17日の政策金利発表に注目、年内利下げ実施を示唆するか注目
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、中東情勢の緊迫化や、まちまちな国内経済指標を背景に積極的な売買は手控えられ、横ばい推移となった。
10日に発表した8月失業率は8.5%と前月の8.8%を下回った一方、鉱工業生産指数は前月比−1.6%と前月の0.3%を大幅に下回る結果となった。インフレ鈍化によって失業率は改善しつつあるが、政策金利50.00%という高い金利によって、経済活動自体は鈍化している様子。
11日、エルドアン大統領は、イスラエルがシリアの首都ダマスカスを攻撃したことに対して「シリアの領土保全を守るために、ロシア、シリア、イランはより効果的な措置を講じるべきである」と発言。中東情勢は緊迫化の度合いを強めており、トルコリラの上値を押さえる要因となった。
一方、円が主要通貨に対して目立った動きが観測されなかったこともあり、トルコリラの売り圧力は強まらず、対円では4.3円水準でのもみあいとなった。
トルコリラ・円(東京時間:10月7日―10月11日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.3419円
高値:4.3751円
安値:4.2948円
終値:4.3490円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
10月10日
16時00分、8月失業率、前回:8.8%、結果:8.5%
16時00分、8月鉱工業生産指数(前月比)、前回:0.3%、結果:−1.6%
10月11日
16時00分、8月経常収支、前回:7.8億ドル、市場予想:40.0億ドル、結果:43.2億ドル
10月17日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、17日のトルコ中央銀行(トルコ中銀)の政策金利発表に注目が集まる。
10月上旬、カラハン・トルコ中銀総裁が、9月消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比49.38%と8月の51.97%から低下したが、市場予想を上回ったことに対して、「前月比の上昇率は中銀が見込んだよりも高かった」と回答。同時に「月間のインフレが「恒久的かつ顕著に」減速することが求められる」と主張。「両方の基準について、まだ一定の距離があるというのがわれわれの判断だ。従って、金融引き締めの維持を継続する」と述べた。
市場コンセンサスは、政策金利50.00%据え置きとの見方だが、10月上旬にカラハン氏が示したタカ派姿勢を継続するか注目だ。欧米が利下げに動き、経済的なつながりが深い中国は景気刺激策や金融システムの安定化策などを打ち出している。こうした実態と、足元のトルコ経済情勢を踏まえて、次回11月の金融政策会議での利下げ実施を示唆する可能性もあろう。
10月CPIは11月4日に発表され、トルコ中銀金融政策会議は11月23日に開催される。11月30日に第3四半期GDPが発表されることから、12月上旬の11月CPIの結果を見た上で、12月21日の年内最後の金融政策会議で利下げを発表する段取りかもしれない。年内利下げ観測は引き続き強いことから、今回の金融政策会議での利下げを示唆する声明もしくはカラハン氏の発言に関心が集中しそうだ。利下げ実施を示唆した場合、いったんはトルコリラ売りが強まる可能性はあるが、実体経済へのポジティブな見方が再評価されて、売り一巡後のトルコリラは堅調推移となろう。
一方、テクニカルは良好だ。日足の一目均衡表では、雲に突入している。4.25円水準まで切り下がる雲下限に沿った動きとなる可能性もあるが、転換線は上向きで遅行スパンも実線を上回っていることなどから反発基調が強まる可能性はある。4.43円水準で位置している75日移動平均線がターゲットとして意識されそうだ。
トルコリラ円日足
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