緩やかな上昇トレンドを継続
〇先週のドル円、週初は米雇用統計後のドル急騰から押しが強まり、147円台前半へと2円近い調整先行
〇木曜、FOMC議事要旨の大幅利下げに対する慎重な意見で149.54レベルと週明け高値更新する動き
〇次回FOMCでの0.25%利下げ織り込み度87%、年内あと2回(計0.5%)がコンセンサス
〇日米ともに、選挙による短期的な影響には要注意
〇今週は147.50レベルをサポート、150.00レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
先週のドル円は前週米国雇用統計後のドル急騰の動きに対する調整から週初から押しが強まり、火曜には147円台前半へと週明けから2円近い調整が先行しました。しかし、その後は改めて買いが入ってきたことやFOMC議事要旨で大幅利下げに対して慎重な意見もあったことから米金利とともに高値圏でのもみあいが続き、木曜には149.54レベルと週明け高値を更新する動きを見せました。
今週は特段目立った材料は無いものの、米国経済指標が予想からズレる数字となってくると上下どちらに動いてもおかしくありませんが、11月7日FOMCでの0.25%利下げ織り込み度は87%とかなり高くなっていることからこのシナリオが崩れるような数字が出て来なければ年内あと2回(計0.5%)の利下げをコンセンサスとして進んでいくと考えられます。
国内材料では27日の総選挙に向け各党とも忙しくなりますが、現時点の見通しでは石破自民は議席数は減らしても過半数(233議席)は維持するという見方になっています。下振れしても連立与党の公明党と合わせれば過半数の維持はほぼ確実視され政権交代が起きることは無いでしょう。ここから余程の変化が出て来なければ政権の流動化による為替相場への影響は無いと見てよさそうです。
いっぽうで11月5日の米国大統領選の勝敗はいまだはっきりせず、今回の選挙では例年よりもスイングステートとなる州の数が多いことは先週も書いた通りです。世論調査では依然としてハリス副大統領がリードしているものの、現状ではその差が1.7ポイントへと下がりトランプ前大統領も追い上げて来ています。この勢いが選挙当日まで続けば、いよいよ結果がわからないということになりそうですが、終盤に勢いがあるほうが有利に動きますし、得票率は少なくても選挙人の数で勝つというのは8年前もそうでしたから、トランプ前大統領の返り咲きのオッズが急上昇しています。
日米ともに選挙の10月後半となりますが、どちらもごく短期的な影響は出てくると思いますので注意だけはしておきましょう。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
高値圏でのもみ合いが続いていることで、テクニカルにはいつ上抜けしてもおかしくは無いのですが、先々週のドル急騰の動きがまだ消化不足といった感じもあり、もう少し149円台前半から半ばで上抜け出来るかどうかを試したいというチャートに思えます。動きとしては順番が逆ですが、上昇チャンネルの上側のラインを引いてそれに平行なサポートラインを引いてあります。
この中での動きを想定するとサポート側が146円台後半、レジスタンス側が151円台後半とかなり幅が広い状態です。それよりは先週安値圏の147円台前半をサポートに大台150円をレジスタンスと考えた方が妥当に思えますので、今週は147.50レベルをサポートに、150.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月14日(月)
**:** 東京、NY市場休場
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
28:00 ウォラーFRB理事講演 ☆
10月15日(火)
15:00 英国9月失業率
15:45 フランス9月CPI
18:00 ドイツ10月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
21:30 米国10月NY連銀製造業景況指数 ☆
24:30 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
10月16日(水)
15:00 英国9月CPI ☆
21:30 米国9月輸入物価
10月17日(木)
08:50 本邦9月貿易収支(通関)
18:00 ユーロ圏9月CPI
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国9月小売売上高 ☆
21:30 米国10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
22:15 米国9月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国10月NAHB住宅指数 ☆
23:00 米国8月企業在庫
24:00 週間原油在庫統計
10月18日(金)
08:30 本邦9月CPI ☆
11:00 中国7-9月期GDP
15:00 英国9月小売売上高
18:00 ユーロ圏8月建設支出
21:30 米国9月住宅着工 ☆・建設許可
23:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
**:** APEC財務相会合(〜21日)
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月7日(月)
週明けのドル円は金曜雇用統計後のドル買いの影響からドル買いが先行しましたが、早朝に149.12レベルと金曜高値をわずかに更新したのみで、その後は終日じり安の展開をたどりました。短期的な上昇幅も先週一週間を通しての上昇幅も大きかったことから150円の大台を前にいったん利食いが入った格好でNY前場には147.84レベルの安値をつけ、148円前後でもみあいのまま引けました。
10月8日(火)
ドル円は前日の上値が重たい流れを継続して売りが先行、欧州市場序盤には143.34レベルの安値をつけました。しかし目立った材料もなく、水曜のFOMC議事要旨と木曜の米国CPIを前に海外市場では買い戻しが入り、148.38レベルの日中高値をつけた後、前日終値と同じレートで引けました。
10月9日(水)
ドル円は前日に安値をつけ反転した動きから東京後場以降終日ドル買いが継続しました。米金利が底堅い動きとなったことが主要因でした。NY後場もFOMC議事要旨で0.5%の利下げに対してオブザーバーも含め慎重な意見が出ていたことから引けにかけて米金利が一段高、ドル円も149.36レベルをつけ高値引けとなりました。
10月10日(木)
ドル円は前日上昇後の様子見で東京前場は高値圏でのもみあい、昼過ぎに前日高値を上抜けると仕掛けの買いも加わって一時高値を149.54レベルまで切り上げました。しかし、149円台半ば以降を積極的に攻める環境にも無く、後場以降はNY市場までじり安、148円台後半へと下げていました。NY市場に入り発表されたCPIが予想よりも強かったことから一時東京高値に迫る動きを見せましたが抜けられず、また失業保険申請数が予想より弱かったこともあり、148.23レベルへと急反落後に148円台半ばへ戻して引けました。
10月11日(金)
前日下げた動きに対する反動が米金利とともにドル買いの動きとなりました。日米3連休を控えて動き自体はやや鈍かったものの、前日高値をトライしきれなかった動きから週末前の利食いも出ていた様子でした。
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