経済指標発表を睨みつつ、戻りを試す展開か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、インフレ鈍化に伴う複数の利下げ実施が南アフリカ経済のプラス材料になるとの見方が強まり、週末にかけて堅調推移となった。
7月生産者物価指数(PPI)は前年比4.2%上昇と前回の同4.6%上昇、市場予想の同4.5%上昇ともに下回る結果となった。7月消費者物価指数(CPI)が前年比で3年ぶりの低水準となったなか、PPIの鈍化も確認できたことで、南アフリカ準備銀行(SARB)が年内2回の利下げ実施を行うとの観測はより強まった。
インフレ鈍化に伴う複数の利下げ実施は、南アフリカ経済のプラス材料になるとの見方が強まり、週初8.06円台だったランドは週末にかけてじりじりと上昇。8.25円台まで値を戻した。
ランド・円(東京時間:8月26日―8月30日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.1374円
高値:8.2551円
安値:8.0669円
終値:8.2010円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
8月29日
18時30分、7月生産者物価指数(前月比)、前回:−0.3%、市場予想:−0.1%、結果:−0.2%
18時30分、7月生産者物価指数(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.5%、結果:4.2%
8月30日
15時00分、7月マネーサプライM3、前回:4.19%、結果:5.88%
21時00分、7月貿易収支、前回:242億ランド、市場予想:179億ランド、結果:176億ランド
9月3日
18時30分、第2四半期実質GDP(前年比)、前回:0.5%、市場予想:0.4%
9月4日
19時00分、第3四半期BER企業信頼感指数、前回:35
9月5日
18時00分、第2四半期経常収支、前回:−850億ランド、市場予想:−730億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、第2四半期実質GDPなど重要な経済指標発表が予定されているなか、引き続きじりじりと戻りを試すと想定する。
市場では9月会合にてSARBが0.25%の利下げを実施する公算が大きく、年後半にはもう一回の利下げ実施(0.25%)が見込まれている。インフレ鈍化が7月CPI、PPIで確認できたことから、失業率やGDP、小売売上高などを押し上げるために利下げを実施するだろう。今年発足した連立政権としては、政権の安定運営を考慮すると、南アフリカ経済の改善が急務なため、2025年も積極的に利下げに動く可能性はある。
仮にGDPが市場予想を大幅に下振れるような結果となった場合、年内3回の利下げ実施観測が強まる可能性もある。さすがに経済指標の大幅な失速は、景気後退などネガティブなイメージも出てくるため、今回のGDPは市場予想通りか若干下回るぐらいの内容が欲しいところだ。
テクニカルでは、8月5日に長い下影(下ヒゲ)を残した後、いったん8.3円水準で反発一服となった。ただ、8.0円台で下げ渋ったことや20日移動平均線を上回ったことなどから、再度反発が強まりそうな状況にある。8.3円水準を上回った場合、7月11日高値8.9846円から8月5日安値7.6020円の下落幅1.3826円の61.8%戻し水準の8.45円水準がターゲットとして意識されよう。この水準まで上昇すると、日足の一目均衡表では遅行スパンが実線を上回る可能性もあり反発基調が強まると考える。
南アフリカランド円日足
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