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.1%)
22:00 (米) 8月 FHFA住宅価格指数 前年同月比 (7月 4.5%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー住宅価格指数 前月比 (7月 0.0%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (7月 5.9%、予想 6.0%)
23:00 (米) 9月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (8月 804.0万件、予想 790.0万件)
23:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (9月 98.7、予想 99.0)

10/30(水)
日銀・金融政策決定会合初日
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (4‐6月 1.0%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (4‐6月 3.8%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.3%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 36.9、予想 36.7)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 6.0%、予想 6.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 -0.1%、予想 -0.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (4‐6月 0.0%、予想 -0.3%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値、季調前 前年同期比 (4‐6月 0.3%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感・確定値 (速報 -12.5)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 96.2、予想 96.3)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4‐6月 0.6%、予想 0.8%)

21:15 (米) 10月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (9月 14.3万人、予想 9.8万人)
21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4‐6月 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCEデフレーター速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.6%、予想 1.8%)
23:00 (米) 9月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (8月 0.6%)
23:00 (米) 9月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -4.3%)

10/31(木)
休場 シンガポール、マレーシア、スリランカ
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
08:50 (日) 9月 小売業販売額 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.2%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前月比 (8月 -3.3%、予想 0.8%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (8月 -4.9%、予想 -3.2%)
09:00 (NZ) 10月 ANZ企業信頼感 (9月 60.9)
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (4‐6月 1.0%、予想 -0.3%)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -6.1%、予想 2.1%)
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.7%、予想 0.3%)

10:30 (中) 10月 NSB製造業PMI (9月 49.8、予想 50.1)
10:30 (中) 10月 NSB非製造業PMI (9月 50.0、予想 50.5)
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 -5.1%、予想 -4.3%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:00 (独) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 9月 輸入物価指数 前年同月比 (8月 0.2%、予想 -1.4%)
16:00 (独) 9月 小売売上高 前月比 (8月 1.6%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.4%、予想 1.2%)

19:00 (欧) 10月 HICPI(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.9%)
19:00 (欧) 10月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (9月 2.7%、予想 2.6%)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 6.4%、予想 6.4%)
21:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4‐6月 0.9%、予想 0.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCE(個人消費支出) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.1%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.7万人)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 46.6)

11/1(金)
06:45 (NZ) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -5.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (4‐6月 1.0%)
09:30 (豪) 7-9月期 PPI(生産者物価指数) 前年同期比 (4‐6月 4.8%)
10:45 (中) 10月 財新製造業PMI (9月 49.3)
18:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 50.3)
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 25.4万人、予想 12.5万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 4.1%、予想 4.1%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 4.0%、予想 4.0%)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・改定値 (速報 47.8)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 47.2、予想 47.6)
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.0%)

注:ポイント要約は編集部

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