強いトレンド継続だが、乱高下する中国市場が重しに
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、引き続き南ア経済に対する期待感などを背景にじりじりと上昇した。円は主要通貨に対して目立った動きはみられなかったが、日銀による追加利上げ観測の後退に伴う円安が下支えとなった。
国慶節明けの中国市場は、当局への期待感と失望感が錯綜し乱高下となったが、週末に中国当局が記者会見を行うと伝わったことから、週末にかけての中国株はやや落ち着きを取り戻した。中国株が乱高下した8日、ランドは一時下げに転じる場面もあったが、週末にかけて上昇する強い展開となった。
なお、10日に発表された8月製造業生産高は、前月比−0.6%と市場予想を大幅に下回る結果となったが、ランドへの影響は限定的。
ランド・円(東京時間:10月7日―10月11日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.5028円
高値:8.5890円
安値:8.4031円
終値:8.5699円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
10月10日
20時00分、8月製造業生産高(前月比)、前回:1.6%、市場予想:0.1%、結果:−0.6%
10月15日
18時30分、9月SACCI景況感指数、前回:109.1
10月16日
20時00分、8月小売売上高、前回:2.0%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、戻り一服となる可能性がある。国内では目立った経済指標の発表が予定されていないことから、経済的なつながりの深い中国の動向に振らされることとなるが、中国当局が発表した週末の政策に対する失望感が強まりつつある。
12日の記者会見で、藍仏安財政大臣は特別国債の発行により調達した資金を国有大手銀行の資本に注入すると発表した。金融システムの中心を担う大手行の資本を増強し、不動産不況による企業の経営悪化などのリスクに備える。一方、藍氏は「財政赤字の拡大余地はある」と追加策の発表に含みを持たせたが、特別国債の発行規模や、消費刺激のための具体策は説明しなかった。
市場は大規模な財政出動への期待感が非常に強かったことから、今回の発表で失望感が先行すると考える。14日は、東京市場、NY市場ともに祝日のため、参加者が限られる、中国株式市場や為替市場は薄商いも影響して荒い展開となりそうだ。中国当局は、10月下旬に開催が見込まれている全国人民代表大会の常務委員会後に、財政主導などの具体策を発表するとの見込みだ。中国市場は催促相場となりつつあることから、為替市場への影響を警戒したい。
日足の一目均衡表では、雲上限を上放れておりトレンドは強い。切り上がる転換線をサポートに75日移動平均線を上回っており、7月23日以来の8.6円台が間近に迫っている。トレンドが非常に強いことから、中国などの外部環境で振らされる可能性はあるが、転換線が位置する8.4円水準や雲上限の8.3円水準辺りがサポートとして意識されよう。
南アフリカランド円日足
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