『リスクオフ再開で反落も下値余地は限定的か。一巡後の反発リスクに警戒』
○今週の南ア円、週初8.26円まで上昇後、週末にかけ7.94円まで急落
○経済指標の不冴えや、ドル円相場大幅下落などが重石となり心理的節目8.00円を割り込む
○但し、対ドル相場は依然高値圏で底堅く、南アランドの売り材料が出たわけではないと判断
○ファンダメンタルズも南ア経済の復調期待等、一巡後の反発を連想させる材料が揃う
○引き続き、南アランド円相場の反発をメインシナリオとして予想
○来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
今週のレビュー(9/2−9/6)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.19円で寄り付いた後、翌9/3にかけて、週間高値8.26円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南ア8月製造業PMI(結果43.6、前月52.4)の急低下や、(2)南ア8月Naamsa自動車販売(結果▲4.9%、前月+1.5%)の冴えない結果、(3)南ア4ー6月期GDP(結果+0.4%、予想+0.5%)の市場予想を下回る結果、(4)ドル円相場の大幅下落(米労働市場の悪化懸念→FRBによる大幅利下げ観測再燃→ドル円が147.21から141.78まで急落→南アランド円連れ安)、(5)南ア株の大幅続落(8/14以来の安値圏へ急落→リスクオフ再開)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.94円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/7午前2時00分現在)では、7.96円前後で推移しております。尚、今週はIMF(国際通貨基金)より南アフリカに対する財政再建の推進要請や債務増大・高失業率といった課題への対応を求める提言が示されましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(9/9−9/13)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、8/5に記録した安値7.60円をボトムに切り返すと、その後は8.00円ー8.30円をコアレンジに持ち直し基調が続きましたが、今週は週末にかけて、心理的節目8.00円を割り込むなど、上値の重さが際立ちました。但し、対ドル相場が依然として高値圏で底堅さを維持していること等に鑑みれば、今週の下落はあくまでドル円相場の下落に連れた影響が大きく、南アフリカランドそのものに売り材料が出たわけではないと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の復調期待(直近で発表された南アCPI・PPIがいずれも大幅な鈍化を記録したため、南ア中銀が今月の会合で利下げに踏み切る公算大→利下げを通じて南ア経済が下支えされるとの期待感あり)や、(2)南ア政治の安定化期待(中道右派で親ビジネス路線の最大野党・民主同盟が国民統一政府に加わったことで、外国人投資家による資金流入期待が増加)、(3)円キャリートレードの再開期待(南アランドと日本円の金利差に着目した構造的な南アランド買い・円売り圧力)、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)など、南アランド円相場の一巡後の反発を連想させる材料が揃っています。
今週実施された中国と南アフリカの首脳会談において、均衡の取れた貿易推進や現地雇用促進への合意がなされた点も、南ア経済の安定化に繋がるポジティブ要因と受け止められることから、当方では引き続き、南アランド円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/10に予定されている南ア7月製造業生産高以外に目立った経済イベントが予定されていないため、米長期金利の動向や、世界的な株式市場の動向に振らされる神経質な値動きとなりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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