『約2カ月半ぶり高値圏へと急上昇。上昇トレンドの継続を想定』
〇今週の南ア円、週央にかけ8.40まで下落するも週末にかけ約2ヵ月半ぶり高値8.58まで上昇
〇中国の財政出動期待、ドル円の堅調推移、地場銀行の南アランドに対する強気見通しの発表等が背景
〇テクニカルには、主要テクニカルポイントの上での推移、買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇南ア経済復調期待、政治安定化期待、中国の景気対策、ドル円の先高観等も南ア円をサポート
〇引き続き、南アランド円相場の上昇トレンド継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
今週のレビュー(10/7−10/11)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は週初8.50円で寄り付いた後、(1)中国国家発展改革委員会による期待外れの景気対策(国慶節明けの大型景気対策期待後退→株式市場の失望売り→リスク回避の新興国通貨売り)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(新興国から米国への資金流出圧力)、(3)中東を巡る地政学的リスクが重石となり、週央にかけて、週間安値8.40円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)中国財政省による「財政政策調整の強化に関して10/12に記者会見を行う」との発表(中国の財政出動期待→リスクオン再開)や、(5)ドル円相場の堅調推移(ドル円上昇→南アランド円連れ高)、(6)ファーストランド銀行による南アランドに対する強気見通しの発表(南アランドの対ドル相場が16ランドに達するとの強気シナリオを発表)が支えとなり、週末にかけて、週間高値8.58円(7/23以来となる約2ヵ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/12午前1時00分現在)では、8.57円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア8月製造業生産(結果▲1.2%、予想+0.1%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(10/14−10/18)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、9/11に記録した安値7.85円をボトムに切り返すと、週末にかけて、約2カ月半ぶり高値8.58円まで上昇しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「21日線と200日線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「8/5安値と9/11安値を起点としたダブルボトムのネックライン突破」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の復調期待(南アフリカのインフレ鈍化→南ア中銀の利下げサイクル開始)や、(2)南ア政治の安定化期待(一党独裁政権から親ビジネス路線の連立政権になったことでグローバルマネーが南アフリカへ資金流入。ゴールドマン・サックスのエコノミストは先週「改革が進むことで南アフリカの信用格付けが6カ月以内に投資適格水準に近づき財政問題の解消に繋がる」と発言)、(3)経済的な結びつきの強い中国の景気回復期待(中国人民銀行による金融緩和に加えて、中国政府が大型財政出動に踏み切るとの期待感)、(4)日銀による過度な利上げ期待の剥落(円キャリートレード再開→ドル円上昇→南アランド円連れ高)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
来週予定されている南ア経済指標(南ア9月SACCI景況感指数、南ア8月小売売上高)や、中国の主要経済指標(中国第3四半期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、中国9月固定資産投資)が力強さを示す場合には、南アランドに強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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