ドル円 ドル高基調継続、ただ上値は引き続き重そう(週報10月第2週)

先週のドル/円相場はドルが小幅に続伸。週のザラ場ベースでは、8月半ば以来の149円半ばを示現する局面も観測されていた。

ドル円 ドル高基調継続、ただ上値は引き続き重そう(週報10月第2週)

ドル高基調継続、ただ上値は引き続き重そう

〇先週のドル円、目先の底入れ後149.58まで上昇して高値圏で越週
〇米CPIの好調がドル支援要因に
〇150円超えると、当局の円安けん制発言がドル上昇を抑制するか
〇今週は10月NY連銀製造業景況指数、9月小売高、ECB政策会合等に要注目
〇ドル高・円安方向、先週高値149.58が最初のターゲット
〇ドル安・円高方向、148.20-30、148円の攻防などにまずは注目
〇今週のドル円予想レンジ:147.00-151.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小幅に続伸。週のザラ場ベースでは、8月半ば以来の149円半ばを示現する局面も観測されていた。

前週末は、EUが以前から取り沙汰されていた「中国製EVに対する追加関税案」を採択。それについて中国は「断固反対」とEUを批判していたようだ。一方、戦闘から1年ということで、国連事務総長による「ハマス非難声明」が発表されたが効果は限定的だった。
そうした状況下、ドル/円は148.70円レベルで寄り付いたのち、当初ドルはやや冴えない。週間安値の147.35円まで値を崩す局面もあった。しかし、比較的早い段階で目先の底入れを達成すると、以降ドルは逆に小高い。8月半ば以来となる149円台、149.58円まで上昇し、週末のNYクローズでもそのまま高値圏を維持した149.15円前後で越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「円安けん制」と「米金融政策」について。
前者は、時事通信が「石破首相豹変、異例の利上げけん制」と報じていたように、市場の大勢が予想していた「利上げ推進派」との見方を一変させたことが、引き続き為替市場で話題に。ドル/円相場が149円台へと、さらなるドル高・円安を進行させた一因になっていたようだ。しかし、9月16日の139.58円を起点に10円ほどのドル高進行をたどっていることや、節目とみられる150円が視界内に捉えられてきたことで、当局者からは初期段階の「口先介入」と思しきコメントも観測され始めた。たとえば、加藤財務相からは「急激な為替変動は企業活動にマイナス」、三村財務官は「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視」と発言していたようだ。なお、150円は当局の考える最初のシーリングポイントで、超えると円安けん制発言のギアがもう一段階上がるなどといった見方をする市場筋も少なくない。

一例を挙げると、NY連銀総裁は「一段の利下げを実施していくと予想される」、シカゴ連銀総裁は「向こう1年に一連の利下げを実施」、リッチモンド連銀総裁「インフレとの戦いは終わっていない」、アトランタ連銀総裁「11月の利下げ見送りでも問題なし」−−などとなる。決め手に欠けるなか、先週一週間を通して一番の材料とも言われていた9月の米消費者物価指数が10日に発表され、全体そしてコア指数ともに予想を上回る内容に。また、翌日に発表された同生産者物価指数も良好な数値で、ドルの支援要因となった。さらに、公表された9月FOMC会合の議事録要旨において、複数の政策メンバーが大幅利下げに慎重だったことが明らかになったことも好感されていたようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は8月半ば以来の149円半ばを示現し、週末のNYクローズも149円台。リスクがドル高方向に高いことは間違いなさそうだが、150円を超えて勢いよくドル高が大きく進行するような展開は果たしてどうか。テクニカルに見た場合、超えれば移動平均の90日線も位置する150円半ばから後半がターゲットとなるが、引き続きドルの上値は重いと考えている。先でも指摘したように、150円を当局はある種のシーリングと考えている感があり、「口先介入」などでドルのさらなる上昇を抑制することも否定できない。

日米金融政策が引き続き市場筋の関心を集めるなか、石破首相の変説もあり「日本の早急な利上げは予想しにくくなった」と言えそうだ。それに対して米国は、かつてより「大幅利下げ期待が遠のいた」ようだが、いまだ状況は混とんとしている。今週も発表される米指標や要人発言などに一喜一憂する展開か。一方、それとは別に中東情勢がさらに地政学リスクを高めており、こちらもしっかりと注視したい。流れからすると、リスク回避のドル買いがドル/円などの下支えになるといった声も一部で聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクはドル高方向に依然としてバイアスかかるも、上値は引き続き重そうだ。心理的な節目でもある150円が最初の抵抗。上抜けると、移動平均の90日線が位置する150円半ばから後半を目指す。ちなみに、高値161.96円を起点にした下げ幅の半値戻しも150.75-80円だ。それを超えると、151円後半の一目均衡表の先行帯の雲の上限を目指しそうだが、同レベルはさすがに遠そうだ。

そうしたなか今週は、10月のNY連銀製造業景況指数や9月の小売売上高などの重要な米経済指標が発表される予定となっている。また、日本の9月消費者物価指数や中国の7-9月GDP発表、ECBによる政策金利発表−−など各国の注目材料が週間を通して目白押しだ。いずれも、しっかりと注視しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、147.00-151.00円。ドル高・円安については、先週高値149.58円が最初のターゲット。それを抜ければいよいよ150円トライ、そして150円台乗せとなりそうだ。
対してドル安・円高方向は、時間足など短期的にみた148.20-30円、あるいは148円の攻防などにまずは注目。割り込むと147円半ばが意識されるが、いずれにしても基本的には底堅いイメージは変わらない。

ドル高基調継続、ただ上値は引き続き重そう

ドル円日足



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